アートネイチャ Research Memo(3):毛髪に関わる様々な商品・サービスを提供(1)

2024年6月17日 13:43

印刷

記事提供元:フィスコ

*13:43JST アートネイチャ Research Memo(3):毛髪に関わる様々な商品・サービスを提供(1)
■事業概要

1. サービス内容
アートネイチャー<7823>は男性40代~60代、女性60代~80代の「髪を増やしたい」人を主要な顧客層に、オーダーメイドウィッグや既製品ウィッグ、増毛商品、医薬品などを提供している。ほかに「髪を育てたい」人には育毛ケア・サービス、「髪を整えたい」人にはアフターサービス、「美しく健康でありたい」人にはヘアケア商品や健康食品など、髪に関する課題を抱えている人からおしゃれを楽しみたい人まで、一人ひとりの様々なニーズに対応した商品・サービスを提供している。事業展開の方向性としては、国内では、主要事業を安定的に伸ばすとともに、第2の柱となる事業を育成するため新領域への進出を図っている。海外では、フィリピンを製造拠点に、東南アジアなどでブランドの認知拡大に向けた取り組みを進めている。

(1) オーダーメイドウィッグ
創業以来、同社商品ラインナップの中心となっているのが「アートネイチャー」「レディースアートネイチャー」ブランドのハイエンドなオーダーメイドウィッグである。顧客一人ひとりの要望、毛髪の状態に合わせ、最適な製品をハンドメイドで製造している。快適なつけ心地を実現するには、頭部にフィットするベースネットの型取りが最も重要な作業となる。このため、スタッフは顧客の要望をしっかり把握したうえで頭部の形状を計測するが、2006年に業界初の「3D型取りシステム」を導入したことで、素早く高精度な測定が可能となった。これにスタイルやカラーなどの様々なオーダーを加えたデータをフィリピンの自社工場に送信、工場では送られてきたデータをもとにベースネットを作成する。次に熟練した職人が作成されたベースネットに1本1本丁寧にすべて手作業で植毛し、髪色から毛流れまで自然なウィッグに仕上げている。顧客の手に届くまでに手間と時間を必要とするため、価格※は50万円~60万円と比較的高額だが、自身の髪のような自然な仕上がりと抜群のフィット感を実感できるのは、ハイエンドのオーダーメイドウィッグならではの特長といえる。なお、使用期間は個人の状況によって異なるが、おおむね2年となっている。

※価格に関しては一人ひとりの状況によって異なる。


(2) 既製品ウィッグ
気軽にヘアスタイルを楽しみたい顧客に対し、男性向けに「MJO(エムジェイオー)」、女性向けにハイエンドの「ジュリア・オージェ」とスタンダードの「NAO-ART(ナオアート)」、医療用には「ANCS(アンクス)」というブランドで、オーダーメイドウィッグで培った高い商品開発力を生かした既製品ウィッグを提供している。「MJO」では、10万円~30万円台後半の手ごろな価格で良質な既製品ウィッグを提供している。首都圏のターミナル駅近くに5店舗を展開し、髪色や大きさの異なる既製品ウィッグを豊富に取り揃えているだけでなく、サイズや毛量などパターン化されたパーツを組み合わせたセレクトオーダーウィッグも取り扱っている。「ジュリア・オージェ」では、高品質でオリジナルスタイルの既製品ウィッグを10万円台からという購入しやすい価格で提供しており、全国の百貨店やショッピングモールを中心に店舗展開をしている。「NAO-ART」は「ジュリア・オージェ」より手ごろな価格帯の既製品ウィッグを扱っており、首都圏をはじめ主要都市にある総合スーパーを中心に出店している。「ANCS」では、素肌に優しい素材を採用し、毛量やサイズ調整も可能な医療用ウィッグを、全国の店舗やジュリア・オージェ店舗、病院内のヘアサロン「アンクス」などで販売している。

(3) 増毛商品
増毛商品は「アートネイチャー」で「MRP(マープ)」、「レディースアートネイチャー」では「Beauty Up(ビューティアップ)」というブランドで展開している。専門技術を習得した同社のスタイリストが、自毛の根元に数本の人工毛を結び付けるという方法で増毛を行う。数本単位で増やせるため、求める部分に少しずつ増やすことで、好みのボリュームに調整しながら違和感なく髪の毛を増やすことができる。2024年3月には新たな増毛システム「HAIR UNION(ヘア ユニオン)」を投入した。これは、今ある自毛に、しっかり増やす太めの髪と密度を高めるアシスト毛髪を結ぶマープ増毛法や、生え際の毛髪の根元部分の色を地肌にとけこませる革新的なネイティブフロント加工など、同社独自の先進毛髪技術によって、一人ひとりのペースで段階的に髪を増やすことができる画期的なシステムといえる。同社はシャンプーや汗、風などに対する耐久性はもちろん、白髪を含め様々な髪色や毛髪タイプから顧客が理想とする髪の再現に努めている。

(4) 医薬品販売(発毛剤)/医療機関サポート
同社は、総合毛髪企業として多様化するニーズに対応するため、医薬品販売や医療機関サポートの分野にも進出している。医薬品では、毛包に直接作用して細胞の増殖やタンパク質の合成を促進することで発毛と毛髪の成長を促す、発毛有効成分「ミノキシジル」を配合した発毛剤(第1類医薬品)を2019年に発売した。現在、男性用発毛剤「LABOMO ヘアグロウ ミノキシ5」と女性用発毛剤「LABOMO ヘアグロウ ハナミノキ」を「LABOMO」ブランドで、主として自社通販サイトで販売している。また、医療機関に対する医薬品販売や業務受託を目的に(株)アートメディカルサービスを設立、同社が持つ毛髪への知見を生かした、医療行為以外の商品・サービスを提供している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)《AS》

関連記事