ギックス Research Memo(7):CAGR40%をターゲットに2026年6月期には売上高40億円を目指す

2024年6月28日 13:37

印刷

記事提供元:フィスコ

*13:37JST ギックス Research Memo(7):CAGR40%をターゲットに2026年6月期には売上高40億円を目指す
■成長戦略

ギックス<9219>では、2023年9月29日に事業計画及び成長可能性に関する資料を公表した。売上高については、上場時より掲げていた目標であるCAGR40%をターゲットとしている。上場期(2022年6月期業績)を基準とし、上記目標を達成することで、2026年6月期には売上高40億円を目指す。同社はグロース企業であり、現時点においては事業規模の拡大に主眼を置いているため、売上高を指標としており利益目標は定めていない。事業規模の拡大に向けては、M&Aの実行も視野に入れる方針だ。M&Aについては、DIプロダクトで提供している「マイグル」のバリューチェーンの補完、DIコンサルティング・DIプラットフォームのリソースの補完を実現できる企業や、シナジーを発揮し周辺領域の新たな事業展開が見込める企業をターゲットとしている。

1. 「二兎を追う」方針
同社は、「個別課題解決」と「共通課題解決」の両輪で拡大・成長を推進する「二兎を追う」方針により中長期的な成長を目指す。DIコンサルティング・DIプラットフォームによる「個別課題解決」は、短期的な収益の柱として根源的価値事業に位置付けられており、ビジネスモデルは人的リソースと一定程度相関するハイ・マージン型である。一方、DIプロダクトによる「共通課題解決」は、中長期的な成長の種として戦略的投資領域に位置付けられており、ビジネスモデルは人的リソースに依存しないハイ・レバレッジ型である。同社では、祖業である「データを用いた個別企業の成長支援」の収益力を高めつつ、「マイグル」をはじめとする「プロダクト」を活用した労働集約型モデルからの脱却による非連続的な成長を目指している。

2. 個別課題解決の展開方針
「個別課題解決」においては、効率的な顧客開拓を目指し、DI思想の部内展開・社内展開・業界内展開・他業界展開(縦横展開)を高速かつ効率的に推進する。ターゲットとしている業界には、鉄道・不動産・運輸などがあり、新規顧客の開拓にも注力する。対象業界に共通する課題は存在しているが、課題解決に向けた考え方は異なる。そのため、同社の強みでもある顧客に合った最適解の提案がより重要になると弊社では考える。また、同事業の成長には人的リソースの確保が必須であり、直近の強化領域として採用強化とパートナー開拓を挙げている。採用強化については、外部委託先を活用したノウハウの蓄積に加え、社内リソースの増員により採用体制を強化している。また、パートナー開拓については、プロフェッショナル人材ネットワークの構築・活用を強化する。プロフェッショナル人材ネットワークは、同社経営陣の人脈を中心に、戦略コンサルタント経験者、事業会社経営職経験者、トップコーダー、セールススペシャリストなどの独自ネットワークを構築し、パートナー契約により同社プロジェクトへの参画を促進する仕組みである。

3. 共通課題解決の展開方針
「共通課題解決」においては、「マイグル」を中心とした機能強化・拡張を推進する。2023年5月にWeChatミニプログラム版の開発に向け、Beyondge(株)、(株)ルイスマーケティングと業務提携を開始しており、訪日外国人向けサービスの開発を進めている。また、2023年8月には完全子会社としてギディアを設立し、Lab&Designのブランディング/クリエイティブデザイン事業を譲受した。本事業譲受によりデザイン・ケイパビリティを獲得したことで、キャンペーンの際にクライアントが使用するクリエイティブやデザイン企画の提供(デザインサポートサービス)が可能となった。従来のデジタル機能に「リアルな場づくり」を追加することで、より一層「ユーザーに寄り添う」サービスに近づいた。その他にも、各種機能強化に加え周辺領域を含むサービス領域の拡張が複数進捗しており、今後、適切なタイミングで開示する方針である。

4. 経営上重視する指標
同社の売上高は従業員数と1人当たり売上によって構成されており、これらの指標を経営上重視している。従業員については、2023年6月期は期初予定どおりの採用進捗を達成しており、今後もサイエンティスト、エンジニアの採用を加速する。また、1人当たり売上については、2023年6月期は、好調な案件獲得に加え研究開発の一部有償化の一過性要因があり高水準で着地した。短期的には多少のブレはあるものの、中長期的なトレンドとして右肩上がりの成長を目指す。同指標を高めるためにはプロジェクト実施数の積み上げが不可欠であり、アセット活用による生産性の向上などにより、着実な遂行能力の向上を図る。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)《AS》

関連記事