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ニーズウェル Research Memo(9):戦略はストック売上拡大、オンライン営業促進、エンドユーザー取引拡大(2)
*15:49JST ニーズウェル Research Memo(9):戦略はストック売上拡大、オンライン営業促進、エンドユーザー取引拡大(2)
■中期経営計画
(4) AIビジネスの拡大
「AIビジネスの拡大」は、DXの推進において不可欠な要素である。「Work AI」というブランド名の下、ニーズウェル<3992>は業種別のAIソリューションの開発を進めており、これにより企業のDX支援を強化している。この取り組みにより、RPAやAIのノウハウを活用して企業の効率化、生産性向上、及びリスク管理を図ることを目指している。
「Work AI」のラインナップには、Prophetterシリーズが含まれている。このシリーズは、「Es Prophetter」が過去の見積実績データを機械学習し概算見積価格を算出すること、「Vi Prophetter」が画像認識AIを用いて対象物の正常・異常を検知すること、「Qc Prophetter」がデータ解析を通じて製造工程の品質向上を目指すこと、そして「Ad Prophetter」が異常な予兆を検知し故障や障害を未然に防ぐことに焦点を当てている。
さらに、AIソリューションとして、「Chat Document」が社内のFAQ対応とドキュメント検索を自動化し、「DX Suite」がAI-OCRを用いた文書処理を簡略化する。これらのソリューションは、企業の日常業務をAI技術で支えることで、作業の迅速化と正確性の向上を図る。
また、長崎大学との産学共同プロジェクトにより、「FSGen」と「QualiBot」が開発されている。「FSGen」は生成AIを用いて決算報告書を自動作成し、「QualiBot」は入札案件の資格及び提案可否を自動で診断する機能を提供する。これらの先進的なAIソリューションは、特に時間とコストがかかる作業を効率化し、戦略的意思決定の迅速化を支援する。
(5) ソリューションビジネスの拡大
ソリューションビジネスの拡大は、企業の総合的な競争力を高め、持続可能な成長を支える重要な戦略だ。同社は、企業価値の向上、受注力の強化、そして収益性の改善を目的として、独自のソリューションを積極的に展開している。特に「単価から価値アップへの移行」という方針は、サービスの質を高めることで付加価値を創出し、顧客満足度を向上させることを意図している。同社は、単に製品を提供するのではなく、顧客とともにソリューションを形成し、サービスに注力することで、より包括的なサポートを実現している。サブスクリプションモデルの採用により、継続的なサポートと定期的な収入が保証され、長期的な顧客関係が構築されている。
具体的な新規ソリューションの追加により、この戦略はさらに強化されている。例えば、「UI/UXナビ」サービスは、ユーザーインターフェースとユーザーエクスペリエンスを一新し、企業のブランディング向上とリード獲得をサポートする。顧客に価値の高い成功体験を提供することで、サービスの差別化を図る。「Dgent」は、紙のデジタル化と生成AIを活用することで、事務作業の軽減と生産性の向上を実現する。このサービスは、リソースや時間の節約に寄与し、より複雑なタスクの効率化を実現する。また、「11MGN」は、Windows 11への移行を支援するサービスであり、短期間で安全かつスムーズな移行を実現することを目的としている。このサービスは、移行に関する課題をワンストップで解決し、運用を支援する。「Corpo Card」は、法人カード利用ソリューションで、企業の経費精算業務を効率化し、法人カード利用を促進する。このソリューションにより、経費精算の負担を軽減し、プロセスを効率化することが可能になる。「スマホレンタル」サービスは、業務改善を目的とし、運用目的や導入規模に合わせた最適なサービス構成を提案している。これにより、顧客はトータルコストを抑えつつ、効率的な運用と効果の最大化を実現できる。
5. 経営目標
同社の経営目標は、安定した収益基盤の構築と市場での持続的な成長を図ることに焦点を当てている。これを実現するための主要な戦略として、「ストック売上の拡大」「オンライン営業の促進」「エンドユーザー取引の拡大」の3つを設定している。
「ストック売上の拡大」では、2025年9月期までに売上の70%をストック売上から得ることを目標としている。これは、2年以上のシステム保守・運用やサブスクリプション形式で提供するソリューションを通じて実現される。同社はこれまでに蓄積した開発ノウハウと長期にわたる顧客関係を生かし、安定した収益源を確保しようとしている。これに伴い、経済の波動や市場の変動に強いビジネスモデルを構築することが可能になる。
「オンライン営業の促進」によって、売上高の30%以上をオンラインチャネルからのものとすることが目標である。セミナーや展示会のオンライン化、効果的なウェブサイトの運用、定期的なプレスリリースの発信などを通じて、新しい顧客層を開拓していく戦略である。これにより、地理的な制約を超え、より広範な市場にアクセスすることが期待できる。
「エンドユーザー取引の拡大」は、売上高の65%以上をエンドユーザーからの直接取引によって実現することを目指している。このアプローチでは、既存ユーザーの継続案件や担当分野の規模拡大を図る一方で、新たな市場領域にも積極的に進出する。また、エンドユーザーに直接アプローチすることで、仲介業者を介さない直接的な顧客関係を強化し、高い利益率を維持することができる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山博詞)《HN》
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