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精工技研 Research Memo(8):AIやIoTの活用も視野に、ものづくり力を高める
*13:48JST 精工技研 Research Memo(8):AIやIoTの活用も視野に、ものづくり力を高める
■中期経営計画
(3) ものづくり力の強化
精工技研<6834>は、1) AI、自動化などによる生産効率の向上、2) 安くて良い部材の安定調達、3) 顧客要求に応える品質の維持、の3つの戦略を軸にものづくり力を高め、自社の製造・生産能力の増強に努めていく。
日本の労働環境は、少子高齢化により生産人口が減少している。中国においては経済成長に伴い労働者への賃金が上昇を続けている。同社はこうした状況に対応するため、省人化や生産効率の向上並びに収益の向上を目的に、成形品や光コネクタなどの自動製造装置の自社開発を推進している。これまでに、車載用成形品のバリ取り工程や検査工程の自動機や、新型光コネクタ「Intelli-Cross Pro」の組立から検査・梱包までを一貫して行う自動組立装置を開発した。今後はAIやIoTの活用も視野に、自動製造装置の機能向上に取り組んでいく。
足元では半導体や樹脂材料の供給不足、コロナ禍やウクライナ情勢など、外部環境の変化により、物流の混乱や資源価格の高騰が発生している。同社は安くて良い部材の安定調達が可能となるよう取引先との良好な関係を維持し、物流においても高効率なサプライチェーンの構築に取り組む方針である。
さらに日本と中国の生産拠点における品質の統一性の確保や維持・向上を目的に、2020年3月期よりグローバル品質会議を開催している。顧客が求める仕様を満たす商品を安定的に供給できる品質管理体制への取り組みは、外部のマイナス影響にも揺さぶられない体制づくりにもつながるとして今後期待される。
2024年3月期の進捗状況を見ると、不安定な供給チェーン環境に対応するため、取引先との関係を強化し、購買活動の安定化を図っている。特に、中国大連の子会社での人員削減という決断は、コスト効率と競争力の向上を図るための戦略的な動きであり、厳しい市場環境下での企業の適応能力を示している。大連精工技研において、79名の人員合理化を実施した。これは、光通信網向けの投資停滞に伴い、ジルコニア製フェルールの需要が減少したことが背景にある。この需要減少に対応し、固定費の削減を通じてより筋肉質な経営体質を構築するための戦略的な決断を行った。これにより、経営効率を高め、利益率の改善を図っている。加えて、金属切削加工部品や光コネクタ組立の製造を新たに取り入れることで、売上の拡大を目指している。これらの新たな製品ラインの追加は、既存の製品群とのシナジーを生み出し、顧客の多様なニーズに応えるための重要な意味を持つ。特に、光コネクタの組立は、AIデータセンター増加等による、今後の光通信市場の回復に伴い、重要な成長ドライバーとなることが期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山博詞)《HH》
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