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ドーン Research Memo(1):2024年5月期は9期連続の増収増益を達成
*14:01JST ドーン Research Memo(1):2024年5月期は9期連続の増収増益を達成
■要約
ドーン<2303>は、地理情報システム(GIS)を活用したシステムの開発・販売を行う企業である。中央省庁や地方自治体、電力会社などでの採用実績が多く、信頼性の要求されるシステムに定評がある。GISエンジンソフトのライセンス販売や受託開発を長年にわたり事業の柱としてきたが、近年は防災や防犯関連のクラウドサービスで業績を伸ばしている。主力の「NET119緊急通報システム」が全国の消防で採用され、人口カバー率は72.6%(2024年5月末時点)とデファクトスタンダードとなっているが、次期の主力商品として、消防向けの映像通報システム「Live119」が拡大期に入っている。同様の映像通報技術を応用した映像通話システム「Live-X」、災害情報共有サービス「DMaCS」、自治体向けの「防災アプリ」も好調に推移している。2024年7月には、エッジAI技術を所有する(株)tiwakiと資本業務提携を行った。
1. 2024年5月期の業績概要
2024年5月期の売上高は1,500百万円(前期比9.7%増)、営業利益533百万円(同20.3%増)、経常利益547百万円(同21.3%増)、当期純利益388百万円(同20.9%増)と9年連続の増収増益を達成した。売上高は、各種クラウドサービス・アプリの契約数が積み上がり、ストック型の利用料収入が順調に増加した。主力の「NET119緊急通報システム」が、消防管轄人口カバー率7割を超えトップシェアを堅持したのに加え、第二の柱として映像通報システム「Live119」の導入拡大が進み、人口カバー率で3割を超え一気に4割に迫る勢いである。また、次期主力サービスとして今期に手応えをつかんだサービスとして、民間企業への導入が進展した「Live-X」、痴漢の逮捕の報道を通じて認知度が高まった「防犯アプリ」、東京都に続き大阪府・市での導入が開始された「防災アプリ」があり、いずれも好調に業績を伸ばした。営業利益は、クラウド利用料の増加及び高利益率案件の受注により売上総利益が増加したことや、販売費及び一般管理費の伸びが相対的に抑制されことで大幅増益となった。
2. 2025年5月期の業績予想
2025年5月期の業績は、売上高で前期比5.3%増の1,580百万円、営業利益で同5.1%増の560百万円、経常利益で同3.8%増の568百万円、当期純利益で同1.8%増の395百万円と、10期連続の増収増益を予想する。2025年5月期は新中計の創造ステージの3年目であり、「Gov-tech市場の深耕」を中心テーマとして既存事業の安定的な拡大を図りつつ、新たな成長軌道の第1歩を踏み出す取り組みを進化させる。新たな成長軌道への取組みとしては、既存のクラウドソリューションに次世代のテクノロジーを融合させる試みを積極化する。一例では、映像機器から得られる情報に、前期に資本業務提携したtiwakiのエッジAI技術を活用した社会課題解決サービスの創出に向けた研究や実証実験により新規事業を開拓する構想がスタートする計画である。新規の取り組みや組織の融合には時間がかかることもあり、増収率はやや低めの伸び予想となった。営業利益に関しても、人的資本の強化に伴う採用活動費・人件費等の増加を織り込み低めの伸びを予想する。同社では、自治体の防災・防犯DX投資の増加が見込まれるなか、クラウド利用料を中心としたストック型の事業モデルを構築していることから、業績予想の下振れリスクは低いと考えている。進行期は、前期にM&Aや業務提携に着手した複数の案件を進展させるための研究開発が基本となるため、戦略的な“踊り場”と位置付けており、上振れの可能性も限定的と見る。
3. 中長期の成長戦略・トピック
同社は、2024年7月に、先端的なエッジAI技術を持つtiwakiと資本業務提携を発表した。tiwakiはエッジAI技術をベースに社会課題の解決を目指す目的で2016年に設立された企業であり、エッジデバイスを搭載した高速・小型のAIカメラを用いることにより、「防犯・セキュリティ」「防災」「スマート駐車場」に関する事業の他、「スマートガソリンステーション」「介護・ヘルスケア」などの分野で幅広く社会課題の解決を目指している。同社(ドーン)の持つ警察・官公庁への導入拡大ノウハウと、tiwakiの保有するエッジAI技術を組み合わせることにより、主に防犯分野において社会課題の解決に向けた取り組みが一層加速できると判断したことから、本資本業務提携の合意に至った。エッジAIとは、ネットワークの端末機器(エッジデバイス)に直接搭載したAIを指し、その端末側で行われるデータ処理によって即時に結果を把握できる技術である。通信コストが低いこと、即時性が高いこと、セキュリティが端末内で完結すること、などの多くの利点がある。国内エッジAI分野の製品・サービス市場は、2026年度まで年率41.3%増で推移し、2027年度には370億円規模に達すると予測されている(総務省「情報通信白書令和5年版」)。
4. 株主還元策
同社は、株主に対する利益還元を経営の重要課題として位置付けており、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、累進配当(原則として減配せず、配当の維持もしくは増配を行うこと)を基本方針としている。この方針の下、2016年5月期以降は、好調な業績を背景に連続増配を続けてきた。2024年5月期の配当金は、前期比4.0円増の年20.0円、配当性向16.0%と、9年連続の増配を達成した。2025年5月期の配当金は、前期比2.0円増の22.0円、配当性向17.1%を予想する。弊社では、業績の拡大による安定的な増益とともに、将来的には配当性向の上昇余地もあるため、増配ペースが上がることが期待できると考えている。
■Key Points
・2024年5月期は9期連続の増収増益を達成。「NET119」「Live119」「Live-X」「防犯・防災アプリ」などのクラウド利用料が積み上がる
・2025年5月期は10期連続の増収増益を予想。既存のクラウドソリューションにエッジAI等の次世代技術を融合させる取り組みを積極化
・エッジAI技術を持つtiwakiと資本業務提携
・2024年5月期の配当金は年20.0円(前期比4.0円増配)。9期連続の増配を達成
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)《HN》
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