ビッグモーターにすり寄り、便宜を図り続けた損保ジャパンに向けられる厳しい視線!

2023年10月29日 07:51

印刷

 ビッグモーターの保険金割増請求問題でミソを付けたのは、損保ジャパンだった。

【こちらも】ビッグモーターとの取引で、損保ジャパンが堕ちた闇!

 ビッグモーターの副社長が一時損保ジャパンに籍を置いていたことや、損保ジャパンが過去に30名を超える出向者を送っていた(他社は数名だ)事実がある。はたから見れば、損保ジャパンがビッグモーターに相当な思い入れを抱いていたことは容易に想像できるが、他社が割増請求に対する疑念を深める中で、抜け駆けのように取引復活を進めた姿勢は頂けない。自社の利益確保にしか意識の向かない利益至上主義の浅ましい社風が見えてしまうからだ。

 企業が複数の損保会社と代理店契約を結ぶ例は多い。顧客が複数の中から納得できる商品を選択できるように品揃えすることに似ている。

 反面、損保会社には代理店が適切な営業活動を推進するように指導することが求められる筈だ。

 企業規模が圧倒的に大きい損保会社が優位な立場にあると思われるが、時には力関係が逆転することもあると思い知らされたのが、ビッグモーターと損保ジャパンの関係だろう。損保ジャパンがビッグモーターの顔色を窺いながら、姑息な方法で他者との差別化を図っていた例まで明らかになった。

 「完全査定レス」という特権をビッグモーターに付与していたと言う。ビッグモーターの案件は審査しないで丸呑みしますということだから、ビッグモーターを助長させた最大のポイントだったと言える。

 損保会社では、車両修理の必要が生じた保険契約者の車両を「適切な技術を備えた信頼できる修理工場」に紹介することが、当たり前に行われていた。

 保険で修理代金を賄う立場の保険契約者が、損害保険会社の「紹介」を拒むことは難しい。保険を使うと言うある種の「負い目」があると共に、修理工場の力量を熟知している人などはほとんど存在しないだろうから、愛車は損害保険会社が勧める修理工場に「言いなり」のような形で送り込まれた。

 損害保険会社がビッグモーターに修理車両を紹介するのは、紹介実績に応じた保険契約が期待できるからだった。「信頼できる工場」でなかったことは、その後「愛車」は凹まされたり傷つけたりして修理費の嵩上げが行われていたことが、図らずも証明している。

 ビッグモーターがとんでもない会社だったことが常識レベルに格上げされた今日、同社にすり寄って便宜を図り続けた挙句、同業他社をも出し抜いた損保ジャパンが、厳しい視線に晒されるのは必然のようなものだ。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事