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新興市場見通し:上値の重い展開か、米CPIが攪乱要因、IPOは1社
*19:09JST 新興市場見通し:上値の重い展開か、米CPIが攪乱要因、IPOは1社
■米長期金利の上昇再開で失速
今週の新興市場は3週ぶり反落。週を通じて軟調な展開だった。米雇用統計は総じて労働市場の軟化を示す結果だったが、発表後から米長期金利はむしろ上昇に転換。レーバーデー明け後も米長期金利の上昇は続き、8月の高値更新を窺う手動きとなるなか、株価バリュエーションが高く金利の動きに敏感な新興株は上値の重い展開が続いた。なお、今週の騰落率は、日経平均が-0.32%だったのに対し、マザーズ指数は-1.10%、東証グロース市場指数は-0.74%だった。
個別では、新株予約権の大量行使で希薄化懸念後退したことが材料視されたか、セルシード<7776>が週間で+40.2%と上昇。8月に発表した上半期決算や新工場の稼働開始への期待などからJMC<5704>が上値追いの様相を強め、+25.3%と上昇。JMCと同様の電気自動車(EV)関連ではENECHANGE<4169>がEV充電アプリの開発に関するリリースで一時買われる場面があった。ほか、自動車開発支援ソリューションの共同開発などでISID<4812>との業務提携を発表したエクスモーション<4394>や、コンクリート養生向け温湿度管理システムが国土交通省の「NETIS」に登録されたエコモット<3987>なども週間上昇率ランキングに入った。
■マザーズ指数、200日線が引き続き上値抵抗線に、IPOは1社
来週の新興市場は上値の重い展開か。米雇用統計の発表後に再び上昇してきている米10年債利回りは今週末にかけて上昇一服感が見られているが、8月22日に付けた高値に近い水準で高止まりしている。13日は米消費者物価指数(CPI)が発表予定で、食品・エネルギーを除いたコア指数では前年同月比で伸びの鈍化が予想されている一方、全体では伸びの加速が予想されている。原油市況が上昇基調にあるなか、指標の上振れは金利の上昇につながる可能性が高い。米長期金利が直近の高値を更新してきた場合には新興株には売り圧力が強まるだろう。
ほか、米国では週末にかけて米卸売物価指数(PPI)、ミシガン大学消費者信頼感指数が発表される。PPIもCPIと同様に全体では伸びの加速が予想されている。また、原油市況が上昇してきていることがまだ調査には反映されていないかもしれないが、ミシガン大学消費者信頼調査での期待インフレ率が上昇した場合には追加利上げ観測を高める恐れがある。翌週には米連邦公開市場委員会(FOMC)の開催も控えている。CPIやPPIが無難に消化された場合でも、ミシガン大調査の期待インフレ率やFOMCを前に積極的な買いは期待しにくいだろう。
マザーズ指数は今週、一時200日移動平均線を上回る場面があったが、週末にかけては結局、同線を割り込んでいる。200日線の上にはさらに75日線も控える。今週末終値はちょうど25日線が位置する水準にあるが、同線も下回ってしまうようだと、下値模索の展開になりかねない。今月は中旬以降に新規株式公開(IPO)も多数予定されている。当面は資金余力の確保を目的とした買い手控えムードも強まりやすく、既存の新興株には厳しい地合いが続きそうだ。
来週はMacbeeP<7095>、ビジョナル<4194>、INTLOOP<9556>、エコナビスタ<5585>、pluszero<5132>などの決算発表があり、内容もさることながら株価反応に注目したい。個別では、地合いが悪いなかテクニカル重視でチャート形状が良好な霞ヶ関キャピタル<3498>、INFORICH<9338>、メドレックス<4586>などに注目したい。
なお、12日には経営コンサルティング事業を展開するライズ・コンサルティング・グループ<9168>が東証グロース市場に新規に上場する。《FA》
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