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フォーバル Research Memo(2):情報通信分野を得意とする中小・小規模企業向け企業ドクター集団
*13:32JST フォーバル Research Memo(2):情報通信分野を得意とする中小・小規模企業向け企業ドクター集団
■会社概要
1. 会社概要
フォーバル<8275>は、中小企業の「ESG経営を可視化伴走型で支援する次世代経営コンサルタント集団」を基本戦略として事業を展開している。IP統合システム、情報セキュリティ、Web構築などの情報通信コンサルティングを得意とし、総合コンサルティング、海外進出、人材・教育、環境、事業承継などの経営コンサルティングを行う。従来は情報通信機器の卸売販売を主に行っていたが、2000年代半ばに大きな売上・利益減に直面し、可視化伴走型経営支援(アイコンサービス)を主軸としたコンサルティング業態に転換した。このビジネスモデルの転換が成功し、2020年3月期まで営業利益は12期連続の増益を達成、新型コロナウイルス感染症拡大で減益となったが直近決算では過去最高益を更新した。情報化や経営改善、海外進出や事業承継など中小・小規模企業が抱える様々な課題を解決するユニークな企業である。全国各地の中小・小規模企業においてもDX・GX、ESG経営が喫緊の課題となっており、同社の役割がより大きくなっている。
2. 沿革
同社は、電気通信機器、コンピュータ及び端末機器の販売、設置工事などを事業目的とする新日本工販(株)として、1980年に設立された。1988年に、創業者で現 代表取締役会長の大久保秀夫(おおくぼひでお)氏が「第1回アントレプレナー大賞」を受賞し、当時の日本最短記録で店頭登録銘柄として株式を公開した。1991年には、「For Social Value」から着想を得て現在の社名の(株)フォーバルに商号を変更した。その後、2008年に総合ITコンサルティングサービス「可視化伴走型経営支援(アイコンサービス)」の提供を開始した。また、2014年1月に東京証券取引所(以下、東証)第2部へ市場変更、同年10月に第1部に指定された。
創業以来、同社は情報通信の分野でユーザーの視点から「新しいあたりまえ」を創出することに注力してきた。創業当時の電話機の自由化から始まり、市外料金の値下げ、国際料金の値下げ、市内料金の値下げに続き、回線基本料の自由化、法人携帯電話の普及と通話料金のさらなる削減を目標に挑戦してきた。現在は、中小企業の「ESG経営を可視化伴走型で支援する」と明確な目的を設定し、コンサルティングファームへの進化を掲げ、可視化伴走型経営支援(アイコンサービス)のほか、次世代経営コンサルティング事業で中小企業に経営技術を伝授している。同社はM&Aを積極活用しており、総合環境コンサルティングビジネスグループの(株)アップルツリー、その他事業グループの(株)アイテックなど、多くの企業がM&Aにより連結子会社となり、業績を伸ばしている。近年では、2020年7月のカエルネットワークス(株)(現 (株)フォーバルカエルワーク)完全子会社化、2021年7月の(株)エルコム子会社化などが注目される。2024年に入ってからも3社((株)Meisin、タニタヘルスリンク、エフピーステージ)の子会社化を行っており、グループ企業の拡大が加速している。2021年3月には、DX推進の準備が整っている(DX-Ready)事業者を経済産業省が認定する「DX認定制度 認定事業者」に、同年4月には、中小企業に対して専門性の高い支援を行っている企業として「経営革新等支援機関」に、それぞれ認定された。
2022年には中長期の成長戦略テーマとして「中小企業のGDX(グリーンデジタルトランスフォーメーション)化の伴走型アドバイザーとして確固たる地位の確立」を掲げて取り組みを開始した。なお、同年4月の東証再編でプライム市場に移行したが、2023年10月に諸要件を検討した結果、スタンダード市場に移行している。
3. 事業内容
同社は、主軸の可視化伴走型経営支援(アイコンサービス)やセキュリティ関連、複写機などのハードウェアを販売する「フォーバルビジネスグループ」、光回線サービスやISPなどの通信サービスを取り扱う「フォーバルテレコムビジネスグループ」、太陽光発電システムやLED、蓄電池など環境関連商品を取り扱う「総合環境コンサルティングビジネスグループ」、人材・教育サービス及びシステム開発などを提供する「その他事業グループ」の4つの事業セグメントから構成される。
2024年3月期通期は、フォーバルビジネスグループが全社売上高の構成比で52.5%、全社セグメント利益の構成比で59.8%、フォーバルテレコムビジネスグループが売上高の構成比35.7%、セグメント利益の構成比29.0%であり、上位2セグメントが主力である。総合環境コンサルティングビジネスグループはアップルツリーが主体であり黒字化を達成した。その他事業グループには、人材・教育分野のサービスを行うアイテック、システム開発を行うフォーバルカエルワークが含まれ成長力があり、収益性も高い(セグメント利益の構成比8.8%)。
4. 人材の育成と処遇
同社は顧客企業との接点を重視しており、接点を担う人材の育成に力を入れている。毎年入社する約70名の新入社員には、1年間という長い研修期間が設けられており、入社1年後に配属が決まる。1年間のなかで、同社の中核サービスである可視化伴走型経営支援(アイコンサービス)のアドバイザー、遠隔サポートのコールセンター、営業部門などを経験し、必要な専門知識やスキルを学んでいく。また、同社の業務を遂行するうえで、ITの基礎知識は必要不可欠であるという考えから、10以上の推奨資格を明示し、能力開発に活用している。なかでも(1) インターネット検定 ドットコムマスター、(2) ビジネス統計スペシャリスト、(3) 個人情報保護士認定試験、(4) DXアドバイザー検定、(5) eco検定(環境社会検定試験)(R)の5つの資格を重要視しており、顧客接点を持つ部署(コンサルティング、コールセンター、営業)のほぼ全員が取得している。同社グループには企業ドクターが890名(2024年4月1日現在)、パートナー企業には979名(2024年5月末時点)在籍しており、中小企業支援の第一線で活躍している。
同社はITなどにより顧客企業の生産性を向上させ、中小・小規模企業の課題である長時間労働を解決する支援を行ってきた。自らも残業時間の削減や有給休暇の取得などを継続的に推進し、従業員の健康と生産性向上を図っている。特に、柔軟な働き方、メンタルヘルスなどのストレス関連疾患の発生予防、生活習慣病などの発生予防を重点課題と捉え、積極的に取り組んできた。2024年3月には、特に優良な健康経営を実践している法人を顕彰する「健康経営優良法人」に7年連続で認定されている。また、「幸せの分配」と呼ぶ基本方針「会社の努力によって得た利益の増加分は、株主と会社と社員で3等分する」を掲げ、社員のモチベーションを高めている。2023年12月には、人的資本の情報開示に関する国際的ガイドライン「ISO 30414」の認証を取得した(国内7社目)。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)《SO》
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