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兵機海運 Research Memo(9):2025年3月期は減収・営業増益の想定
*15:29JST 兵機海運 Research Memo(9):2025年3月期は減収・営業増益の想定
■今後の見通し
1. 2025年3月期の業績見通し
兵機海運<9362>の2025年3月期の業績は、売上高で前期比4.3%減の14,000百万円、営業利益で同7.7%増の560百万円、経常利益で同11.6%減の600百万円、当期純利益で同18.0%減の420百万円を見込んでいる。外部環境については、中東情勢を初めとする地政学的緊張の高まりや、金利と為替の動向、米国大統領選挙の行方など不確実要素が多数存在する。加えて、内航船舶運航及び維持管理などを初めとする各種コストの上昇も見込まれる。そうしたなかにあっても同社は、「利益率UP」「適正利潤」「船団維持」の3つを基本的な経営方針とし、各種事業戦略を着実に遂行していく構えだ。売上高に関しては、港運事業における取引形態の見直しが通年で影響してくることなどを受け減収を見込んでいるのの、営業利益は増益を見込む。各事業において価格改定交渉などの継続することに加えて、同時に収益性の向上にも注力することにより利益の積み上げに注力していく方針だ。経常利益と当期純利益に関しては減益予想ではあるものの、これは2023年3月期に子会社清算に伴い営業外収益と特別利益を計上したことの反動によるものである。
内航事業では、船舶運航及び維持管理コストの増加が収益圧迫要因となることが見込まれる。そうしたなかにあっても、同社の安心安全を約束した安定輸送サービスの質に見合った適正運賃への改定交渉を継続することにより、適正利潤の確保に注力していく。加えて、適切なコスト管理も実施し、利益の積み上げを目指す。また、中長期的には、船員の高齢化などにより内航船員数の減少が見込まれる。将来に渡って同社のサービスを安定して提供できる基盤を整備するために、傭船先との協力関係の強化や新規傭船先の開拓、船員育成船を通じた若年船員の雇用促進などを強化していくほか、効率配船も徹底していく方針だ。傭船先に対しては、傭船料の改定などを率先して行い、船主と一体となった経営を推進することにより船団の維持に注力していく。
外航事業では、中央アジアやモンゴルなど鉱物資源が豊富で設備取り扱いの増加が見込める国向けの準定期配船サービスの提供に注力していく。中国の港を経由地とした三国間輸送貨物を物量に合わせた傭船契約にて配船し輸送していく方針だ。加えて、同航路の強みを活かし、中国発日本向けの輸入貨物も積極的に請け負っていく。その他の航路についても、他部署との連携及び同社と協力関係にある船会社と協業することにより、国内外での集荷活動を強化していく構えだ。国際複合輸送事業に関しては引き続き、ODAプロジェクト貨物の受注に注力していく。ODAプロジェクトは適正利潤を確保できることに加えて、ODAプロジェクトを受注した実績を基に関連するサプライヤーの輸送需要を取り込める可能性も高いためだ。
港運事業では、2024年問題によりトラックドライバーの労働時間の上限規制が適用されるなか、国内陸上輸送において同社も適法な対応が要求される。上限規制に対する適法な対応ということに加えて、同社サービスの提供水準を維持するという観点からも協力会社からの値上げ要請に積極的に応じていく。値上げに対応したことによるコスト上昇分は、同社顧客へ転嫁し適正な利潤を確保できるよう、引き続き価格改定交渉を着実に行っていく方針だ。価格改定の遂行に加えて、通関取り扱いに専門知識が要求される付加価値の高い貨物の集荷営業も強化することにより、収益性の向上と利益の積み上げを図る。また、2025年に迫った大阪・関西万博関連の建設資材や大型設備機器の荷動きが活発になることが予想される。そうしたなか、港運・倉庫事業が一体となって営業活動を強力に推進することにより、万博関連のニーズを確実に取り込み、業績拡大に結びつけいていく。
倉庫事業では、将来的な作業員の不足が懸念されている。中長期的に同社が提供するサービスの質を維持することができるよう、2024年3月期に引き続き増員を図る。そのため、労務費の増加が見込まれるものの、回転率の良い輸入コンテナ貨物の取り扱いを増やすことに注力するほか、通常の海上コンテナでは積載できない大型貨物や長尺貨物などの特殊貨物の取り扱いを拡大していくことにより収益性を高め、コスト上昇分をカバーしていく構えだ。また、重量貨物や長尺貨物などの特殊貨物は、それに付帯する作業が発生する。この付帯作業も確実に受注することにより利益の積み上げを目指す。付加価値の高い危険品の取り扱いに関しては、足元で競争が激化しているものの、保管場所から対応できる重機、人員まで包括的に揃える同社の強みを活かし、ISOタンクコンテナなどの営業活動に引き続き注力していく方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)《SI》
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