サインポスト Research Memo(1):社会に新たな価値を創出することを目指すテクノロジー企業

2024年5月29日 13:01

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記事提供元:フィスコ

*13:01JST サインポスト Research Memo(1):社会に新たな価値を創出することを目指すテクノロジー企業
■要約

サインポスト<3996>は、創業の理念「孫の代まで豊かな社会を創る一翼を担う」を事業活動の最上位概念として、社会に新たな価値を創出することを目指すテクノロジー企業である。2022年3月にはCI(コーポレート・アイデンティティ)を刷新し、新たにマスコットキャラクター「えすびぃ」を制定した。

1. 3つのコア・コンピタンスを組み合わせて付加価値の高いサービスを提供
報告セグメントは、金融機関の基幹システム構築・更改支援などを行うコンサルティング事業、BtoC事業者の生産性を高める製品・技術の開発などオープンイノベーションを通じた事業創造を目指すイノベーション事業、金融機関との連携やDX技術を活用して地方共創に資する製品・サービスの提供を目指すDX・地方共創事業としている。課題解決まで行うコンサルティング能力、高度な画像認識・AI技術及び開発力、オープンイノベーションという3つのコア・コンピタンスを組み合わせ、各事業の強みや営業基盤を共有または補完し合いながら事業を運営し、顧客の業界とその業務内容を熟知したうえで、事業部の枠を超えて付加価値の高いサービスや製品を提供している。

2. 金融業界向けコンサルティング事業が安定収益源
コンサルティング事業は、金融業界の課題の抽出から解決策の提案、DXを活用したソリューションの提供、解決策の実行まで、ワンストップで付加価値の高いサービスを提供している。銀行の勘定系システム構築に熟知した知見を強みとして安定収益源となっている。イノベーション事業は、社会の発展に貢献する製品・ソリューションとして、自社開発の設置型AI搭載セルフレジ、書店向けセルフレジ、POS機能付コンパクトセルフレジなどを展開している。なお完全スルー型の無人決済システムについては、JR東日本スタートアップ(株)と合弁で設立した(株)TOUCH TO GO(以下、TTG)が展開している。DX・地方共創事業は、全国の地域金融機関との連携、同社のDX技術やオープンイノベーションを活用して、地方共創に資する製品・サービスの提供を目指している。イノベーション事業及びDX・地方共創事業は先行投資段階である。

3. 2024年2月期は期初計画を大幅に上回る黒字に転換
2024年2月期の業績(非連結)は、売上高が前期比13.8%増の2,929百万円、営業利益が101百万円(前期は110百万円の損失)、経常利益が94百万円(同119百万円の損失)、当期純利益が128百万円(同132百万円の損失)だった。期初計画(売上高2,914百万円、営業利益30百万円、経常利益27百万円、当期純利益17百万円)を大幅に上回る黒字に転換して着地した。主力のコンサルティング事業が順調に拡大し、先行投資段階であるイノベーション事業とDX・地方共創事業の営業損益も改善した。全社ベースの売上総利益は前期比14.9%増加し、売上総利益率は27.4%で同0.2ポイント上昇した。販管費は同13.4%減少し、販管費比率は23.9%で同7.6ポイント低下した。なお当期純利益については法人税等調整額(益)の計上も寄与した。

4. 2025年2月期も大幅増収増益予想
2025年2月期の業績(非連結)予想は、売上高が前期比11.6%増の3,269百万円、営業利益が同29.8%増の132百万円、経常利益が同37.0%増の130百万円、当期純利益が同28.9%増の166百万円の大幅増収増益予想としている。2025年2月期は再成長への転換期と位置付けて、事業の収益を競争力強化に再投資するサイクルにより、収益性を高める方針としている。重点施策として、コンサルティング事業では金融機関にとどまらず、一般事業会社へのコンサルティングサービスを強化し、新規顧客の開拓を推進する。イノベーション事業では無人化・セルフ化を含む店舗運営全般を提案する取り組みを強化する。DX・地方共創事業では地域銀行との協業により、取引先企業のDX推進を支援するサービスを開始する。金融業界におけるDXの進展など事業環境は良好であり、主力のコンサルティング事業の伸長が牽引して会社予想に上振れ余地があると弊社では考えている。

5. 各事業の連携を強化して新たなソリューションの展開を目指す
同社は、2022年2月期までは「成長への種まき期」と位置付けて、未来に向けた積極的な先行投資(優秀な人材の確保・育成、事業領域拡大、コンサルティング・ソリューション力の強化、イノベーション事業での保有技術を活かした製品・ソリューションの開発、オープンイノベーションの推進、地方共創への取り組みなど)を実行してきた。そして2023年2月期からは「収穫期」と位置付けて、成長の実現と収益化のフェーズへ移行する戦略を推進している。コンサルティング事業は、コンサルティングサービスの品質向上や新領域の顧客の深耕などにより、豊富な実績と強固な顧客基盤を活かした成長を目指し、要員数に依存することなく、課題解決につながる新たなソリューションの開発・販売も推進している。イノベーション事業は、自社開発セルフレジの拡販とともに、保有技術とオープンイノベーションを活かした製品・ソリューションの拡充、TTGの業容拡大により収益化を推進している。DX・地方共創事業は、自社の強みを活かした社会への新たな価値創出を推進している。さらに中長期成長戦略として、コンサルティング事業とイノベーション事業及びDX・地方共創事業の連携を強化し、新たなソリューションの展開を目指す。

6. 成長ステージへの移行加速を評価
同社は金融業界向けコンサルティング事業を安定収益基盤として、自社技術とオープンイノベーションを活かしたイノベーション事業及びDX・地方共創事業へ積極展開している。そして2023年2月期から成長の実現と収益化のフェーズへ移行する戦略を推進してきた結果、2024年2月期は黒字転換して収益ステージへの移行を実現した。さらに2025年2月期は成長ステージへの移行が加速する見込みであり、この点を弊社では高く評価している。また中長期的には、自社技術とオープンイノベーションを活かした事業展開による収益拡大が期待され、特に小売業の課題解決に貢献する店舗の無人決済システムや無人店舗システムの展開に注目している。

■Key Points
・社会に新たな価値を創出することを目指すテクノロジー企業
・コンサルティング事業が安定収益源、イノベーション事業とDX・地方共創事業は先行投資段階
・2024年2月期は期初計画を大幅に上回る黒字に転換
・2025年2月期も大幅増収増益予想
・各事業の連携を強化して新たなソリューションの展開を目指す
・成長ステージへの移行加速を評価

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)《SO》

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