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藤商事 Research Memo(8):2025年3月期はパチンコ遊技機拡大で研究開発費増を吸収し前期並みの収益水準へ
*15:28JST 藤商事 Research Memo(8):2025年3月期はパチンコ遊技機拡大で研究開発費増を吸収し前期並みの収益水準へ
■今後の見通し
2. 2025年3月期の業績見通し
藤商事<6257>の2025年3月期の連結業績は、売上高が前期比ほぼ横ばいの37,000百万円、営業利益が同2.4%増の5,000百万円、経常利益が同1.5%増の5,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同1.5%増の3,700百万円と、おおむね前期並みの収益水準を見込む。
パチンコ遊技機の販売台数は前期比18.0%増の72.0千台と3期ぶりに増加に転じる見通し。メインスペックで4タイトル程度を予定しており、その他シリーズ機種の追加スペックの販売を計画している。新規タイトルでは「P魔王学院の不適合者」(2024年6月導入)、「P貞子」(2024年7月導入予定)を既に発表している。いずれもラッキートリガー搭載機となる。「P魔王学院の不適合者」は2017年に出版されたライトノベル「魔王学院の不適合者〜史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う〜」をモチーフとして開発された機種で、2024年4月にTVアニメ第2期第2クールが放送されるなど現在進行形の大人気コンテンツである。ラッキートリガーの魅力を最大限引き出したスペックとなっており、演出面でもアニメシリーズ第1期だけでなく第2期のシナリオを積極的に取り入れるなどコンテンツの持つ世界観を楽しめるつくりになっていることから、「とある」シリーズと同様に若年の固定ファン層を中心に人気が集まるものと期待される。
「P貞子」は、同社比2倍のヘソサイズで回る「BIGスタート」、玉の動きでドキドキ感を味わえる「祠チャレンジ役物」などを新たに取り入れたチャレンジ機種となっている。ラッキートリガーだからこそ可能となった出玉の上乗せループで、恐怖が連鎖する最恐の出玉が味わえ、ヘビーユーザー層への反響が注目される。
一方、パチスロ遊技機に関しては、2タイトルの投入を予定している。第2四半期に「スマスロ ゲゲゲの鬼太郎 覚醒」の投入を予定しており、年末前後のタイミングで1機種投入する計画だ。
売上総利益率は前期比3.2ポイント上昇の55.9%を見込んでいる。販売単価はパチンコ遊技機、パチスロ遊技機ともに前期並みの水準を想定しており、コロナ禍で上昇していた材料費のコストダウンが利益率の改善要因となる。また、販管費は前期比7.4%増の15,700百万円を計画している。内訳を見ると、研究開発費が同1,127百万円増加の8,700百万円、広告宣伝費が同246百万円増加の700百万円、販売手数料が同22百万円増加の700百万円となり、人件費が同266百万円減少の3,100百万円、その他費用が同51百万円減少の2,500百万円となる。
研究開発費については、スマート遊技機の開発やパチスロ遊技機の開発ライン数を増強したことが増加要因だが、規則改正などにも対応できるよう十分な予算枠を採ったとしており、前期と同様に計画を下回る可能性もある。パチスロ遊技機では2026年3月期以降、安定して3タイトル以上の新機種を投入できるようにする。広告宣伝費については、2024年5月2日に「とある魔術の禁書目録」の人気キャラクターである御坂美琴の生誕祭2024を渋谷で開催するなど、主力機種の人気IPを活用したプロモーションを積極的に進め、認知度拡大に取り組んでいく計画となっている。生誕祭の集客については事前予想を上回る活況だったようで、今後も継続していくようだ。人件費が減少するのは前期に上乗せした賞与を標準月数に戻すことに加えて、退職給付債務引当金の減少が主因であり、実際の賃金支払いは増加する。なお、従業員数については前期末の438名から横ばい水準を想定している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)《SO》
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