サスメド Research Memo(6):不眠障害治療用アプリの国内市場規模は推計3,500億円

2024年9月20日 11:06

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記事提供元:フィスコ

*11:06JST サスメド Research Memo(6):不眠障害治療用アプリの国内市場規模は推計3,500億円
■サスメド<4263>の事業概要

5. 国内市場規模
同社が進めている開発パイプラインの国内市場規模(保険償還点数×対象人数)は、同社資料によると不眠障害治療用アプリ「サスメド Med CBT-i(R)」についてはターゲット市場を1,000億円、潜在患者まで含めると3,500億円と推定している。このうち、ターゲティング需要であるSAM(Serviceable Available Market)については、合計400億円超(既存の睡眠薬治療からの切り替えニーズ192億円+不眠症の自覚があるが睡眠薬治療に抵抗がある未治療患者の掘り起こし216億円)と試算している。そのほかの主な開発中パイプラインの国内市場規模は、乳がん患者運動療法アプリ「SMD401」が72億円、ACP用プログラム医療機器「SMD402」が309億円、慢性腎臓病リハビリアプリ「SMD201」が660億円などと推定している。


DTxプラットフォーム事業ではブロックチェーン技術を活用して臨床試験効率化を支援

6. DTxプラットフォーム事業
DTxプラットフォーム事業では、不眠障害治療用アプリの開発過程で獲得したノウハウをベースに、治療用アプリ開発プラットフォーム「QDTx(R)」を活用したDTx開発支援サービス、医療ビッグデータを分析する機械学習自動分析サービス「Awesome Intelligence」、製薬企業向けに臨床試験の効率化を支援する汎用臨床試験システム「SUSMED SourceDataSync」などを提供している。

特に「SUSMED SourceDataSync」は、ブロックチェーン技術を実装したモニタリングシステムにより、臨床試験で求められる高い水準でのセキュリティとデータ改ざん耐性を同時に実現するとともに、モニタリングに関する工数と費用の大幅削減に貢献する。「Awesome Intelligence」はクラウドサービスとして提供し、リアルワールドデータをはじめとした医療ビッグデータ解析などに活用される。

同社は、治験で求められるモニタリングのデータ照合作業をシステムで代替するため、2017年からブロックチェーン技術の活用に関する研究開発を行い、多数の特許を取得している。また「SUSMED SourceDataSync」は、内閣府規制のサンドボックス制度※1の採択とグレーゾーン解消制度※2を利用して、2020年12月に厚生労働大臣より正式にGCP省令※3の求めるモニタリングの要件を満たすシステムとして認可された。

※1 IoT、ブロックチェーン、ロボットなどの新たな技術や、プラットフォーマー型ビジネス、シェアリングエコノミーなどの新しいビジネスモデルの社会実装に向けて、規制官庁の認定を受けた実証を行い、その結果を用いて規制の見直しにつなげる制度。
※2 現行の規制の適用範囲が不明確な場合においても事業者が安心して事業活動を行えるように、具体的な事業計画に即して、あらかじめ規制の適用の有無を確認できる制度。
※3 医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令で、GCPはGood Clinical Practiceの略。

その後も、医療機関・学術研究機関・製薬企業などとの共同研究やアライアンスによってブロックチェーン技術を応用し、さらなる信頼性向上や領域拡大を推進する。2021年6月にはEPSホールディングス(株)とブロックチェーン技術を活用した治験業務の効率化を目的に業務提携した。

2022年5月にはNCNPと共同で、ブロックチェーン技術を活用したレジストリデータの信頼性向上に関する研究を開始した。同年6月には、神経・精神科領域で新薬開発などを展開する日本発バイオベンチャー企業のアキュリスファーマ(株)と、企業治験として世界初となるブロックチェーン技術を活用した治験の実施に関する業務委託契約を締結した。同年11月にはアキュリスファーマが「SUSMED SourceDataSync」を活用し、ヒスタミンH3受容体拮抗薬/逆作動薬Pitolisantのナルコレプシー患者を対象とする国内第3相臨床試験を開始した。

2023年1月には、アキュリスファーマが「SUSMED SourceDataSync」を活用した2つ目の治験として、Pitolisantの閉塞性睡眠時無呼吸症候群に伴う日中の過度の眠気に対する国内第3相臨床試験を開始した。またリニカル<2183>及びClinChoice(株)と「SUSMED SourceDataSync」を活用した効率的かつ効果的な臨床試験フルサポートサービス提供体制構築に向けて業務提携した。同年9月には東北大学と、「SUSMED SourceDataSync」を用いて(一社)日本心血管インターベンション治療学会及び関連学会が実施する静脈疾患レジストリの構築を行う基本合意書を締結した。ブロックチェーン技術による医療機器のリアルワールドデータ活用を推進する。また「SUSMED SourceDataSync」が耳鳴治療用アプリ「SMD403」の特定臨床研究に導入された。同年10月には、2021年に採択されていた東京医科歯科大学とのAMED「研究開発推進ネットワーク事業」において、ブロックチェーン技術の活用によるモニタリング手法の効率化に関する成果が公表された。


当面は研究開発費が先行

7. リスク要因
一般的なリスク要因としては、新薬開発と同様に、治療用アプリ開発における研究開発の不確実性や副作用・製造物責任、法的規制、知的財産権に関わる訴訟などがある。既に医療機器製造販売承認を取得している不眠障害治療用アプリ「サスメド Med CBT-i(R)」については、今般行った製造販売承認事項の一部変更承認申請の動向、及びその後の市場での普及がリスクとして想定されるため、当面は多額の研究開発費が先行し期間損益のマイナスが継続する可能性がある。

こうしたリスク要因に対して同社は、治療用アプリのシーズ獲得とパイプライン開発を推し進めることで将来の利益拡大を目指している。加えて、保有する開発パイプラインの他社への導出やマイルストン収入の獲得など、より早期の収益計上可能な方策を検討する考えだ。また、研究開発型企業として多額かつ長期にわたる研究開発費の負担が続くため、安定的な収益源を確保するまでは適切な時期に資金調達などを実施し、財務基盤の強化を図る方針である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)《HN》

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