コロナ関連破たんの増勢止まらず 金融庁が金融機関に支援要請 東京商工リサーチ

2023年12月4日 16:25

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 東京商工リサーチは1日、11月30日時点の「新型コロナウイルス」関連破たん状況を発表した。2023年は1月から11月まで全ての月で前年の件数を上回り、年初からの累計は前年同期から約3割多い状況。ゼロゼロ融資の返済開始に伴う資金繰り悪化で破産する事業者が増える中、金融庁が金融関係団体へ要請した各種支援の効果に注目したい。

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 金融庁は11月27日、「事業者支援の促進及び金融の円滑化に関する意見交換会」を開催した。鈴木金融担当大臣を含む政府当局者と、全国銀行協会など金融関係団体等の代表者が意見交換を行った。政府から金融関係団体等に対し、『「デフレ完全脱却のための総合経済対策」を踏まえた経営改善・事業再生支援の徹底等について』とした要請が出された。

 要請の1つは、年末・年度末に向けた資金支援。資金需要の高まる時期であることに加え、いわゆるゼロゼロ融資の返済が本格化していることや、物価高・人手不足の影響などを踏まえてのもの。また、日銀による金融政策の変更と日本円金利の上昇が実現すれば、一般的に金融機関による融資姿勢が厳しくなることも背景にあると考えられる。

 加えて、鈴木大臣が「資金繰り支援に注力した段階から、事業者支援に取り組む新しい段階に移行する必要がある」とコメントした通り、姿勢の転換が要請された。

 ゼロゼロ融資の返済が2024年4月にかけピークを迎える中、これまでのように単純にリスケや借り換えを繰り返すばかりでは、かえって経営状況の悪化する事業者が増えるだろうとの見方が背景にある。具体的には、経営改善、債務減免、補助金等の各種支援策の提案などが盛り込まれた。

 かかる状況下、東京商工リサーチが1日、「新型コロナウイルス」関連破たん状況(11月30日時点)を発表した。11月は単月で234件と前年同月比27件増となり、昨年9月以降15カ月連続で200件を超えた。また、年初からの累計件数は2,922件に達し、前年同期の2,282件から約3割増えた。11月まで全ての月で前年同月の件数を上回るなど、増勢が止らない。

 破たんが増え続ける現状は、日本経済がコロナから正常化した一方で、後遺症を抱える企業が相当数いることの証左とも言える。2023年以降は、いわゆるゼロゼロ融資の返済開始に伴い資金繰りが悪化し、事業継続を断念して破産を選んだケースが多い。(記事:dailyst・記事一覧を見る

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