ダイナムジャパンHD Research Memo(7):航空機の新規購入により有利子負債増も今後は徐々に改善方向に

2024年7月4日 18:07

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記事提供元:フィスコ

*18:07JST ダイナムジャパンHD Research Memo(7):航空機の新規購入により有利子負債増も今後は徐々に改善方向に
■2024年3月期決算の状況

2. 財政状態
ダイナムジャパンホールディングス<06889/HK>の2024年3月期末の資産合計は前期末比40,437百万円増加の366,045百万円となった。主な増減要因を見ると、航空機の新規購入に伴い現金及び預金が9,496百万円減少したほか、遊技機の資産が4,370百万円減少し、一方で航空機資産が40,233百万円、使用権資産が7,388百万円、無形資産が3,271百万円それぞれ増加した。使用権資産の増加は、M&A及び賃借不動産の再契約によるものとなっている。なお、遊技機の資産残高は前期末の36,281百万円から31,911百万円となった。なお、実際の遊技機購入額は2期連続で減少しており、2025年3月期も現段階では遊技機購入額を抑える方針であるため、減価償却費は前期をピークに減少に転じる見込みである。

負債合計は前期末比37,376百万円増加の234,557百万円となった。航空機の購入等により有利子負債が28,157百万円増加したほか、M&A及び賃借不動産の再契約によりリース負債が6,311百万円増加した。

資本合計は前期末比3,061百万円増加の131,488百万円となった。配当金支出3,545百万円及び自己株式の取得・消却を1,353百万円実施したが、親会社に帰属する当期利益3,384百万円を計上したほか、円安の進行により為替換算調整勘定が5,448百万円増加した。

キャッシュ・フローの状況について見ると、営業活動によるキャッシュ・フローが64,877百万円の収入となった一方で、投資活動によるキャッシュ・フローが83,628百万円の支出(うち、有形固定資産取得で78,084百万円)となり、フリー・キャッシュ・フローは18,751百万円の支出となった。銀行借入を実施したことにより、財務活動によるキャッシュ・フローは8,726百万円の収入となったものの、航空機の購入など支出額が膨らんだことにより期末の現金及び現金同等物の残高は前期末から9,496百万円減少の50,109百万円となった。

自己資本比率は有利子負債の増加を主因として前期末の39.4%から35.9%に低下し、ネットキャッシュ(現金及び預金−有利子負債)もマイナス額が前期の12,562百万円から50,215百万円に膨らむなど財務内容はやや悪化した。主に航空機リース事業で借入金が膨らんだためだが、航空機購入に係る借入金については、全額ノンリコースローン(非遡及型融資)の形態をとっている。このため返済については航空機リース事業のキャッシュ・フローを原資とし、その範囲以上の返済義務を負わない契約とすることで借入に伴うリスクを軽減している。同事業においては利回りが安定していること、また主力のパチンコ事業も回復基調が続いていることから、2025年3月期以降は財務状況も徐々に改善していくものと弊社では見ている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)《SO》

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