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タメニー Research Memo(9):2024年3月期はおおむね計画水準の黒字を回復
*13:19JST タメニー Research Memo(9):2024年3月期はおおむね計画水準の黒字を回復
■業績動向
1. 2024年3月期の業績概要
タメニー<6181>は2023年3月31日付で子会社タメニーアートワークスを吸収合併するとともに、子会社タメニーエージェンシーを非連結子会社化して2024年3月期より非連結決算に移行した。2024年3月期の業績(非連結)は売上高が5,598百万円、営業利益が77百万円、経常利益が27百万円、当期純利益が3百万円だった。おおむね期初計画(売上高5,780百万円、営業利益50百万円、経常利益0百万円、当期純利益20百万円)水準の黒字を回復した。なお2023年3月期の連結決算との比較で見ると、売上高は5百万円減少、営業利益は228百万円増加、経常利益は257百万円増加、当期純利益は240百万円増加となった。
売上面は法人向け事業(イベントプロデュース事業「イベモン」)を譲渡したため小幅に減収となったが、カジュアルウェディング事業が回復基調となったことなどにより実質的には増収だった。利益面は、売上総利益が107百万円減少したが、広告効率化や拠点統廃合など前期までに実施した事業構造改革の成果に加え、法人向け事業の譲渡により販管費が336百万円減少したため、各利益とも黒字を回復した。販管費の増減(法人向け事業譲渡を除くベースで181百万円減少)としては、人件費が74百万円増加した一方で、広告販促費が92百万円減少、減価償却費が57百万円減少、地代家賃が64百万円減少、その他が41百万円減少した。特別利益には助成金収入27百万円を計上、特別損失には減損損失(原状回復費用、一部店舗資産の減損)64百万円を計上した。また法人税等では法人税等調整額▲16百万円(益)を計上した。なおEBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却費)の四半期別推移を見ると、2022年3月期第2四半期以降は黒字が定着している。
2. 事業別の動向
セグメント別業績については、以下のとおりである。なお、2024年3月期よりセグメント区分を変更し、従来のテック事業とライフスタイル事業を統合してライフ&テック事業、従来の法人・自治体向け事業を法人向け事業譲渡などに伴い地方創生事業としている。
婚活事業は売上高が2,117百万円で営業利益が529百万円、カジュアルウェディング事業は売上高が3,047百万円で営業利益が43百万円の損失、ライフ&テック事業は売上高が243百万円で営業利益が56百万円、地方創生事業は売上高が217百万円で営業利益が24百万円、調整額は売上高が▲26百万円で営業利益が▲490百万円だった。
婚活事業は、前期連結決算との比較で売上高が155百万円減少、営業利益が57百万円減少した。結婚相談所「パートナーエージェント」の新規入会者数は115名減少して4,601名、期末在籍会員数は408名減少して8,160名となった。新規入会者数、期末在籍会員数とも減少したことに加え、各種入会キャンペーン(割引含む)の実施による入会単価減少も影響したため減収減益だったが、おおむね計画水準で着地した。また新規入会者数の減少傾向がほぼ下げ止まった形であり、業績の底打ち感を強めている。なお婚活パーティー「OTOCON」は、運営最適化とサービス品質向上を目的として戦略的に開催数を減らしているため、開催数、参加者数とも減少した。
カジュアルウェディング事業は、前期連結決算との比較で売上高が356百万円増加し、営業利益は185百万円改善(営業損失縮小)した。施行件数は、カジュアル挙式披露宴プロデュース「スマ婚」シリーズが633件で32件増加、結婚式二次会プロデュース「2次会くん」が1,327件で584件増加した。施行件数の増加に加え、事業構造改革による原価改善効果なども寄与した。さらに成約件数も回復基調であり、2025年3月期に一段の業績回復が期待できる状況だ。なおフォトウェディングプロデュース「LUMINOUS」については、通期ベースでは成約件数、施行件数とも減少したが、スタジオリニューアル(2023年7月にLUMINOUS Odaibaをリニューアル)効果などで下期は回復(施行件数は上期1,828件、下期2,172件)に転じている。
ライフ&テック事業は、前期連結決算のテック事業とライフスタイル事業の合計値との比較で売上高が3百万円増加、営業利益が33百万円減少した。婚活事業者間相互会員紹介プラットフォーム「CONNECT-ship」のお見合い成立件数と保険販売の新規保険契約証券数は減少したが、一方で婚活事業者間相互会員紹介プラットフォーム「CONNECT-ship」と連携した婚活パーティーや結婚相談所連盟も貢献して小幅ながら増収だった。利益面は体制強化に向けた人件費増加などの影響で減益だった。
地方創生事業は、前期連結決算の法人・自治体向け事業との比較で売上高が203百万円減少、営業利益が50百万円減少した。売上面は法人向け事業譲渡の影響で減収だが、この影響を除くと21百万円増収だった。利益面は人件費増加などの影響で減益だった。
3. 財務の状況
財務状況は、2024年3月期末の資産合計が前期末比157百万円減の4,858百万円、負債合計が同156百万円減の4,709百万円、純資産合計は同1百万円減の149百万円、自己資本比率は同0.1ポイント上昇して3.1%となった。有利子負債(長短借入金合計)残高は同186百万円減の3,875百万円となった。安定的な財務基盤の回復が課題だが、自己資本比率がわずかながらも上昇に転じたことなどを勘案すれば、財務面のリスクが低下したと弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)《SO》
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