ファーストコーポレーションは下値切り上げ、25年5月期大幅増収増益・増配予想

2024年7月31日 09:44

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 ファーストコーポレーション<1430>(東証スタンダード)は、造注方式を特徴として分譲マンション建設などを展開するゼネコンである。24年7月には新中期経営計画を公表した。当面の目標である年商500億円の早期実現と、次のステージとなる年商1000億円へのステップアップに向けて、業容の拡大と利益水準の向上に取り組み、持続的成長と中長期的な企業価値向上を目指すとしている。25年5月期は大幅増収増益・増配予想としている。完成工事が順調に推移し、前期からズレ込みとなった事業用地売上なども寄与する見込みだ。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。株価は徐々に下値を切り上げて反発の動きを強めている。高配当利回りなど指標面の割安感も評価材料であり、出直りを期待したい。

■造注方式が特徴のゼネコン

 東京圏(1都3県)中心に分譲マンション建設などを展開するゼネコンである。造注方式による大手マンション・デベロッパーからの特命受注と高利益率、品質へのこだわりによる安心・安全なマンション供給を特徴としている。

 造注方式というのは、当社がマンション用地を開発し、マンション・デベロッパーに対して土地・建物を一体とする事業プランを提案し、マンション・デベロッパーから特命で建築を請け負うという受注方式である。入札方式に比べて好条件での請負が可能となる。

 品質に関しては「安全と品質の最優先」を掲げて、施工品質管理標準・マニュアル類の整備、階層別研修会の実施、施工検討会による安全で堅実な施工計画の策定、巡回検査による正確性の担保など、良質で均一な品質を維持するための取り組みを推進している。また第三者機関による検査導入については、施主が第三者機関による検査を実施しない場合でも、建造物の安全性を確保するために重要な杭工事、配筋工事、レディーミクストコンクリートを対象として、当社が自前で第三者機関による検査を導入するなど、安心・安全なマンション供給に向けた体制を整備している。

 20年10月には、東京理科大学の認定ベンチャーであるサイエンス構造と、新たな免震集合住宅の工法として「ジーナス(ZENAS)工法」を開発し、建築構造物の「新構造システム」に関する特許および実用新案を共同出願した。

■当面の目標は年商500億円企業

 24年5月期は、建設事業の売上高が219億81百万円で営業利益(全社費用等調整前)が18億94百万円、不動産事業の売上高が62億85百万円で営業利益が10億26百万円、その他(設計業務、不動産賃貸、マンション管理運営など)の売上高が2億18百万円で営業利益が4億98百万円の損失だった。不動産売上は大型案件によって変動する可能性がある。建設事業の受注高は7件合計208億82百万円(うち造注が35億45百万)で、期末受通残高は344億60百万円だった。なお22年11月に受注した仮称:千葉駅東口西銀座B地区優良建築物等整備事業新築工事(26年3月完成予定)については、補助事業として入札手続を経たため一般請負にカウントしている。

 24年7月に公表した新中期経営計画「Innovation2024」(25年5月期~27年5月期)の経営目標値には、最終年度27年5月期の売上高400億円(完成工事高203億円、不動産売上166億円、共同事業収入24億円、その他売上7億円)、売上総利益49億40百万円(完成工事総利益22億30百万円、不動産売上総利益20億円、共同事業収入総利益6億20百万円、その他売上総利益90百万円)、売上総利益率12.4%(完成工事総利益率11.0%、不動産売上総利益率12.0%、共同事業収入総利益率25.8%、その他売上総利益率12.9%)、営業利益29億50百万円、経常利益28億円、親会社株主帰属当期純利益19億40百万円、受注高200億円(うち造注50億円)を掲げている。

 当面の目標である年商500億円の早期実現と、次のステージとなる年商1000億円へのステップアップに向けて、業容の拡大と利益水準の向上に取り組み、持続的成長と中長期的な企業価値向上を目指すとしている。重点施策として、資本収益性の向上では造注比率の向上、建設事業の強化、再開発事業の推進により、数値目標の着実な達成を目指す。成長投資としてはM&Aの積極活用に加え、研究開発投資や人的資本投資も強化する。また市場評価の向上に向けて、連結配当性向30%以上や機動的な自己株式取得により株主還元を強化するほか、IR活動も強化する。

 中核事業の造注方式の強化では、東京郊外の好立地アクティブ・シニア向けマンションなどを推進するほか、九州エリアへ進出した。再開発事業の強化では、JR前橋駅北口地区第一種市街地再開発事業に共同施工者として参画し、20年11月に施設建築物新築工事を着工、24年3月に完成、24年6月に引き渡し完了した。

 21年9月には新ジャンルの分譲マンション「CANVAS」ブランドを立ち上げた。暮らす方々の身体的・精神的・社会的な健康状態がバランス良く調和の取れた状態であることを意味する概念「ウェルビーイング」をブランドコンセプトとして、子会社ファーストエボリューションが竣工後の管理・販売代理・入居者サービス提供を行う。第一弾として中央住宅および中央日本土地建物との共同事業である分譲マンション「CANVAS南大沢」(東京都八王子市)が22年11月に竣工した。

 M&A・アライアンスでは、23年9月に小林工業(群馬県前橋市)と共同住宅建設に係る請負工事受注に関して業務提携した。また23年12月に吉田組(群馬県桐生市)と共同住宅建設に係る請負工事受注に関して業務提携した。

 またサステナビリティ経営に関しては24年7月にマテリアリティ(重要課題)を特定し、サステナビリティ基本方針およびサステナビリティ推進委員会のもとで取り組みを強化している。

■24年5月期は減益着地、25年5月期は大幅増収増益・増配予想

 24年5月期の連結業績は売上高が23年5月期比11.5%増の284億85百万円、営業利益が26.7%減の14億53百万円、経常利益が28.1%減の14億22百万円、親会社株主帰属当期純利益が30.8%減の9億44百万円だった。配当は23年5月期比4円減配の31円(期末一括)とした。配当性向は39.2%となる。

 建設資材価格の高止まりや労務単価の上昇などの影響で減益だった。ただし前回予想(一部の事業用地売上の期ズレ等により5月16日付で下方修正、売上高284億円、営業利益14億円、経常利益13億70百万円、親会社株主帰属当期純利益9億10百万円)を上回る水準で着地した。

 セグメント別に見ると、建設事業は売上高が11.0%増の219億81百万円で営業利益(全社費用等調整前)が15.5%減の18億94百万円、不動産事業は売上高が25.8%増の62億85百万円で営業利益が50.2%増の10億26百万円だった。

 なお全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が59億40百万円で営業利益が2億11百万円、第2四半期は売上高が76億51百万円で営業利益が4億59百万円、第3四半期は売上高が73億11百万円で営業利益が5億82百万円、第4四半期は売上高が75億83百万円で営業利益が2億01百万円だった。

 25年5月期の連結業績予想は、売上高が24年5月期比21.1%増の345億円、営業利益が54.8%増の22億50百万円、経常利益が52.6%増の21億70百万円、親会社株主帰属当期純利益が58.7%増の15億円としている。配当予想は24年5月期比7円増配の38円(期末一括)としている。大幅増配で予想配当性向は30.3%となる。

 大幅増収増益・増配予想としている。完成工事が順調に推移し、前期からズレ込みとなった事業用地売上なども寄与する見込みだ。なお7月22日には販売用不動産の取得(他社との共同事業推進を前提とした共同購入で共有持分を取得、引渡日は25年4月30日予定)を発表した。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。

■株主優待制度は毎年11月末の株主対象

 株主優待制度(詳細は会社HP参照)については、毎年11月末現在の株主を対象として、保有株式数および保有期間に応じてクオカードを贈呈している。

■株価は下値切り上げ

 株価は徐々に下値を切り上げて反発の動きを強めている。高配当利回りなど指標面の割安感も評価材料であり、出直りを期待したい。7月29日の終値は795円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS125円49銭で算出)は約6倍、今期予想配当利回り(会社予想の38円で算出)は約4.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS708円48銭で算出)は約1.1倍、そして時価総額は約106億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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