FCE Research Memo(5):主力の「Robo-Pat DX」と「Smart Boarding」がともに好調

2024年9月24日 12:05

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記事提供元:フィスコ

*12:05JST FCE Research Memo(5):主力の「Robo-Pat DX」と「Smart Boarding」がともに好調
■業績動向

2. 2024年9月期のセグメント別業績動向
FCE<9564>の2024年9月期第3四半期のセグメント別業績は、DX推進事業が売上高1,912百万円(前年同期比22.5%増)、セグメント利益486百万円(同53.6%増)、教育研修事業が売上高1,695百万円(同14.4%増)、セグメント利益287百万円(同35.8%増)と、2事業ともに主力製品が好調で2ケタの増収増益となった。

DX推進事業では、主力製品である「RPA Robo-Pat DX」について、内部と外部の両面で拡大策を講じた。現場の業務フローと必要な機能を追求して継続的に「RPA Robo-Pat DX」の改善を重ねる一方、人材が育ってきたこと及び純粋持株会社制度を解消したことを背景に、教育研修事業との間で顧客紹介を加速させた。また、広告宣伝を積極化するとともに、人材育成を強化すべく「ロボパットマスター認定プログラム」の受講者数を継続的に増大させた(認定者は2024年6月末時点で2,414名)。この結果、導入社数は2024年6月末時点で1,364社(前年同期比19.3%増)と2024年9月期末の目標だった1,250社以上を既に上回ったうえ、ARPUは16.5万円と5%ほど伸びたため、売上高は大幅に増加した。利益面では、売上増加に伴いストック型ビジネスの特徴がより強く現れたため、固定費以上に利益が積み重なり、セグメント利益はより大きな伸びとなった。

教育研修事業では、教育事業で2024年1月に日本コスモトピアを連結子会社化し、研修事業ではeラーニング市場が成長するなか積極的な営業を展開した。なかでも「Smart Boarding」が好調で、導入社数が2024年6月末時点で892社(前年同期比61.9%増)と2024年9月期末目標である670社以上を大きく上回って推移、ARPUは4.4万円と2%ほど増加し、売上高は2ケタ増となった。さらにDX推進事業と同様、ストック型ビジネスという特徴から利益率が向上したため、セグメント利益は売上高を上回る伸びとなった。


2回の上方修正を経て大幅増益を予想
3. 2024年9月期の業績見通し
2024年9月期の業績に関して、同社は売上高5,000百万円(前期比19.8%増)、営業利益707百万円(同21.5%増)、経常利益705百万円(同22.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益500百万円(同56.8%増)と2ケタ増収増益を見込んでいる。なお、業績好調を持続してきたため、第3四半期までに2回業績を上方修正した。

1回目の上方修正は2024年2月の第1四半期決算発表時で、日本コスモトピア子会社化の影響及び「RPA Robo-Pat DX」や「Smart Boarding」が好発進したことによる。これにより、売上高を4,464百万円から4,600百万円、営業利益を702百万円から707百万円、経常利益を700百万円から705百万円、親会社株主に帰属する当期純利益を450百万円から454百万円へと引き上げた。2回目の上方修正は8月の第3四半期決算発表時で、「RPA Robo-Pat DX」や「Smart Boarding」の好調継続と、日本コスモトピアの収益貢献が当初想定を上回ったことによる。これにより、売上高を4,600百万円から5,000百万円へと上方修正したが、営業利益と経常利益は据え置いた。理由は、売上増加に伴って利益をかなり押し上げたものの、一方で「FCEプロンプトゲート」など新規事業への投資や翌期に向けた広告費や人件費など先行費用を計上したためである。なお、純粋持株会社制度解消に伴う子会社の吸収合併による税効果会計により、親会社株主に帰属する当期純利益は454百万円から500百万円へ上方修正した。

日本経済は引き続き先行き不透明な状況にあるが、RPAやeラーニングへのニーズは底堅く推移すると見られている。このような環境下、同社は引き続き積極的に事業展開するとともに、環境変化に適応することで業績向上を図る考えだ。売上高については、「RPA Robo-Pat DX」「Smart Boarding」ともに導入社数が第3四半期で想定を超えて伸び、その後も順調に推移しているもようだ。加えてストック型収益であるため、営業利益は売上高以上の伸びとなる見込みである。同社の通期業績予想は保守的という印象だが、これは計画を上回った利益の一部については、前期第4四半期同様、2025年9月期以降の成長に向けた先行費用に投入される可能性があるためだ。最終的な着地は第3四半期時点の修正予想を若干上回る程度になると思われる。なお、業績が好調なうえ、成長に弾みをつける新たな取り組みが始まったことから、中長期的にも成長トレンドが上方に乖離する可能性がある。次期中期経営計画に期待したい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)《HN》

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