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TDCソフト Research Memo(1):2024年3月期はすべての事業分野が好調
*15:01JST TDCソフト Research Memo(1):2024年3月期はすべての事業分野が好調
■要約
TDCソフト<4687>は、金融業界のITソリューションに強みを持つ、独立系システムインテグレーターである。日本のIT業界の歴史を長く支えてきた確かな技術力をベースに、銀行、クレジット、保険向けの金融ITソリューション分野が売上の5割弱を占める。また、既存のシステムインテグレーション(以下、SI)事業領域を軸に新たな事業領域の拡大を目指している。最新の要素技術を活用した「高付加価値SIサービス」を推進しており、この取り組みによって次世代型SI事業は順調に拡大、ITコンサルティング&サービス分野の高成長が続いている。
1. 2024年3月期の業績概要
2024年3月期は、売上高39,698百万円(前期比12.6%増)、営業利益3,807百万円(同10.1%増)、経常利益4,253百万円(同14.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,089百万円(同24.1%増)と前期比増収増益となった。同社は2024年2月に業績予想を上方修正し、売上高39,500百万円(期初計画比5.9%増)、営業利益3,800百万円(同7.0%増)、経常利益4,250百万円(同13.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,005百万円(同19.7%増)とした。最終的には売上高、各段階利益とも修正計画を上回る好調な決算となった。業界を問わず企業が戦略的なIT投資を進めるなか、同社が事業を展開する各分野の売上高は、ITコンサルティング&サービス分野で前期比18.0%増、金融ITソリューション分野で同10.8%増、公共法人ITソリューション分野で同11.8%増、プラットフォームソリューション分野で同14.1%増と、いずれも2ケタの伸び率を確保した。高付加価値SIサービスである次世代型SI事業も、全体売上高に占める割合が同1.0ポイント上昇の25.5%と順調に拡大した。同事業の売上高は2020年3月期からの5年間で5.3倍となり、今後の事業拡大の牽引役となることが期待される。利益面では、売上総利益は増収により前期比で8.5%増加した。新卒採用者数の拡大や早期戦力化のための人件費の増加や、次世代型SI事業拡大に向けた開発投資、ワークプレイス戦略「Smart Work構想」に伴う本社移転費用等の成長投資により販管費が同7.1%増加したものの、増収効果が上回り、営業利益は同10.1%の増益となった。親会社株主に帰属する当期純利益については、投資有価証券売却益や賃上げ促進税制適用の減税効果により、同24.1%増と大幅増益となった。
2. 2025年3月期の見通し
2025年3月期の連結業績は、売上高43,000百万円(前期比8.3%増)、営業利益4,300百万円(同12.9%増)、経常利益4,600百万円(同8.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,090百万円(同0.0%増)を見込む。2025年3月期も同社を取り巻く事業環境は引き続き堅調な需要が見込まれるため、売上高については、当初計画の40,000百万円に3,000百万円を上乗せし、43,000百万円(期初計画比7.5%増)とした。2024年3月期末における受注残高は10,128百万円(前期末比15.0%増)と好調であり、2025年3月期上期も案件の引き合いが多いことから、売上高予想はかなり確度が高いと弊社では見ている。利益面については、先端要素技術の獲得に向けた研究開発投資や、人材の確保・育成のための投資を積極的に行う考えであるものの、増収効果に加えて、収益性の高い高付加価値SIサービスやプライム案件を引き続き拡大し、営業利益率10%を確保しながらさらなる成長への歩みを進める。親会社株主に帰属する当期純利益については、2024年3月期の賃上げ促進税制適用の減税効果の反動で前期並みを見込む。
3. 中期経営計画「Shift to the Smart SI Plus」の進捗
2023年3月期からスタートした中期経営計画(FY2022~FY2024)「Shift to the Smart SI Plus」では、主要戦略としての「高付加価値SIサービスの追求」と「SIモデル変革の推進」に、Plusとして「事業領域の拡大」を掲げた。「高付加価値SIサービスの追求」においては、事業の拡大と高収益化を推進するため、アジャイル開発事業とセキュリティ関連事業を重点戦略分野と位置付けている。顧客の潜在ニーズを捉え、アジャイル、セキュリティ等の最新の要素技術等を活用することで、高付加価値サービスの提供と時間や手間などを含めたユーザコストの低減を両立したインテグレーションサービスである次世代型SI事業を順調に拡大させている。その結果、同事業の2024年3月期の売上高は全売上高の25.5%となり、売上に即した事業の拡大やコスト削減の取り組みにより収益性も向上した。アジャイル開発事業の売上高が順調に拡大するのに呼応して、セキュリティ関連事業についても既存顧客へクロスセルによるビジネス展開を図り、トータルセキュリティソリューションサービスの売上を着実に伸ばしている。
■Key Points
・2024年3月期は次世代型SI事業が順調に拡大するとともに、すべての事業分野が好調
・クラウド系ソリューションにおいて収益性の高いプライム案件が拡大
・最新の要素技術獲得や人材確保・育成に関する投資を積極的に実行
・社員エンゲージメント向上と事業拡大に対応して本社を移転し、旧本社を開発拠点化
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)《HN》
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