ドリーム・アーツ Research Memo(4):「SmartDB」で「デジタルの民主化」を推進(2)

2024年10月15日 14:04

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記事提供元:フィスコ

*14:04JST ドリーム・アーツ Research Memo(4):「SmartDB」で「デジタルの民主化」を推進(2)
■ドリーム・アーツ<4811>の事業概要

2. 事業セグメント別概要
同社は、「クラウド事業」「オンプレミス事業」「プロフェッショナルサービス事業」を展開している。クラウド事業では、「SmartDB」「InsuiteX」「Shopらん」「DCR」を提供しており、いずれも月額利用料によるストック収益となる。オンプレミス事業は、過去に販売した「SmartDB」「INSUITE」のパッケージソフトウェアの管理・運用業務でライセンス料がスポット収益、ソフトウェアメンテナンス料がストック収益となる。プロフェッショナルサービス事業は、クラウド事業及びオンプレミス事業にかかるシステム開発・改修、導入支援、各種作業などの労働集約型業務でスポット収益となる。2024年12月期第2四半期の売上高比率は、ストック収益が88.2%、うちクラウド事業が76.7%を占め、収益基盤は安定している。

(1) クラウド事業
クラウド事業は、自社開発したアプリケーションソフトウェアをSaaSの形態で提供する事業である。提供サービスは、幅広い業界で利用される「ホリゾンタルSaaS(「SmartDB」及び「InsuiteX」)」と、特定の業界で利用される「バーティカルSaaS(「Shopらん」)」及び特定顧客向け開発運用一体型サービス「DCR」がある。ホリゾンタルSaaS及びバーティカルSaaSは月額利用料によるストック収益で、利用人数や用途に応じてユーザーライセンス、バインダー(データベース)ライセンス、各種オプションなどを組み合わせることができる。一方、「DCR」は開発するシステムの要件の個別性が高いため、内容に応じてサービス料を定めている。

a) ホリゾンタルSaaS「SmartDB」
「SmartDB」は、プログラミング不要のノーコード開発ツールである。ノーコード開発ツールは、業務に精通した現場担当者がシステム開発を推進することで、要件定義や仕様設計などの開発プロセスを短縮し、開発生産性が向上できる。さらには、現場部門自らが業務デジタル化を推進することで、これまで放置されていたアナログ業務のデジタル化が進み、DXに向けた企業文化や組織風土の変革に取り組みやすい環境をつくることにもつながる。「SmartDB」は、ノーコード開発ツールでありながら受託開発にも引けを取らない高度な機能を備えており、単純なデータベースやワークフローといった標準的なものから、ERPのフロントシステムや生産管理・在庫管理などの基幹業務を支えるサブシステムに至るまで、幅広い領域で活用できる。従来は、こうしたMCSの周辺領域もシステムインテグレーターが担っていたが、ノーコード開発ツールの活用により現場主導で開発・運用が可能となるため、投資効率の向上とビジネス環境への機動的な対応が同時に実現した。なお、システムインテグレーターが開発基盤としてノーコード開発ツールを活用し、開発プロセスやシステム運用の効率化を図ることもある。

(主な機能)
企業内の活動は、起案・起票、承認決裁、決裁情報の保管・活用というプロセスをたどるため、企業内で利用する業務アプリケーションは、「入力フォーム」(データを入力するインターフェイス)、「ワークフロー」(入力データの承認・意思決定プロセス)、「データベース」(データの蓄積及び活用)の3つの機能で構成される。「SmartDB」は、これらの機能をプログラミングすることなく、以下のように簡単に開発できる。

・入力フォーム及びデータベース作成機能
あらかじめ用意された25種類のパーツをドラッグ&ドロップ操作で配置し、入力フォームとデータベースを自動的に作成する。

・ワークフロー設定機能
大企業が必要とする複雑な業務プロセス(条件分岐、合議、並行承認、差し戻し、他部署回覧など)を設定する。たとえば、金額や組織などの条件に基づいて承認ルートを判別・分岐したり、複数の部門や担当者が並列で承認したり、特定のワークフローの承認をトリガーとして他のワークフローを開始したりと、多様なプロセスを構築できる。

・データベース活用機能
「SmartDB」に投入されたデータを、様々な形式の表やグラフとして表示することで、分析ツールとして活用できる。また、データとともに格納されたファイルも全文検索の対象としているため、必要な情報へ効率的にアクセスできる。そのほか、あらかじめ用意されたフォーマットに合わせて出力する帳票作成ツールとしても活用できる。

・ダイナミックブランチ機能
「SmartDB」上で開発した複数の業務アプリケーションやデータベースに親子関係を持たせ、動的(ダイナミック)に連携する。業務アプリ/ドキュメント同士で多階層の親子関係(複数も可)を設定し、多段参照・集計等の多様なデータ連携、動的な権限制御ができる。個別の現場で開発された業務アプリも部門や役職の壁を越えて連携し、組織全体の複雑な業務モデルをそのままデジタル上に再現できる。複数のプロセスにまたがる業務やデータを結合し、一元的に管理することで、複雑な要件のERPフロントシステムや基幹業務を支えるサブシステムなど、幅広い領域での活用が可能となる。

・セキュリティ関連機能
同じ入力フォームやデータベース内であっても、項目ごとに閲覧権限を設定する閲覧制限機能を備えている。そのため、機密性の高い情報を含む業務プロセスをセキュリティを確保しながらデジタル化できる。また、IPアドレス制限や二段階認証によって第三者からの不正なアクセスを防止するほか、業務プロセスの承認履歴などのログ出力機能があり、内部統制や各種監査の要求を満たすシステムを開発できる。

・他システムとの連携機能
他社が提供するSaaSと連携するための機能や、外部システムとの連携に必要なAPIを用意しており、高度な業務自動化を実現する。なお、他システムとの連携に関しては、専門的な技術を要することが多いため、同社もしくはシステムインテグレーターなどによる対応が一般的である。

システムを導入する標準的な業務のうち、経費精算などの領域は多くのSaaS企業が提供しているが、「SmartDB」は導入後に機能不足と判断した場合でも、多くの場合でカスタマイズなしに機能要件を満たせることが強みとなっている。また、経費精算とワークフローを同時に導入する場合は、複数のSaaSを組み合わせる必要があるが、「SmartDB」は同一システム内で複数の業務アプリケーションを開発し運用できるのも強みだ。一方、ERPフロントシステムはERPのカスタマイズによって開発されてきたが、このERPフロントシステムを「SmartDB」へ移行し、APIを介して連携する仕組みへと変更することで、システムのアップデートをスムーズに行い、レガシーシステム化を防ぐことができる。

「SmartDB」の競合優位性は、優良な顧客基盤、豊富な導入実績、大企業における業務デジタル化ノウハウ及び運用ノウハウの蓄積により築かれている。これらの導入実績とノウハウの蓄積は、大規模組織で利用する際に要求される、高度な権限管理や複雑な業務プロセスを構築する機能の網羅的な実装につながっている。また、大企業に対する難易度の高い商談プロセスをマネジメントする営業体制と、業務デジタル化を短期間で成功に導く手厚い導入支援体制(課題ヒアリング、初期設定、操作トレーニング、アプリケーション開発支援、運用・展開方法の検討支援、事務局支援など)も強みとなっている。

「SmartDB」は、アイティクラウド(株)が運営するIT製品レビュープラットフォーム「ITreview(アイティレビュー)」で発表された「ITreview Grid Award 2024 Summer」において、「ノーコードWebデータベース」「ワークフローシステム」「文書管理」の3部門において、SaaSで唯一、最高位の「リーダー」に同時認定されている。「ITreview Grid Award」では15期連続、3部門同時は9期連続での受賞となり、対外的な評価及び認知度も高まっている。また、テクノ・システム・リサーチの「2023年SaaS型ワークフロー市場のメーカーシェア調査」によれば、「SmartDB」は市場シェア32.3%でナンバーワン、従業員1,000名以上の大企業においては54.7%で圧倒的ナンバーワンを獲得しており、3年連続のナンバーワンとなっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)《HN》

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