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アートネイチャ Research Memo(1):新規売上苦戦への対策が早く、中期経営計画の目標達成は視野
*13:41JST アートネイチャ Research Memo(1):新規売上苦戦への対策が早く、中期経営計画の目標達成は視野
■要約
1. トータル・ヘアコンサルタント企業として一人ひとりにライフスタイルを提案
アートネイチャー<7823>は毛髪業界をリードする総合毛髪企業の大手で、「ふやしたいのは、笑顔です。」をモットーに、トータル・ヘアコンサルタント企業として、顧客により美しく輝きのあるライフスタイルを提案している。主力事業はハイエンドなオーダーメイドウィッグの製造・販売で、毛髪に関する商品・サービスも幅広く取り扱い、多様化・高度化する顧客ニーズに対し一人ひとりの個性に合わせた最適なソリューションを提供している。オーダーメイドウィッグはフィリピンの自社工場で1つずつハンドメイドされ、くつろぎにこだわる全国280の店舗(2024年3月末時点)で、専門的な技術を持つ理・美容師資格保有者が購入からアフターサービス、日常のアドバイスまでを徹底的にサポートしている。
2. ビジネスモデルの要は「反響営業」「リピート営業」、強みは商品開発力、技術力、接客力
同社の商品・サービスには、オーダーメイドウィッグのほか、オリジナルのスタイルに仕上げるハイエンドな既製品ウィッグ、気軽に使えるスタンダードな既製品ウィッグ、自然な仕上がりと高い自由度が特長の増毛商品、発毛有効成分を配合した発毛剤などがある。こうした商品・サービスをテレビやインターネットなどの広告媒体で訴求し、電話を中心にメール、来店などでコンタクトしてきた人を新規顧客として取り込む「反響営業」、そしてアフターサービスなどを通じて新規顧客と信頼関係を築いて定着に導く「リピート営業」が、同社ビジネスモデルの要となっている。こうしたビジネスモデルは、顧客ニーズを先取りする商品開発力、顧客を満足させる技術力、顧客の信頼を得る接客力といった同社の強みを背景に、より高い効果を発揮している。
3. 新規売上苦戦の対策により、2025年3月期業績は増収増益に転換する見込み
2024年3月期の連結業績は、売上高が42,850百万円(前期比0.8%減)、営業利益が2,654百万円(同25.7%減)となった。新規顧客への販売が苦戦したことで増収を達成できなかったことに加え、円安や物価高、処遇改善などの影響により営業利益は2ケタを超える減益となった。課題は新規顧客の獲得にあり、同社は期中すでに対策を進めている。インターネットや来店による「反響」が増えていることに対して、WebやSNSなどを重視するほか、スタイリストとカウンセラーや、一般の理美容店との連携を強化している。また、男性向けイベントの実施など販路を拡大し、女性向けには新ブランドを投入した。こうした対策により、同社は2025年3月期の連結業績見通しについて、売上高45,001百万円(前期比5.0%増)、営業利益2,911百万円(同9.7%増)と回復を見込んでいる。
4. やや出遅れたものの、2026年3月期の中期経営計画目標達成は射程内
同社は2024年3月期を初年度とする中期経営計画「アートネイチャーAdvanceプラン」を策定、2026年3月期に売上高523億円、経常利益率10.0%、ROE10.3%の達成を目指している。中期経営計画の主要テーマである価値創造では、国内毛髪市場におけるマーケットリーダーとしてのポジションの確立と新領域での事業開発を推進し、トップと言われる毛髪市場でのシェアを40%に拡大、現在2位と推測される女性向け事業でもトップシェアを狙う。サステナビリティ推進や市場との対話といったテーマでは、バングラデシュ新工場の設立や株主還元の強化などすでに大きな進展があった。中期経営計画は、初年度の2024年3月期にやや出遅れたものの、2025年3月期の業績回復を弾みに、最終年度2026年3月期の目標達成は依然として射程内にあると言えそうだ。
■Key Points
・トータル・ヘアコンサルタントとして、顧客一人ひとりにライフスタイルを提案
・新規売上の苦戦などにより2024年3月期業績は低迷したが、すでに対策を講じている
・2025年3月期の業績回復を弾みに、中期経営計画は依然射程内にあると言えそう
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)《AS》
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