AndDo Research Memo(2):フランチャイズチェーン網を活用し、不動産業界初のソリューションを次々と展開

2024年9月24日 11:02

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記事提供元:フィスコ

*11:02JST AndDo Research Memo(2):フランチャイズチェーン網を活用し、不動産業界初のソリューションを次々と展開
■会社概要

1. 沿革
And Doホールディングス<3457>は1991年に創業し、京都府で不動産仲介業を開始した。1998年にリフォーム事業に進出、2002年には京都市にショールームを開設した。その後は中古住宅再生販売事業、不動産売買事業へ事業領域を拡大した。2006年に、自社で培った不動産売買仲介事業のノウハウをベースにフランチャイズ事業を開始し、その後ハウス・リースバック事業(2013年)、不動産担保融資事業(2016年)、リバースモーゲージ保証事業(2017年)、賃貸不動産フランチャイズのレントドゥ事業(2018年)、タイにおける海外事業(2019年)、事業性融資保証(2019年)と様々な事業を展開している。累計加盟店舗数は707店舗(2024年6月期末)と、不動産売買仲介チェーンとして全国トップの実績を誇る。

2. ビジョン
同社は「業界を変える!お客様のための業界へ。」を使命とし、不動産情報のオープン化の推進と安心・便利なサービスを提供する不動産コンビニ構想の実現に向けて、国内1千店舗、アジア5万店舗を目指している。2020年10月には、約15年ぶりにブランドのコンセプトとロゴを一新した。新しいブランドロゴとスローガンには、IT・Webを融合させた不動産テック企業として、住まいのことなら何でもワンストップでスマートに応えることで、不動産業界を顧客のための業界に変革していく意志が込められている。

3. 特長、強み
(1) 社会問題解決のサービス化
同社は、不動産業界や日本社会が抱える問題に対するソリューションを提供し、日本経済の活性化に貢献してきた。同社の強みは、不動産売買仲介で業界最大のネットワークを有し、SPA(製造型小売業)のように業界初のサービス・事業を次々と開発・商品化する能力にある。他社に先駆けて開発したサービスや事業の一例を挙げると、2013年10月に開始した買い取りに特化したフランチャイズ事業「ハウスドゥ家・不動産買取専門店」、住みながら家の売却を可能にした「ハウス・リースバック事業」、2017年10月に開始した金融機関との提携による「リバースモーゲージ保証事業」など、多岐にわたる。近年は、外部企業との連携によるサービス拡充にも注力しており、セカンドホーム・サブスクリプションサービスを提供する(株)Sanuとの協業により、千葉県にセカンドホーム「SANU 2nd Home 一宮1st」を開業した。また、2024年6月にはドローン屋根外装点検サービス「DroneRoofer(ドローンルーファー)」を開発・提供する(株)CLUEとの業務提携により、同サービスの提供を開始した。

(2) 加盟店のDXを推進
同社は、時代のニーズに即したソリューションサービスを提供する「不動産サービスメーカー」として、リアルの店舗ネットワークとIT・Webを融合したサービスを提供している。

一例を挙げると、同社オリジナルの不動産業向け基幹システム「DO NETWORK」がある。同システムは、不動産業務に必要な物件・顧客・業者・契約といった情報を一括管理でき、集客・営業支援、物件顧客マッチングシステム、追客支援、最新不動産情報配信メールサービスなど、同社が現場で培ってきた“使える”ノウハウをシステム化している点に特長がある。業務効率化、時間短縮、コスト削減のほか、中小企業の生産性向上を支援しており、2024年4月に経済産業省のIT導入補助金2024※対象サービスに認定された。IT導入支援事業者としては7度目の採択となる。

※ 認定を受けたIT導入支援事業者の指定ITツールを導入する際、そのシステムの導入費用の1/2以下(最大150万円未満)が補助される


2020年8月には、「デジタルトランスフォーメーション(DX)推進本部」を設立した。不動産業で一般的な対面でのやり取りや書面交付を基本とした旧来の取り引きから脱却し、顧客が安心・便利に利用できる「不動産×金融×IT」を融合したサービスの提供を推進している。この背景として、コロナ禍を契機に社会全体がDX推進への機運を一層高めたことが挙げられる。具体的には、業務面でオンライン商談、在宅勤務などのテレワーク、Web会議システムの導入などが進んだほか、不動産サービスのオンライン化としてオンライン内覧、無人オープンハウス、VR内見などを展開している。

2021年4月には、IoT機器を標準装備した「スマートDOホーム」の販売を開始した。家電のほか、玄関カギの開閉やお湯はりなどが専用のスマートフォンアプリや音声で操作ができ、顧客は家電や設備を自動連携することで新しい生活スタイルを手に入れることができる。

4. 持株会社体制への移行
同社グループは、同社と連結子会社5社及び関連会社1社により構成される。2022年1月には、グループガバナンスの強化、経営資源配分の最適化、次世代に向けた経営人材の育成のほか、機動的な組織体制構築の推進を目的に、会社分割方式により持株会社体制へ移行し、商号を「(株)ハウスドゥ」から「(株)And Doホールディングス」に変更した。今後は住宅だけでなく、多様な不動産を手がけることを企図して、社名から「ハウス」を外している。同社を分割会社とし、ハウス・リースバック事業を残すものの、フランチャイズ事業は(株)ハウスドゥ住宅販売、不動産売買事業及びリフォーム事業は(株)ハウスドゥ・ジャパンに承継された。また、(株)小山不動産を消滅会社とし、小山不動産の不動産売買仲介業をハウスドゥ住宅販売へ吸収分割し、不動産賃貸仲介・管理業などを(株)ハウスドゥ販売管理が吸収合併した。残りの事業は、従来どおり(株)フィナンシャルドゥが金融事業、ハウスドゥ販売管理がプロパティマネジメント事業、(株)京葉ビルドが不動産賃貸業などを展開する。(株)小山建設は、2023年1月に自社を吸収合併消滅会社、(株)ハウスドゥ・ジャパンを吸収合併存続会社として吸収合併を行い消滅した。なお同社は、2024年7月に連結子会社の商号変更を行っており、(株)ピーエムドゥの名称を(株)ハウスドゥ販売管理へと変更している。

海外市場では、2019年2月に、アジアでの事業展開の足掛かりとなる同社初の海外関連会社をタイに設立した。合弁会社H-DO (THAILAND) Limitedでは、同社が日本で培った不動産流通に関するノウハウにより、主に中古住宅のリノベーション事業を行っている。タイでは日系企業による住宅やオフィスビルの開発が盛んだが、中古不動産の流通市場に進出している日系企業はなく、同社関連会社が業界トップの座を狙える未開拓のブルーオーシャンとなる。2023年3月に「ハウスドゥ」1号店となるフランチャイズ店舗を開店し、2024年6月末時点で5店舗を展開している。足元で事業は順調な進捗を見せており、中古不動産の買い取りに関して毎月300件以上の相談が寄せられているという。将来的に同社は10年以内にタイのフランチャイズ加盟店を500店舗まで拡大する計画で、タイ事業を軌道に乗せた後は、アジア圏での事業拡大を目指している。なお、H-DO (THAILAND) Limitedの株式は、タイ王国の上場企業であるMastercool International Co., Ltd.が49.0%、同社が49.0%、同社の海外事業をサポートする企業が2.0%を持ち、持分法適用関連会社となる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)《HN》

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