クレスコは24年3月期2Q累計営業減益、ただし2Qが2桁営業増益で通期増収増益予想据え置き

2023年11月7日 09:29

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

(決算速報)  クレスコ<4674>(東証プライム)は11月6日の取引時間終了後に24年3月期第2四半期累計連結業績を発表した。受注が好調に推移して増収だが、営業利益は人件費や教育費の増加、複数の不採算プロジェクト発生により減益だった。経常利益と親会社株主帰属四半期純利益はデリバティブ評価損益の改善により増益だった。そして通期の増収増益予想を据え置いた。第2四半期累計の営業利益進捗率はやや低水準の形だが、不採算プロジェクトに関する損失引当が第1四半期に完了し、他の案件でのリカバリーを目指すとしている。そして第2四半期の営業利益は前年比2桁増益に転じている。通期ベースでは積極的な事業展開により収益拡大基調に変化はないだろう。株価は地合い悪化も影響して年初来安値を更新する場面があったが、売り一巡して反発の動きを強めている。第2四半期の営業利益が前年比2桁増益に転じていることを評価して出直りを期待したい。

■24年3月期2Q累計営業減益だが2Qは2桁営業増益

 24年3月期第2四半期累計連結業績は売上高が前年同期比10.0%増の256億31百万円、営業利益が11.9%減の19億78百万円、経常利益が15.3%増の24億40百万円、親会社株主帰属四半期純利益が13.5%増の16億65百万円だった。

 期初計画(売上高249億円、営業利益20億80百万円、経常利益21億70百万円、親会社株主帰属四半期純利益14億18百万円)に対して、営業利益はやや未達だが、売上高、経常利益、親会社株主帰属四半期純利益は、いずれも計画を超過達成する水準で着地した。

 受注が好調に推移して増収だが、営業利益は人件費や教育費の増加、複数の不採算プロジェクト発生により減益だった。不採算プロジェクト発生に伴って他の案件受注を控えるという機会損失も影響した。経常利益はデリバティブ評価損益が6億38百万円改善(前年同期は評価損3億72百万円、当期は評価益2億66百万円)したことなどにより増益、親会社株主帰属四半期純利益は前年同期の特別損失に計上したコーポレートロゴ等変更費用(1億13百万円)の剥落なども寄与して増益だった。

 ITサービス事業は、売上高が5.9%増の236億05百万円で、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が7.2%減の27億48百万円だった。

 このうちエンタープライズ区分は、売上高が10.0%増の97億91百万円、利益が16.3%減の9億26百万円だった。売上面は情報・通信・広告分野と建設・不動産分野において一部の連結子会社の売上が大幅伸長するなど受注が好調に推移したが、不採算プロジェクト3件(人材紹介・人材派遣分野で1件、流通サービス分野で2件)の発生により減益だった。

 金融区分は、売上高が2.0%減の70億27百万円、利益が16.6%減の7億21百万円だった。売上面では保険分野およびその他分野における大型案件の収束が影響し、利益面では不採算プロジェクト1件(銀行分野で1件)の発生も影響した。

 製造区分は、売上高が9.1%増の67億86百万円、利益が11.1%増の11億円だった。機械・エレクトロニクス分野の好調により増収増益だった。

 デジタルソリューション事業は、売上高が99.3%増の20億25百万円、利益が118.2%増の90百万円だった。主力のクラウドサービス「Creage」やRPAライセンスの販売が増加して大幅増収増益だった。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が前年比4.4%増の118億81百万円で営業利益が47.3%減の4億70百万円、第2四半期は売上高が15.3%増の137億50百万円で営業利益が11.4%増の15億08百万円だった。第2四半期は不採算プロジェクトの影響が概ね一巡し、2桁増収・2桁営業増益となった。

 通期の連結業績予想は据え置いて、売上高が23年3月期比8.5%増の525億円、営業利益が5.0%増の52億50百万円、経常利益が4.6%増の53億70百万円、親会社株主帰属当期純利益が7.6%増の35億82百万円としている。配当予想は23年3月期と同額の50円(第2四半期末25円、期末25円)としている。23年3月期の50円には記念配当4円が含まれているため、24年3月期は普通配当ベースでは4円増配となる。

 受注が高水準に推移し、人材投資(教育研修プログラムの実施・強化、給与水準の引き上げ、過去最大規模の新卒社員採用など)による費用増加を吸収する見込みとしている。

 第2四半期累計の進捗率は売上高49%、営業利益38%、経常利益45%、親会社株主帰属当期純利益46%となり、営業利益進捗率がやや低水準の形だが、不採算プロジェクトに関する損失引当が第1四半期に完了し、他の案件でのリカバリーを目指すとしている。そして第2四半期の営業利益は前年比2桁増益に転じている。通期ベースでは積極的な事業展開により収益拡大基調に変化はないだろう。

■株価は反発の動き

 株価は地合い悪化も影響して年初来安値を更新する場面があったが、売り一巡して反発の動きを強めている。第2四半期の営業利益が前年比2桁増益に転じていることを評価して出直りを期待したい。11月6日の終値は1717円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS174円02銭で算出)は約10倍、今期予想配当利回り(会社予想の50円で算出)は約2.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1160円39銭で算出)は約1.5倍、時価総額は約378億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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