SIGG Research Memo(11):成長戦略の第2フェーズは営業利益重視に変更

2024年6月3日 13:11

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記事提供元:フィスコ

*13:11JST SIGG Research Memo(11):成長戦略の第2フェーズは営業利益重視に変更
■成長戦略

3. 長期ビジョン第2フェーズの目標値と重点戦略
SIGグループ<4386>は長期ビジョン達成に向けたロードマップとして、2024年3月期までを大量のDX案件に対応できる体制構築を目指す第1フェーズ、2027年3月期までをITトータルソリューションカンパニーへの飛躍を目指す第2フェーズ、そして2030年3月期までを企業の外部CIOとして企業成長に貢献することを目指す第3フェーズと位置付けている。意欲的な長期ビジョンである。

第1フェーズ(目標値は最終年度2024年3月期売上高6,000百万円、営業利益600百万円、営業利益率10.0%)については、企業のDXへの取り組みが加速したことを背景として、既存事業の成長とM&Aの効果で2024年3月期の売上高が6,906百万円となり目標を達成した。CSソリューションセンター機能の強化や地方拠点との連携強化により、要員体制強化も一定程度進展した。ただし利益面については、2024年3月期の営業利益が355百万円、営業利益率が5.1%に留まり、いずれも目標未達となった。この点について同社では、新型コロナウイルス感染症拡大への対応やM&Aに伴って販管費が増加したことに加え、生産性の向上、受注単価の改善、サービスの高付加価値化、グループ企業の課題分析、グループシナジーの創出などへの取り組みが遅れ、第1フェーズの課題として残ったと分析している。

このため第2フェーズと第3フェーズについては、グループシナジーの創出遅れなど第1フェーズにおける課題を踏まえ、売上高目標値を下方修正して営業利益重視の方針に変更したが、第2フェーズでITトータルソリューションカンパニーへの飛躍を目指し、第3フェーズで企業の外部CIOとして企業成長に貢献することを目指す基本方針に大きな変更はない。新事業領域・新技術の取り込みを可能とするM&Aも引き続き積極推進するものの、従来計画に比べて売上規模の拡大ペースを落とし、グループシナジー創出やサステナビリティ経営の実現により企業価値の最大化を目指す。さらに、第2フェーズの新たな目標値として最終年度2027年3月期の売上高12,000百万円(既存子会社で9,000百万円、新規M&Aで3,000百万円)、営業利益720百万円、営業利益率6.0%、株主資本配当率(DOE)6.0%を、第3フェーズの新たな目標値として最終年度2030年3月期の売上高20,000百万円(既存子会社で12,000百万円、新規M&Aで8,000百万円)、営業利益1,400百万円を掲げた。

クラウド・セキュリティ領域の強化としては、各事業所から次世代事業を検討できる人材を結集したCSソリューションセンターにおいて、ノウハウ・知見共有による組織の強化を推進するとともに、次世代の独自ソリューション開発を検討するプロジェクトを立ち上げた。独自のクラウド・セキュリティサービスをドアノックツールとして開発し、グループ全体で新規顧客の開拓や既存顧客の深掘りを推進する方針だ。

また、地方拠点発のDX課題解決ソリューションの事例として、SIGの福井事業所が地元商業施設(東証プライム市場上場のホームセンター運営企業)向けに営業支援システムを開発・提供している。ネット注文・決済や売上・在庫管理など地方小売業が必要とする機能に絞り込み、顧客の販売・管理負担を軽減した。このシステムを基盤として各地方の商業施設のニーズに合わせた横展開を推進する方針で、2023年5月には注文受付から在庫まで一括管理する小売業向けシステム「ピッスル」をリリースした。また同年5月には、SIGの福井事業所が開発した飲食店向けモバイルオーダーシステム「タノモバ」をリリースした。レストラン・カフェなどの飲食店だけでなく、イベント・催事・コンサート・スポーツ観戦など幅広いシーンでの活用が可能なシステムである。今後も顧客ニーズを反映した自社開発ソフトウェアの開発・拡販を強化する方針だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)《HH》

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