米国株式市場見通し:FOMC議事要旨や小売決算に注目

2023年8月12日 14:39

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記事提供元:フィスコ

*14:39JST 米国株式市場見通し:FOMC議事要旨や小売決算に注目
 

7月小売売上高に加えて小売り決算に注目したい。高インフレや高金利の影響を受けた消費動向に焦点が集まっている。7月小売売上高は6月から伸びの拡大が予想されている。オンライン小売りのアマゾン・ドット・コムが7月に開催したプライム会員向けの年に一度のビッグセール「プライムデー」での好調な売り上げが指標結果を押し上げると見られている。予想通り消費の底堅さが確認された場合には、ソフトランディング(軟着陸)期待がさらに強まり相場を後押しするだろう。

連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ軌道を判断する上で、7月開催分の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨の内容にも注目だ。FRBはこの会合で0.25ポイントの利上げを再開。年内はデータ次第で各会合での政策を決定していく方針を表明した。金融市場の混乱を受けて、若干タカ派色が弱まった可能性はありそうだ。しかし、インフレは依然、FRBの目標である2%を上回っている。参加者は、インフレの進展を歓迎する一方で、利上げサイクルの終了を宣言するとは考えにくい。インフレ制御を巡る勝利宣言が見られるとは考えられず、追加利上げの選択肢を含む内容にとどまりそうだ。

6月CPIが予想以上に伸びが鈍化したことに続き、7月CPIでもインフレ鈍化基調を再確認した。9月FOMCでは利上げが見送られる可能性が強まったが、9月FOMCまでに新たなCPIや雇用統計などの重要指標がいくつか発表されるため、金利動向には不透明感が残る。市場も年内の追加利上げの可能性を完全に排除していない。連邦政府の歳出拡大や原油価格の上昇で、年後半にインフレが再び上昇する可能性も強まりつつある。指標の結果に一喜一憂する商状が続きそうだ。一方、中国では不動産セクターへの懸念が再燃しつつあり、中国人民銀行(中央銀行)が8月には金利据え置きも、9月には利下げが実施されると見られており、相場の下支え要因になるだろう。

経済指標では、7月小売売上高、7月輸入物価指数、8月ニューヨーク連銀製造業景気指数、7月企業在庫、8月NAHB住宅市場指数、対米国投資(15日)、7月住宅着工件数・建設許可件数、7月鉱工業生産・設備稼働率(16日)、週次新規失業保険申請件数、7月景気先行指数(17日)、などが予定されている。また、FRBは16日にFOMC議事要旨(7月開催分)を公表予定だ。

主要企業決算では小売り関連で、ホームセンター運営のホーム・デポ(15日)、ディスカウント小売りのターゲット、衣料品小売りのTJX(16日)、ディスカウント小売りチェーンのウォルマート、コーチなどを運営するタペストリー、廉価アパレルのロス・ストアーズ(17日)、化粧品メーカーのエスティローダー(18日)に加え、ネットワーク機器メーカーのシスコ・システムズ(16日)、エンターテインメントのマディソン・スクエア・ガーデン(17日)、農機具メーカーのディア(18日)、などが予定されている。タペストリーは今週、ヴェルサーチェやマイケル・コースなどの衣料ブランドを運営する英カプリ・ホールディングスの買収を発表したばかりで内容に注目だ。農機具メーカーのディアの決算では、需要動向から世界のマクロ経済動向を見極めたい。

(Horiko Capital Management LLC)《FA》

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