三井松島HD Research Memo(1):2024年3月期は石炭価格下落の影響を受け減収減益

2024年6月14日 16:21

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記事提供元:フィスコ

*16:21JST 三井松島HD Research Memo(1):2024年3月期は石炭価格下落の影響を受け減収減益
■要約

三井松島ホールディングス<1518>は、2023年に創業110年を迎えた歴史ある企業である。創業以来、祖業である石炭関連事業を継続してきたが、同事業に関しては、同社が権益を持っていた鉱区が終掘になったことを受け2024年3月期をもって終了した。石炭関連事業の終了が決定する以前から同社は、世界規模で環境保全に対する意識が高まっていることや、脱炭素社会の到来が見込まれることを受け、事業ポートフォリオの組み替えによる石炭関連事業に依存しない収益基盤の確立を推進してきた。2025年3月期からは、新たな収益基盤として確立してきた生活関連事業を軸に利益の積み上げと企業価値の向上を目指す。

1. 2024年3月期の業績概要
2024年3月期の連結業績は、売上高が前期比3.2%減の77,472百万円、営業利益が同29.7%減の25,170百万円、経常利益が同27.6%減の26,004百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同34.2%減の15,117百万円となった。石炭関連事業に代わる新たな収益基盤として同社が注力している生活関連事業は増収増益と好調だったものの、石炭価格の下落と販売数量の減少によりエネルギー事業が減収減益となったことが業績に影響した。一方で、新たな収益基盤の確立と拡充は順調な進捗を見せ、M&Aによって(株)プラスワンテクノ(2023年8月)、(株)ジャパン・チェーン・ホールディングス(同年12月)、Saunders & Associates, LLC(2024年1月)を新たに連結子会社化した。

2. 2025年3月期の業績見通し
2025年3月期の連結業績について同社は、売上高で前期比27.7%減の56,000百万円、営業利益で同80.5%減の4,900百万円、経常利益で同81.5%減の4,800百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同81.5%減の2,800百万円を見込んでいる。前期に石炭関連事業が終了したことを受け、減収減益を見込んでいるものの、生活関連事業に関しては引き続き順調に業績が拡大することを見込む。特にMOS(株)、日本カタン(株)、(株)明光商会が生活関連事業の業績拡大を牽引するほかに、その他の連結子会社も堅調に推移する見通しだ。加えて、2024年3月期下期に連結子会社化したジャパン・チェーン・ホールディングスが通年で業績寄与してくることもプラス要因だ。

3. 中長期の成長戦略
前中期経営計画(2020年3月期~2024年3月期)のもとで同社は、脱炭素社会到来を見据えM&Aによる事業ポートフォリオの組み替えを着実に遂行しながら、石炭関連事業に依存しない収益基盤の確立に注力してきた。5年間で累計300億円をM&A投資に充当することにより、2024年3月期までに営業利益55億円(うち、非石炭生産事業の利益47億円)、ROE8%以上、配当性向30%以上の達成を目指してきた。M&Aへの累計投資額が2024年3月期末に330億円となるなか、営業利益は252億円、非石炭生産事業の利益は52億円、ROEは25.4%となり、総じて目標を達成している(2024年3月期の配当性向は8.3%)。同社は従前から、2024年3月期をもって石炭関連事業が終了するという前提に立ち経営戦略を講じてきた。今後もM&Aによって収益基盤の拡充と強化に注力する方針に変わりはなく、2027年3月期までに当期純利益50億円以上を継続して計上できる収益構造の構築を目指す方針だ。加えて、PBR1倍以上、ROE8%以上を意識しながら事業活動を行っていく。手元資金を活用したM&Aや既存事業の強化によって利益を創出することはもちろん、自己株式の取得を始めとする株主還元も推進することによりROEとPBRを高めていく構えだ。

4. 株主還元策
2024年3月期に関しては、1株あたり100.0円の年間配当を行うことを決定しており、普通配当ベースで18期減配なしとなる。2025年3月期に関しては、石炭関連事業の終了に伴い親会社株主に帰属する当期純利益の減益を見込むものの、1株あたり100.0円(中間50.0円、期末50.0円)と前期と同額の配当を予定している(配当性向42.8%)。

■Key Points
・脱炭素社会到来への備えとし、独自のM&A戦略に基づき新規M&A投資を着実に実行
・2024年3月期は減収減益も生活関連事業は好調
・2025年3月期は石炭関連事業の終了を受け、減収減益を見込む

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)《HH》

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