証券会社の手数料無料化、日本でも定着するか!?

2023年10月17日 20:21

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●SBI証券や楽天証券が手数料無料化

 ネット専業証券会社大手のSBI証券と楽天証券は、10月から日本株の売買手数料を全面的に無料化した。2024年から開始されるNISA(少額投資非課税制度)の抜本的拡充に向けて、さらなる顧客獲得が狙いである。

【こちらも】楽天証券、新NISAの取引手数料を無料化 米国株式・海外ETFも

 SBI証券はこれまでも、2019年の国内ETF全銘柄の信用取引の手数料無料化に始まり、25歳以下の手数料無料化など、手数料の無料化に積極的であり、ライバルの楽天証券と手数料の値下げを競ってきた。

 今のところ追随する証券会社は無いようだが、今後手数料無料化の流れが加速するのだろうか?手数料無料化により経営への影響は無いのだろうか?

●米国ではすでに定着

 米国では2015年に新興証券会社のロビンフッドが売買手数料無料化を開始。2019年にネット証券大手のチャールズ・シュワブが株式の売買手数料を無料にしたことがきっかけで、いっきに定着した。

 米国では誰が何を買うか?もしくは売るか?という情報自体を売るペイメント・フォー・オーダー・フロー(PFOF)という制度がある。証券会社がその情報をMarket Makerと呼ばれる投資家に売ることで収益を得ている。

 ロビンフッドなどはPFOFを収入源とすることで、手数料の無料化を実現しているが、ゲームストップ株騒動のような過当取引を助長しているなどの批判もある。

●事情の違う日本では成功しない?

 PFOPの制度は日本には無く、SBI証券も楽天証券も手数料収入は年間200億円近くあり、貴重な収入源である。

 SBI証券と楽天証券の無料化を受けて、追随しないと表明したマネックスグループ・松本大会長は「米国は手数料を無料にしても、別の収入源があるが、日本にはそれが無い。どう考えても赤字になる」と話している。

 米国にはPFOF以外にも信用取引からの金利収入や、提携先銀行などでの運用の収入源があるが、低金利の日本ではそれも難しい。

 手数料以外での収益は、顧客の情報提供料、アドバイス料があるが、顧客基盤を拡大することにより、これらの収益を伸ばすことを目論んでいるとみられる。

 他社が手数料無料化に追随することは、手数料に代わる収益モデルを確立することが先なのかもしれない。新NISAで米国並みの投資文化が定着するかどうかも、大きなカギを握るだろう。(記事:森泰隆・記事一覧を見る

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