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フルサト・マルカHD Research Memo(1):2024年12月期は下期から需要回復基調
*11:01JST フルサト・マルカHD Research Memo(1):2024年12月期は下期から需要回復基調
■要約
フルサト・マルカホールディングス<7128>は、フルサト工業(株)と(株)マルカが2021年10月に共同株式移転の方法によって設立した持株会社である。機械・工具や建設資材を主力とする技術商社としてグループのシナジーを高め、他にはない独自の解決策を生み出すユニーク・ソリューション・カンパニーを目指している。
1. 「モノづくり」市場におけるソリューション力が強み
セグメント区分は機械・工具、建設資材、建設機械、IoTソリューションの4区分としている。また、グループ全体のサービスや商品を統括するブランドを「UNISOL(ユニソル)」(ユニーク(UNIQUE)とソリューション(SOLUTIONS)を組み合わせた造語)としている。機械・工具は単なる仕入・卸売ではなく、国内外の「モノづくり」市場において顧客の生産現場の課題を顕在化させて解決策を提案するソリューション力などを強みとしている。建設資材は国内の鉄骨建築と工場配管の市場を中心に、鉄構資材・配管機材などの製造・販売を展開している。倉庫・工場などの鉄骨建築の骨組みに使用される自社製造製品のフルブレースなどが高い市場シェアを誇っている。建設機械は高所作業車や油圧ショベルなどの建設機械の販売・レンタルを展開し、高所作業車をオペレーター(操縦者)付きでレンタルしていることなどを特徴としている。IoTソリューションは防犯・監視カメラなどのセキュリティ機器販売・システム導入などを展開し、グループとして注力しているスマートファクトリー事業において重要な役割を担っている。
2. 2024年12月期中間期は需要減少の影響などで営業・経常減益
2024年12月期中間期の連結業績は売上高が前年同期比7.4%減の78,845百万円、営業利益が同46.4%減の1,706百万円、経常利益が同40.5%減の2,160百万円、親会社株主に帰属する中間純利益が同10.2%増の2,862百万円だった。純利益は特別利益に投資有価証券売却益を計上して増益となったが、主力の機械・工具及び建設資材の減収影響に加え、営業費・人件費・経費などの増加により営業・経常減益となった。営業利益が1,479百万円減少した要因は、売上の減少が1,006百万円、利益率の変動が25百万円減、営業費が64百万円の増加、人件費が210百万円の増加、経費が174百万円の増加によるものであった。売上総利益率については、仕入価格変動に合わせた価格改定によっておおむね前年同期並みを維持した。
3. 2024年12月期通期は下方修正して減収減益予想だが、下期から需要回復基調
2024年12月期通期の連結業績予想(2024年7月26日付で下方修正)は、売上高が2023年12月期比5.7%減の163,200百万円、営業利益が同33.4%減の3,800百万円、経常利益が同30.9%減の4,600百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同3.2%減の4,550百万円としている。上期の機械・工具及び建設資材の需要低迷などにより、営業利益と経常利益は期初予想に対して減益幅が拡大する見込みとなった。ただし半期別に見ると、下期から需要回復基調を見込み、下期は上期比で営業・経常増益に転じる見込みとしている。下期予想は上期実績に対して売上高が7.0%増収、営業利益が同22.7%増益、経常利益が同12.9%増益となる。なお親会社株主に帰属する四半期純利益については第2四半期に投資有価証券売却益を計上したため、下期は上期比減益となる。
4. 中期経営計画「UNISOL」2ndステージで成長スピード加速
同社は10年後のありたい姿として売上高4,000億円規模、営業利益200億円以上、時価総額1,500億円の目標を掲げ、この長期目標達成に向けた中期経営計画「UNISOL」(2022年12月期~2026年12月期)では、ロードマップとして前半の2年を基盤構築の1stステージ、後半の3年を成長加速化の2ndステージと位置付け、最終年度2026年12月期の目標を売上高2,000億円、営業利益100億円、営業利益率5.0%、調整後EBITDA(=営業利益+減価償却費+のれん償却費+その他の一過性収益・費用)115億円、ROE8.5%としている。シナジー極大化の効果として1stステージの進捗はおおむね順調であり、2ndステージでは新事業分野への展開、グローバルマーケットでの飛躍、ストック型ビジネスの強化などにより、最終年度目標の達成に向けて成長スピードを加速させる方針だ。
5. 株主還元を強化
株主還元については、2024年4月15日付で株主還元方針の変更を発表した。変更後は普通配当については中長期的な株主還元目標を「DOE(株主資本配当率)3.5%以上」として、継続的に増配を行うこと(累進配当)を基本方針とした。DOEについては2024年12月期より段階的に引き上げ、次期中期経営計画(2027年12月期~2029年12月期)でのDOE3.5%の達成を目指す。また普通配当に加え、特別配当や自己株式取得などを活用し、利益水準や財務状況に応じて機動的に株主還元の追加を実施するとした。
6. 中期経営計画2ndステージの重点戦略進捗に注目
同社は「モノづくり」市場において、顧客の生産ラインの省力化・省エネ化・効率化を実現する提案・設計・構築力、特に顧客の生産現場の課題を顕在化させて解決策を提案するソリューション力などを強みとしており、グループのシナジーを高め、他にはない独自の解決策を生み出すユニーク・ソリューション・カンパニーを目指している。2024年12月期の業績予想は下方修正して営業・経常減益幅が拡大する見込みとなったが、機械・工具の受注が足元で回復傾向を強めていることを勘案すれば、当面の業績は2024年12月期上期がボトムとなった可能性があるだろうと弊社では考えている。そして中期経営計画「UNISOL」の2ndステージに入り、中長期的な利益率向上に向けて、その重点戦略の進捗に注目したい。
■Key Points
・機械・工具や建設資材を主力とする技術商社
・「モノづくり」市場におけるソリューション力が強み
・2024年12月期中間期は需要減少の影響などで営業・経常減益
・2024年12月期通期は下方修正して減収減益予想としたが、下期から需要回復基調
・中期経営計画「UNISOL」2ndステージで成長スピード加速
・株主還元を強化
・中期経営計画2ndステージの重点戦略進捗に注目
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)《HN》
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