ミダックHD Research Memo(1):廃棄物の適正処理を通じて循環型社会の確立を目指す企業集団

2024年7月5日 16:01

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記事提供元:フィスコ

*16:01JST ミダックHD Research Memo(1):廃棄物の適正処理を通じて循環型社会の確立を目指す企業集団
■要約

ミダックホールディングス<6564>は、廃棄物の適正処理を通じて循環型社会の確立を目指す企業集団の純粋持株会社である。「ミダック」の社名は、環境を象徴する「水」「大地」「空気」の頭文字に由来している。かけがえのない地球を美しいまま次代に渡すことを使命とし、その前線を担う環境創造集団を目指して事業者の廃棄物処理・管理等に関するソリューション事業を展開している。2022年4月に創業70周年を迎えた。

1. 収集運搬~中間処理~最終処分の一貫処理体制が特徴・強み、利益率の高い収益構造
産業廃棄物・特別管理産業廃棄物の収集運搬・処分、及び一般廃棄物の収集運搬・処分を展開し、事業区分は廃棄物処分事業、収集運搬事業、仲介管理事業としている。廃棄物処分事業は、事業者(企業・地方公共団体等)から排出される廃棄物を、自社施設で中間処理(焼却、破砕、水処理、コンクリート固化など)及び最終処分する廃棄物処理サービスである。収集運搬事業は、事業者から排出される廃棄物を回収し、処理場まで運搬するサービスである。仲介管理事業は、自社処理が困難な廃棄物や自社の商圏以外の廃棄物について、自社以外の処理業者へ顧客(排出事業者)を紹介するサービスである。利益率の高い廃棄物処分事業が約9割を占めている。同社の特徴・強みとしては、同業の多くが収集運搬業のみや中間処理業のみであるのに対して、同社グループは様々な設備を有することで、収集運搬から中間処理・最終処分までを請け負う一貫処理体制を構築していることがある。この結果、極めて利益率の高い収益構造となっている。

2. 2024年3月期は前回予想を上回る大幅増収増益で着地
2024年3月期の連結業績(第3四半期より遠州砕石とフレンドサニタリーのP/Lを取り込み)は売上高が前期比22.8%増の9,547百万円、営業利益が同28.4%増の3,538百万円、経常利益が同25.5%増の3,377百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同13.1%増の1,907百万円だった。前回予想(2024年2月14日付修正値)を上回る大幅増収増益で着地した。廃棄物処分事業の奥山の杜クリーンセンターにおける廃棄物受託量の大幅増加が全体業績を牽引し、収集運搬事業において第3四半期からP/Lを取り込んだフレンドサニタリーの業績も寄与した。売上総利益率は同1.8ポイント上昇して61.4%となった。利益率の高い最終処分の大幅伸長が牽引した。販管費比率は同0.2ポイント上昇して24.3%となった。M&Aに係る費用や一般管理費が増加した。この結果、営業利益率は同1.6ポイント上昇して37.1%となり、高収益化が一段と進展した。

3. 2025年3月期も増収増益予想、さらに上振れの可能性あり
2025年3月期の連結業績予想は売上高が前期比8.8%増の10,391百万円、営業利益が同8.8%増の3,849百万円、経常利益が同14.9%増の3,881百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同30.3%増の2,484百万円としている。増収増益予想である。奥山の杜クリーンセンターにおける廃棄物受託量増加などに加え、遠州砕石とフレンドサニタリーの通期連結も寄与して売上高100億円突破を目指す。売上総利益率についてはコスト増加等により若干の低下を見込むが、一方で前期計上したM&Aに係る一時的費用が剥落して販管費の減少を見込んでいる。この結果、営業利益率は前期並みの高水準の計画としている。経常利益は前期の営業外費用で発生した一時的費用が剥落して2桁増益、親会社株主に帰属する当期純利益は法人税等の減少により大幅増益予想としている。なお会社予想については、通期ベースの売上総利益率の想定が保守的な印象が強い。高収益の最終処分において特に奥山の杜クリーンセンターの廃棄物受託量が想定以上に増加基調であること、収益性が高い子会社フレンドサニタリーの業績が通期で寄与すること、さらに廃棄物一貫処理体制によるグループシナジー向上効果も期待されることなどを勘案すれば、会社予想に上振れの可能性があるだろうと弊社では考えている。

4. 長期ビジョン「Challenge 80th」及び第1次中期経営計画の進捗は順調
同社は2022年に創業70周年を迎えたことを機にミダックグループ10年ビジョン「Challenge 80th」を策定し、この実現に向けて5ヶ年の中期経営計画を2次にわたって推進するため第1次中期経営計画を策定した。基本戦略として業界屈指の総合廃棄物処理企業への進化を目指し、第1次中期経営計画期間(2023年3月期〜2027年3月期)を成長加速のための基盤づくりのステージ、第2次中期経営計画期間(2028年3月期〜2032年3月期)を成長加速による業界屈指の地位確立のステージと位置付けた。業績目標数値には、第1次中期経営計画最終年度2027年3月期(M&Aを除きオーガニック成長のみ)の売上高100億円、経常利益50億円、「Challenge 80th」最終年度2032年3月期(M&Aを含む)の売上高400億円、経常利益120億円を掲げている。処理施設や許可を多数保有する優位性を武器として、市場規模の大きい関東エリアへの積極展開により、高い利益率を維持しながら規模の拡大を目指す方針としている。2024年3月期時点でオーガニック成長のみの売上高は89.5億円となっており、2027年3月期の売上高目標100億円に向けて順調に推移していると言えるだろう。

5. 高利益率の事業戦略と収益構造を評価、成長戦略の進捗状況に注目
同社の業績推移を見ると右肩上がりの拡大トレンドとなっている。利益率も上昇基調であり、規模の拡大と利益率の上昇を見事に両立させている。廃棄物一貫処理体制の強みを生かしながら、利益率の高い最終処分の拡大を推進している成果だと考えられる。最終処分場の新設にはかなりの期間を要するが、同社は中長期的な視点で事業計画を作成しており、この高利益率を実現している同社の事業戦略と収益構造を高く評価するべきだろうと弊社では考えている。また産業廃棄物処理業は地味な印象がある業種だが、持続可能な社会の実現、循環型社会の確立、2050年カーボンニュートラルを目指すSDGs関連において、廃棄物の減容化・無害化によって地球環境保全に貢献するなど重要な役割を果たしている業種であり、中長期成長の余地も大きいと考えられる。したがって、成長加速のための基盤づくりのステージと位置付けている第1次中期経営計画の進捗状況に注目したいと考えている。

■Key Points
・廃棄物の適正処理を通じて循環型社会の確立を目指す企業集団の純粋持株会社
・収集運搬~中間処理~最終処分の一貫処理体制が特徴・強み、利益率の高い収益構造
・2024年3月期は前回予想を上回る大幅増収増益で着地
・2025年3月期も増収増益予想、さらに上振れの可能性あり
・関東エリアへ積極展開などにより高い利益率を維持しながら規模の拡大を目指す
・高利益率の事業戦略と収益構造を評価、成長戦略の進捗状況に注目

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)《SO》

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