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エヌ・シー・エヌ Research Memo(10):2025年3月期は、脱炭素化に向けた事業の拡大を予想(2)
*13:10JST エヌ・シー・エヌ Research Memo(10):2025年3月期は、脱炭素化に向けた事業の拡大を予想(2)
■エヌ・シー・エヌ<7057>の今後の見通し
2. 中期計画の進捗状況と今後の成長戦略
中期計画の初年度である2024年3月期について、期初計画に対する実績は、売上高9,055百万円に対して7,998百万円(達成率88.3%)、営業利益233百万円に対して83百万円(同35.7%)と計画を大きく下回った。新設住宅着工戸数が低調に推移した影響等により、住宅分野の進捗が計画を大きく下回ったことが要因であることから、中期計画を見直すことを公表している。
今後の成長戦略として、(1) 登録施工店数増加による住宅分野のシェア拡大や非住宅分野への販売展開、(2) 構造計算・省エネ計算や部材供給力に、子会社の翠豊が持つ大規模木造建築の特殊加工や施工力を加えた同社独自の非住宅大規模木造建築に関するワンストップサービスの展開、(3) 2025年4月の建築基準法改正による構造計算、エネルギー計算の需要拡大への対応、(4) 非住宅向けのZEB認定サポートなど建築物の省エネルギー化支援の展開、などを挙げている。
住宅分野では、「構造計算ナビ」「耐震シミュレーション」「省エネシミュレーション」の3サービスを活用して登録施工店の営業をサポートする。建築基準法改正に伴い、SE構法の優位性が拡大していることから、基準強化への対応が必要な顧客へ重点的に訴求する。
大規模木造建築(非住宅)分野では、良品計画が今後出店する木造店舗が期待される。既述のとおり、今後5年間に10,000m2の国産材を利用する計画だ。同社では年間20,000m2程度の木材を使用しており、その10%が良品計画から新たに見込まれることになる。このほか、登録施工店の非住宅分野への参入を促すため、省エネ計算やBIM、積算等を活用し、登録施工店の営業活動をサポートする。環境分野では、増加の見込まれる省エネ計算への対応や、非住宅向けZEB化支援の強化を推進する。
新しいライフスタイルへのSE構法の提供としては、セカンドハウスマーケットの開拓をはじめとする新事業に投資し、SE構法とのシナジーを創出させる計画だ。MUJI HOUSEによるセカンドハウス・宿泊施設事業のほか、一宮リアライズによる地方創生・グランピング事業、さらにN&S開発によるセカンドハウス事業など、新たなマーケットの創造により、SE構法の認知度も高まるだろう。
持続可能な森林資源と経済の循環を実現する新たな木造建築市場等の創出に向けた政府の市場領域ロードマップによると、2030年時点で、木材活用大型建築(低層住宅を除く)の市場規模は1兆円を見込んでいる。
同社は鉄骨造と同様の精密に構造計算されたSE構法により、木造建築での資産価値の高い家の提供に取り組む。樹木は光合成を行うことにより温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)を大気中から吸収し、木質繊維の形で炭素を蓄積している。木造住宅が増えることによって、その分だけCO2貯蔵量が増加するため、大気中からCO2を取り除いたことになり、RC造から木造に構造を変更することで相当量のCO2削減効果が生まれる。耐震長寿命化につながる耐震シミュレーションやライフスタイルに合わせたスケルトン・インフィルのほか、省エネ計算、高断熱パッシブデザインといった省エネ住宅化なども含め、同社が展開するすべての事業はCO2削減に不可欠な事業と言える。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)《AS》
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