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システムサポート Research Memo(10):今後3年間で年率12.9%増収、18.8%増益と高成長目指す(2)
*11:10JST システムサポート Research Memo(10):今後3年間で年率12.9%増収、18.8%増益と高成長目指す(2)
■システムサポート<4396>の今後の見通し
c) アウトソーシング事業
アウトソーシング事業では、データセンターサービスにおいて大手クラウドベンダーの顧客層とは異なる顧客をターゲットに、AI関連サービス等の独自サービスをフックツールとして、新規顧客の開拓と既存顧客の利用料の積み上げを図る。年率10%弱の売上成長を目指す。またERP関連のニアショアサービスについてもSAPのERP製品保守が2027年に向けて需要が高まることが見込まれており、石川県金沢地区での保守要員の育成と体制強化を図ることで売上を拡大する。なお、データセンターの能力増強に関しては、稼働状況に応じて徐々に実施することで品質向上と収益性の確保を両立する考えだ。
d) プロダクト事業
プロダクト事業では、新規顧客開拓のため代理店等の販路拡大や広告宣伝を強化するほか、既存顧客の利用部門拡大等によるユーザー数(ID数)の増加に取り組む。加えて、既存プロダクトの機能強化を継続的に行い、導入までのリードタイム圧縮並びに他社プロダクトに対する競争力向上を図ることで、年率10%弱の売上成長を目指しているようだ。また、安定した高利益率の維持・向上に向けて、ノンカスタマイズでの販売を増やし、月額利用料等のストック型売上を積み上げる戦略で、ストック型売上比率を2024年6月期の58%から2027年3月期は60%台前半まで引き上げる。ノンカスタマイズでの販売が可能となれば、販売代理店での営業活動も従前よりも容易となるため新規顧客獲得も期待できる。
プロダクト別では、2024年7月より「建て役者」の標準機能を充実させ、料金体系を従来の3つのプラン(ライト、スタンダード、プレミアム)を廃止し、従前のスタンダードプランをベースに新たに「オリジナル帳票機能」を追加し、1つのプランに統一した※(新規顧客から適用)。従来、オリジナル帳票の作成・出力機能は個社別に依頼を受けてカスタマイズを行っていたが、今後は同機能を用いることでユーザー自身が簡単に作成できるようになる。今後も無償のバージョンアップや機能追加を行うことで、利便性の向上を図り新規顧客を開拓する。
※ 税別で初期費用50万円、月額利用料5万円/5ライセンス。5ライセンス以降は1ライセンス当たり3千円を追加。
Web受発注システム「MOS」については社内体制の問題もありここ数年は伸び悩んでいたが、問題が改善されたことにより2025年6月期以降は成長軌道に復帰するものと予想される。機能強化については、2024年1月よりインボイス制度・電子帳簿保存法に対応したクラウド電子請求書ソリューション「MOS Invoice」※1、並びにクレジットカード決済を簡単に導入できる「MOS Payment」※2をリリースしており、利便性が向上することで新規顧客の開拓が進む見通しだ。
※1 請求データを請求書に自動変換し、得意先(発注者)と共有して電子保存することができるほか、PDFまたはCSV形式でダウンロードすることができる。
※2 システムの追加開発を行うことなく、簡単にクレジットカード決済が利用できるサービス(決済手数料2.45%)。(株)ゼウスが提供するクレジットカード決済サービスを採用。
e) 海外事業
海外事業では、米国子会社において北米に進出する日系企業に対してITインフラや人材採用、マーケティングの支援サービスを提供していくほか、カナダの子会社においては日本との時差を利用した日本企業へのリモート監視サービスや、在米日系企業への会計業務のアウトソーシングサービスを強化し、海外事業単独で収益を得られる体制を構築する。2024年7月よりMultiNet Internationalの事業を譲受したことで2025年6月期の売上高は前期比2倍以上に拡大する見通しだ。
(3) サステナビリティ経営の強化
同社は経営理念(社会への貢献、顧客サービス向上、価値の共有)に基づいたサステナビリティ経営を通じて、社会課題の解決に取り組んでおり、以下の取り組みを推進している。
「環境(E)」分野では、脱炭素社会の実現のためCO2排出量目標を設定し、さらなる削減策を実施するほか、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に沿った開示体制を拡充し、CDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)に対しては回答及びスコアの向上を目指している。
「社会(S)」分野においては、多様な人材の活躍のため、健康経営やダイバーシティ・インクルージョン&エクイティの取り組みを推進しているほか、DX人材の育成を通じた地方ビジネスの拡大及び経済活性化を目的に、「金沢発、北陸地方IT都市化の実現」をコンセプトにした施設「Microsoft Base Kanazawa」を金沢駅前で運営している。同施設では産学官民のDXに向けた無償のDX教育の提供や、最新テクノロジーの体験ができるクラウドを軸としたコミュニケーションの場として、オンラインセミナーの開催や商談スペースのほかコワーキングスペースとしても利用されている。
「ガバナンス(G)」に関しては、企業価値の最大化に向けて業務の適正を確保するために必要な体制を整備し、適切に運用することが経営の重要な責務であると認識しており、改訂コーポレート・ガバナンス・コードへの対応及び質の向上を目指している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)《HN》
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