関連記事
PBシステムズ Research Memo(9):規模拡大に舵を切るファーストステップ、コスト吸収し最高益更新へ
*12:39JST PBシステムズ Research Memo(9):規模拡大に舵を切るファーストステップ、コスト吸収し最高益更新へ
■今後の見通し
1. 2024年9月期の業績見通し
ピー・ビーシステムズ<4447>の2024年9月期の業績見通しについては、売上高が前期比10.3%増の3,200百万円、営業利益が同15.1%増の347百万円、経常利益が同17.0%増の346百万円、当期純利益が同15.3%増の237百万円との期初計画を据え置いている。同社では2024年9月期を「規模拡大に舵を切るファーストステップとなる1年」と位置付けており、積極的な人財増強と首都圏への拠点新設により営業力を強化することで、2ケタの増収増益、6期連続で各利益の最高益更新を目指す。
2024年9月期計画では、「強い会社を目指す」のスローガンの下、以下の3つの施策を実施することでさらなる人財増強に努める。1つ目は「新卒採用の拡大」で、2024年卒の4名から2025年卒は8名に倍増する予定である。新卒採用については、人財開発部を設置して以降、順調に進んでいる。中長期的には全国在住のUターン人財や九州在住の優秀な人財が集まるというポジションの確立に向けて引き続き体制整備とアピールを行う考えである。2つ目は「新オフィスの開設」だ。福岡市内に人財育成拠点として「エンジニアハビタット」を設置し、技術力とビジネス感覚を兼ね備えたエンジニア人財を育成する、いわばニュータイプのエンジニアの「生態系」を構築する考えである(2024年2月末から稼働が開始)。3つ目は「社内教育制度の構築」で、エンジニアが選定した最新技術検証機材を導入して技術をさらに磨く手段とするほか、各種OJTの推進、資格手当制度に基づく人財育成の仕組みの洗練化といった対応を図る。
人財面については、上期決算説明資料の中で具体的な数値計画が示された。足元の2024年9月期は既存社員58名に中途採用6人、新卒採用4人を加え合計68人にする計画だ。その後、2025年9月期には82人(既存社員68人、中途採用6人、新卒採用8人)、2026年9月期には96人(既存社員82人、中途採用6人、新卒採用8人)とステップを踏み、2027年9月期末に社員数110名体制を目指す。
採用実績は、5月14日時点で14人であり、社員数は2024年5月で約70人(派遣含む)となっている状況だ。期末時点の目標人数である68人を超えており、採用面は順調に進捗している点はポジティブである。加えて、採用拡大に向け奨学金返還支援制度を2024年6月1日より開始することを発表している。今回導入を決めた奨学金返還支援制度は、新卒入社の社員だけでなく中途採用や既存の社員も含め、入社後の年数にかかわらず、奨学金返還の支援を最長15年間(月額15,000円)と長期にわたって受けられることが特長となっている。奨学金返済を抱えた社員から経済的・心理的負担を取り除き、ポジティブな人生の将来展望を描ける環境を提供していくことを目指した制度だ。適切な採用ルートの構築と社員支援が拡充されつつあり、これらが安定化してくると、自ずと人財の定着が次の焦点になるだろう。
また、営業面では需要旺盛な首都圏での受注拡大にさらに注力する。特にSaaS事業者やAI事業者の需要増への対応が念頭に置かれており、首都圏ではこれらのサービスプロバイダ関連のクラウド構築ニーズが足元で拡大していることから、従来の東京営業部の要員増強を行うとともに、都内に拠点を新設して体制強化を図る(2024年1月に東京オフィス開設、2024年5月1日より4名体制へ拡充済み)。東京オフィスの増員メンバーについては、全員リファラル採用のようであり、早期に高稼働状態に向かうことが期待される。なお、営業面におけるポイントとしては、九州進出企業の需要対応も重要となる。九州地区は、台湾積体電路製造(TSMC)が立ち上げる大型工場を最たる例として、東京エレクトロン<8035>などの半導体関連の投資が相次いでいる。そうした大きな流れもあって半導体関連の企業に対して仮想デスクトップなどの先進的VDIのビジネスを仕掛ける機会が出てきており、今後も増えることが期待できることから、ビジネスチャンスを確実に捉えて成果に結びつける考えだ。実際に上期業績にも貢献が見られた通り、電子材料、半導体関連企業の案件獲得は好調だ。ただし、同業界にターゲットを絞ることなく、あらゆる業種にアプローチする方針を貫き、高付加価値を提供できる顧客獲得をねらう方向性に変わりはない。加えて、Cybereasonのパートナーに参画したことでサイバーセキュリティ関連の商談も足元で進展しやすくなっているようであり、こちらの動向にも注目したい。
他方でエモーショナルシステム事業については、引き続き遊園地やテーマパークなどの国内レジャー需要に対応した人気アトラクションとのタイアップコンテンツの作成・販売や、自治体の観光需要、地域活性化政策に沿った提案営業、防災教育や災害シミュレーション分野の受注獲得に努める。「防災コンソーシアム CORE」への加入も発表したが、自治体防災コンサルタントとの協業体制をさらに構築するなど、需要取り込みに向けた動きを加速しているもよう。
加えて、新たに注力領域として宇宙産業を加えたが、宇宙ベンチャーや宇宙関連機関からの引き合いが実際に増えており、「SusHi Tech Tokyo 2024」における大林組との宇宙エレベーター体験案件に繋がった。また、企業向けメタバースについては、新サービス「心の視点と視座を高めるメンタルトレーニング in メタバース」の販売を第3四半期期間で開始している。既に無料体験会に参加した顧客からは自社での活用方法について具体的なイメージのフィードバックがあるなど、好感触を得ており、受注獲得の確度は高いと同社では見込んでいる。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)《SI》
スポンサードリンク