ローランド Research Memo(3):グローバル楽器市場は安定的に成長。市場トレンドの変化が追い風となる

2024年7月26日 13:43

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記事提供元:フィスコ

*13:43JST ローランド Research Memo(3):グローバル楽器市場は安定的に成長。市場トレンドの変化が追い風となる
■会社概要

3. 市場環境
ローランド<7944>事業を取り巻く市場環境について、グローバル楽器市場は2016年から2021年の年平均成長率(CAGR)は3.8%(出所:Music Trade Magazine)であり、年度による増減はあるものの、中長期で見れば安定的に成長している。2022年以降は、コロナ需要の反動減、ウクライナ問題や、金利の上昇、需給バランスの崩れによる販売店在庫の調整などが継続しているものの、2025年以降は通常の成長軌道に回帰すると同社では予測している。

市場トレンドとしては、新しいライフスタイルが定着し、余暇時間が増加傾向にあるなか、余暇の楽しみ方の1つとして音楽が選ばれるようになっている。これまでの音楽の楽しみ方は「聴く」が中心であったが、動画コンテンツの充実やSNS・Web配信の普及により音楽を「創る」、「発信する」ことが容易になった。同社の事業領域である電子楽器は、手頃な価格帯、軽量・コンパクト、音量の調節が可能、オンラインで購入しやすい、メンテナンスフリーなどの理由から演奏を始めることが簡単で、インターネットとのコネクティビティや、タブレット・スマートフォンとの連携、レッスン機能などにより、様々な楽しみ方が可能である。このような外部環境の変化は、同社にとって追い風になると弊社では見ている。

4. 競争優位性
同社の優位性としては、「ゲームチェンジャーマインドセット」「多次元」「Roland Platform」「アジリティ」の4つが挙げられる。

(1) 「ゲームチェンジャーマインドセット」
同社は、Game Changer製品を生み出せる背景として「企画力」「技術力」「経営判断」を挙げている。実際に製品を顧客に届けることで多くのフィードバックを得ることができ、そのフィードバックを元にさらに「企画力」を磨く好循環を生んでいる。創業50年以上にわたる技術の蓄積による、カスタムLSIやDSP技術、センサー技術、サウンドサンプリングなど、ハードウェアとソフトウェアにおける優位性は元より、タッチやフィーリング、レスポンスなど、音楽的な表現につながる点についても様々な知見を蓄積し、楽器としての完成度を高め続けてきた。これらの技術・ノウハウにより高い品質を実現し、製品価格設定において優位性を持つ。

同社は、国産初のシンセサイザーSH-1000の発売から、世界初のギター・シンセサイザー、メッシュ・ヘッドを備えた電子ドラムなど、多くの革新的な製品を発売してきた。近年では、アコースティック・ドラムと電子ドラムどちらでも演奏を楽しめるコンバーチブル・ドラムや、電子管楽器、電子和太鼓などの新製品投入による市場創造にも取り組んでおり、ゲームチェンジャーとしてのマインドセットを体現し続けている。

(2) 「多次元」
同社は世界に誇るグローバルブランドである。海外売上高比率は約90%を占め、幅広い楽器カテゴリーを世界中の音楽ファンに提供している。近年、同社はハードウェアとインターネットのコネクティビティに注目している。「Roland Cloud」のサービスを拡充し、対象のハードウェアや顧客層を拡大していく方針である。同サービスの収益モデルは、サブスクリプション収益・単品販売収益・ハードウェア販促効果からなる。このうちサブスクリプション収益と単品販売収益は、様々なサービスの提供によりLTV(ライフタイムバリュー)の向上が期待できる。また、ハードウェア販促効果としては、クラウドサービスによる差別化で製品競争力が向上する。

(3) 「Roland Platform」
同社は、「Roland Platform」で顧客データを一元化・見える化し、データによって得られた深い顧客理解に基づき、製品やサービスを充実させている。このサイクルは顧客とのコミュニケーションを向上させることから、マーケティングを最適化するための強力なエンジンであると言える。なお、同社はRoland Accountを2022年12月期の230万から2025年12月期に340万まで拡大することを目指している。

(4) 「アジリティ」
同社は2014年のMBOを経て、企業価値経営を推進する体制を構築した。MBOによるガバナンス体制の一新により、アジャイルな経営判断が可能となり、コロナ禍という危機的な状況にも柔軟に対応し、着実に成長している。また、ROEは20%以上と、ベストインクラスの資本収益性を誇る。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)《SO》

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