新晃工業 Research Memo(1):好調継続、2027年3月期営業利益100億円を目指す

2024年8月13日 14:41

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記事提供元:フィスコ

*14:41JST 新晃工業 Research Memo(1):好調継続、2027年3月期営業利益100億円を目指す
■要約

1. 大型オフィスビルやデータセンター向けセントラル空調機器のリーディングカンパニー
新晃工業<6458>はセントラル空調機器のリーディングカンパニーで、大型オフィスビルやデータセンターなどのセントラル空調システム向けに空調機を製造・販売している。主力製品は空気調和機(AHU:Air Handling Unit。以下、個別のヒートポンプAHUとの対比として水AHUと言う)とファンコイルユニット(FCU:Fan Coil Unit)で、ヒートポンプAHUや冷却塔などの製造・販売も行っている。製品及びサービスの分類は、空調機器製造・販売事業(国内)、工事・サービス事業、ビル管理事業、空調機器製造・販売事業(海外)の4つである。デジタル環境の高度化とともにデータセンター向けが好調となったが、近年は生成AIの普及などによって、より大きな電力を必要とする大規模・高速・大容量のハイパースケールデータセンター向けの需要が強まっている。

2. 一貫体制や需要予測精度などに加え、SIMAプロジェクトによる新しい製販体制も強み
同社主力の水AHUは、室内からの還気(室内の空気を循環使用するため、ダクトを通って空調機の吸い込み側に返ってくる空気のこと)と同時に外気を取り込み清浄化して各室に給気する機器で、主に大きな空間向けのセントラル空調システムで使用される。ほかに、ヒートポンプAHUや氷蓄熱装置、冷却塔といった戦略商品の製造・販売や、空調関連機器・サービスの開発、工事・メンテナンスなどの周辺事業も行っている。同社の強みは、設計から製造・販売、工事・サービスまでの一貫体制や工場をフル稼働させるノウハウ、長年の実績に基づく需要予測精度の高さなどにあるが、労働集約的な部分については、SIMA(SINKO Innovative Manufacturing of AHU)プロジェクトによる新しい製販体制の構築で、改革が大きく進んでいるところである。

3. 新中期経営計画「move.2027」では2027年3月期営業利益100億円を目指す
足元の外部環境好転や好業績に加え、SIMAプロジェクトも順調に進行しているため、新たな成長ストーリーの推進と資本コストに基づく高度な経営を目指す新中期経営計画「move.2027」(2025年3月期~2027年3月期)を策定、目標として2027年3月期売上高600億円、営業利益100億円、ROE10%以上、配当性向50%、DOE下限3.5%などを掲げた。ターゲット市場をデータセンター、個別空調、空調設備工事メンテナンス、再エネ蓄熱・水素冷却の4つに絞ったグループ市場戦略をベースに、事業戦略、財務戦略、非財務戦略を展開する計画だが、中でも企業価値の向上は大きなテーマで、資本コスト経営によりROEの向上と株主資本コストの低減を目指すとともに、株主還元も強化する方針である。

4. 2025年3月期はハイパースケールデータセンターに重点的に取り組む方針
2024年3月期の業績は、売上高51,943百万円(前期比15.9%増)、営業利益は8,627百万円(同43.8%増)と、データセンター向けの好調や価格改定、製品・サービスの付加価値向上により、大幅増収増益となった。このため前中期経営計画「move.2025」の目標を1年前倒しで達成、新中期経営計画「move.2027」を公表することとなった。新中期経営計画初年度の2025年3月期の業績見通しについて同社は、売上高54,000百万円(同4.0%増)、営業利益9,100百万円(同5.5%増)と見込んでいる。新中期経営計画に基づいて4つのグループ市場戦略、中でも高い能力と安定した稼働が求められるハイパースケールデータセンターに、同社の強みを発揮できる有望なターゲットとして重点的に取り組む方針である。

■Key Points
・個別空調も扱うセントラル空調機のリーディングカンパニー。冷却塔なども強化へ
・産業空調の好調や価格改定などにより好業績継続、新中期経営計画を前倒しで公表
・有望なターゲットとしてハイパースケールデータセンターに重点的に取り組む方針

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)《SO》

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