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原油先物、3カ月ぶり高値の要因は!?
●原油先物が83ドル台に
原油先物が7月に入り、上昇している。北海ブレント先物が一時1バレル=85ドル台、WTIも4月末以来の1バレル=83ドル台を付けた。
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ロイター通信によると、OPEC(石油輸出国機構)は10日に発表した月報で、2024年の石油需要予測について、前年比で日量225万バレル、25年には日量185万バレルそれぞれ増加するとの従来予測を据え置いた。
背景には経済成長が堅調なことで、旺盛な旅行需要が航空機の燃料消費を活性化させるとの見方がある。
利下げへの期待から米国の経済指標に神経質になり、地政学リスクも燻る中、原油先物の価格はこれからどうなるだろうか?
●上昇の要因
EIA(米エネルギー情報局)が発表した5日までの1週間の米原油在庫の減少幅は、予想を大きく上回る結果となった。
7月5日の雇用統計では、労働市場の減速が顕著となり、FRBパウエル議長は9日の議会証言で利下げの根拠が強まっていることを示唆するなど、ここにきて利下げへの期待が高まっている。
イスラエルとハマスのガザでの紛争は収束の見込みがなく、さらにイスラエルとレバノンの武装組織ヒズボラとの攻撃の応酬も激化している。
米国原油の主要産地テキサス州をハリケーン「ベリル」が襲い、一時人員が避難するなど、原油への被害も懸念されたが、被害は最小限に留まったと見られている。
●どこまで上がるのか?
原油への需要は高い状態を維持しながら、景気の減速により利下げへと動かざるを得なくなっており、より原油高になりやすい状況となっている。
9月の利下げへの期待は日に日に高まっており、12月に2回目の利下げもあり得るという予測も出てきている。11日に発表されたCPIの結果は前月比で-0.1%となっており、景気の減速が確信に変わりつつある。
CPIの結果を受けて、WTIは再び1バレル=83ドルに回復したが、この先90ドルさらに100ドルまで上昇するかは疑問符がつく。
OPECプラスの自主減産が10月以降どうなるか、11月の米大統領選挙の結果などを控えており、まだまだ波乱要素は多く、値動きも限定的になるかもしれない。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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