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ベルシス24 Research Memo(9):3つの重点施策を推進(2)
*13:39JST ベルシス24 Research Memo(9):3つの重点施策を推進(2)
■ベルシステム24ホールディングス<6183>の中期経営計画
(2) 型化:データ活用の高度化
第2の重点施策として、CX業務の深化を目指す。CX業務とは、Customer eXperience(すべての顧客体験に関わるデータ)を活用して新たな価値提供を実現するものであり、型化によって幅広い業務への展開を目指す。顧客属性、Web行動、購入履歴、業務実績、対応手順、解決FAQなど、同社が業務を通じて蓄積した膨大なデータを活用することで、クライアントには事業成長への貢献や業務プロセスの最適化、生活者には顧客体験の向上や多様なニーズに合う対応、社員には働く喜びや誰もが活躍する仕組みの実現が可能となる。
CX領域においては、既存のコンタクトセンター業務の高度化に加え、IT利活用、経営支援につながる業務改善へとCXを深化させる。現状では、コンタクトセンターの型化による生活者への価値提供や、人材マネジメントの型化によるクライアントの業務改善など、音声データ活用の高度化が実現している。今後は、顧客反応に最適化したIT導入、すなわちデジタルCXコンサルとして、IT利活用によってCX領域でのシステム活用の型化を進めることで、運用を見据えた最適なシステム提案を行う。最新のITツールを適切にコーディネートすることで、生活者のリアクションと働く人の安定稼働を想定したFit To Standardなシステム導入による実効性の高い運用によって、CX視点のシステム最適化提案を目指す。これは、同社が現場に精通しているからこそ推進できる戦略であると言える。また、顧客業務の改善に貢献するDXダイレクトセンターを実現し、CX活用での業績改善を型化することでクライアントの経営支援に役立てる計画だ。具体的には、VOC分析による生活者への価値提供とクライアントへの経営貢献を同時に実現するもので、ユーザー反応を科学的に分析し、デジタルと運用の高度な融合によって顧客獲得効率をアップさせる。既に保険会社を対象に大きな成果を出しており、こうした対応事例を手本にスキルアップをして、他業界にも拡大する。CXデータによって有人での成果を汎用ナレッジ化し、同社の強みである「人にしかできない寄り添う対応」とITによる「自動化」のハイブリッド運用によって、顧客が感動するCXを実現する計画だ。
2024年2月期の実績としては、音声データ活用DXの基盤となるクラウド型次世代コンタクトセンターシステムのBellCloud+(プラス)の席数は、第4四半期末で7,240席、前年同期比1,090席、17.7%増と増加ペースは緩やかになったものの順調に席数を拡大している。BellCloud+の導入により、在宅を含むコンタクトセンターを短期間で安定的に拡張できる。また、第4四半期末の音声認識システム(人間が発した言葉や声や会話をAIが解析し、テキストデータへ変換して出力するシステム)の導入は1,200席で、一部の業務終了に伴い前年同期比30席、2.4%減となったが、同社ではデータ分析や生成AI技術の活用・推進の基盤とするために、引き続きの導入拡大を目指している。
また、コンタクトセンターに蓄積されるVOCに加えたあらゆる顧客接点のデータを利活用することで、最適なCXを一貫して実現するデータマーケティングBPOの推進に向け、2023年7月にシンカーを子会社化した。これまでのマーケティング領域での豊富な知見やソリューションを持つパートナーとの協業に加え、シンカーとの連携により、同社グループが保有する年間5億件の膨大なVOCやCRMデータを活用した、あらゆる顧客接点での適切なアクションや成果が持続するマーケティングモデルの構築を目指し、クライアント企業の最適なCXコミュニケーションを支援する考えだ。
さらに、コンタクトセンタービジネスの変革に向け、日本マイクロソフト(株)及びグーグル・クラウド・ジャパン(合)とともに生成AIを活用したコンタクトセンター業務の実証実験を共同で実施した。この実証実験における実績を基に、同社が目指す「ヒト」と「AI」の連携による「ほぼ自動化」を実現するハイブリッド型のコンタクトセンターオートメーションの構築を推進する。また、同社では、クライアント企業と生成AIベンダー、システムベンダーであるSIerとを結びつけて、生成AIの円滑な導入と運用管理に向けた新たな連携の橋渡しの役割を担うことを目指している。
加えて、最先端のAIプラットフォー ムの開発・提供事業を展開する台湾のIntumit Inc.と、顧客対応の自動化を実現するソリューションの開発・提供 と運用連携を目的に、2024年1月に業務提携契約を締結した。台湾を皮切りに日本・ベトナム・タイなどの各国に向けた新たな共同サービスの開発を行うことに加え、両社の顧客に向けた販路拡大を進める。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)《HH》
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