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ジョイフル本田、売上高は前年とほぼ同水準、新社長のもと原点に立ち返り、危機を好機と捉え企業価値向上を目指す
ジョイフル本田、売上高は前年とほぼ同水準、新社長のもと原点に立ち返り、危機を好機と捉え企業価値向上を目指す[写真拡大]
⽬次
久保裕彦氏:本日はお暑い中、株式会社ジョイフル本田の決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。株式会社ジョイフル本田経営管理部部長兼広報・IR部部長の久保でございます。
本日の説明内容は、目次のとおりです。まず、前期の決算内容について、私のほうからご説明します。
23/6期 決算のポイント
2023年6月期のポイントです。1番目、まず収益に関してですが、売上面では前年ほぼ横ばいでした。4月にオープンした「ジョイホンパーク吉岡」の売上は好調に推移しています。利益については、新店舗の出店経費や光熱費の高騰が利益を圧迫し、営業利益・経常利益ともに減少しました。
2番目に、資本面では2022年6月期に続いて、約25億円の自己株式の取得および消却を行い、また関連企業にかかる一部固定資産を流動化しました。
3番目に、経営陣を交代し、新たな方針の下での経営を開始しました。
P/L
決算の詳細についてご説明します。ご覧のとおり、売上高は前期比99.8パーセント、営業利益は90.7パーセント、経常利益は92.6パーセント、当期純利益は76.8パーセントでした。売上高は、「ジョイホンパーク吉岡」がオープンしたものの既存店が前年比98.8パーセントと伸び悩みました。
売上総利益については5ページ、販管費については6ページにて解説します。
特別損失に「ジョイホン小山駅前店」の減損損失を3億9,400万円計上したほか、すでに売却した稲城市の出店用地の減損損失について、税務上で認容された前期と比較して法人税が増加したように見えています。結果、当期利益は約85億円となりました。
⽉次売上⾼の対前年同⽉⽐
月次売上高を見ると、上期は好調でしたが、下期は、気温が下がらず冬物商材が不振となったため、横ばいとなりました。客数の減少傾向が続いており、新規出店を含む「顧客接点の拡大」が課題となっています。
なお、4月26日に「ジョイホンパーク吉岡」が開業した結果、売上高は回復基調にあり、「ジョイホンパーク吉岡」が好調に推移していることがおわかりいただけると思います。
商品グループ別売上⾼および売上総利益
商品グループ別売上高について、2019年6月期比にてご説明します。戦略的にプロ用品を強化してきた「資材・プロ用品」と「ペットとの暮らしを豊かにする商品」を拡充した「ペット・レジャー」は増収となりました。
次に、売上総利益について解説します。売上総利益の改善が継続的に進んでいます。特に、「資材・プロ用品」の収益力が高まり、住まいの分野の利益率向上に貢献しています。
販管費と総労働時間の推移
販管費および総労働時間の推移です。まず販管費合計は、実額で約15億5,000万円増加しました。スライド左側のグラフにあるオレンジ色の水道光熱費が前年同期比で約4億円増えています。
約6億7,000万円増加した販管費「その他」の項目の増加は、右の図のとおりとなっています。
営業利益およびEBITDA
営業利益とEBITDAマージンについてご説明します。先にお伝えした販管費の増加要因により、営業利益は前年同期比で減少、営業利益率も9パーセントとなりました。それでも上場以降の歴年で見ると、営業利益率は高水準です。
中計目標11.5パーセントとしているEBITDAマージンについては、11パーセント台を維持しています。
B/S
貸借対照表です。新店投資、自己株式購入、長期借入金の返済等の影響により、「現金及び預金」が約75億円減少しています。
設備投資および減価償却費、キャッシュ・フロー
設備投資の主な内容は、新規出店、既存店の修繕、カーボンニュートラルへの取り組みです。キャッシュ・フローについて、投資活動では固定資産の取得が大きな要因です。
借入金の返済や自己株式取得により財務キャッシュフローを減少させ、資金効率の向上に努めた結果、現金及び現金同等物の期末残高は約75億円減少しています。
⾃⼰株式の取得と消却
自己株式の取得と消却についてです。今期も引き続き自己株式の取得を行っていきます。昨日、公表したとおり、今期は約50億円の自己株式を取得する枠を設定しました。
中計の進捗①
中期経営計画の定量目標の進捗です。2023年度は計画未達となりました。今後の課題は、既存店のトップライン向上、人財確保、出店用地の確保です。
中計の進捗②
キャッシュ・アロケーションについては、スライドの図でご確認いただけるように、出店を中心とした成長投資に注力した結果、キャッシュアウトの実績が大きくなっています。
また、こちらの表はEBITDAを採用して、キャッシュの出入を大きな項目で解説していますので、キャッシュフロー計算書とは一部ズレが生じます。
今後も資本効率向上に向けた施策に取り組んでいきます。
2023年6⽉期の事業⽅針の成果
2023年6月期の方針は「世代を超えたファンを拡げていこう!」でした。施策と主な取り組み事例を紹介します。
1つ目の「出店戦略による顧客拡大と売上高伸長」についての代表的な取り組みは「ジョイホンパーク吉岡」の開業になります。
2つ目の「基本方針の実行施策を、全店水平展開できる水準にブラッシュアップ」では、プロ用品の品揃えを深耕させました。
3つ目の「既成概念を超えた、お客様視点での売場再編集による顧客層の拡大」では、ホームセンターの売場とリフォーム事業を融合する等、新しい提案を行いました。
4つ目の「非財務価値の創出に向けた積極的な投資」では、中計で3,000アイテムの取扱いを目指すサステナブル商材の取扱アイテムを約1,300アイテムまで拡大しました。
以上、2023年6月期の報告をしました。
社⻑経歴
平⼭育夫氏:みなさまには日ごろからお世話になっています。6月に代表取締役社長に就任した、平山でございます。身が引き締まる思いでここに立っていますが、今後ともどうぞよろしくお願いします。それでは、新方針をご説明します。
まずは私の経歴をご紹介します。1987年に入社して入社37年目になります。売場勤務から店長を約12年、商品部部長、総務部長、経営企画部長、取締役専務執行役員管理本部長、COOなどを経験してきました。
2013年に創業オーナーである本田会長が逝去されるまで、さまざまな場面で直接の指導を受けた最後の世代です。
当社の変化点と現在位置
当社は、大きく3期の歴史を辿ってきました。オーナー経営時代に「顧客基盤・企業基盤の拡大」を行い、「超大型店舗」によるビジネスモデルを確立しました。
その後投資ファンド主導の時期を経て、自主・独立の基盤を確立しました。大型店だけではなく、新業態へのチャレンジとしてペット専門店の「Pet’s CLOVER」、プロショップの「本田屋」、駅前立地の「ジョイホン小山駅前店」の出店へとチャレンジをしていきました。
直近では収益構造改革を中心に進めており、今年4月には12年ぶりとなる大型店の「ジョイホンパーク吉岡」を出店し、地域のお客さまにも高評価をいただいています。
外部環境
一方で、外部環境が急速に変化しており、先行きの見通しができないVUCA(ブーカ)の時代とも言われています。
RESTART
このような環境の中、私が掲げる経営テーマは、「ジョイフル本田の出発点や基本に立ち返る」としました。この写真は、1号店の荒川沖店です。
私たちが創業以来⼤事にしてきた価値観
創業以来、私たちが大切にしてきた価値観は、「お客さまの喜びが私たち(企業)の喜び」です。
1号店は420坪の小さなお店からスタートして、常にお客さまの立場で考えてチャレンジを続けてきました。お客さまから問い合わせがあった商品の取り扱いがない時は、すぐに取り寄せて品揃えに加え、商品が店舗に入りきれなくなると増床を繰り返しました。その結果、現在は7,000坪を超えるお店になっています。単純に昔のやり方に戻るのではなく、「変化すること」「変化に対応すること」「新しいことにチャレンジすること」が私たちの原点です。
不確実な時代だからこそ私たちは今一度、お客さまと正面から向き合い、価値観とは何かをあらためて考え、そして顧客価値向上策を徹底して考え実行し、危機を好機に変えて環境変化に適応し、企業価値を高めていきます。
経営理念 / ①当社のMVVおよび中期経営計画の基本⽅針
中期経営計画の基礎となる経営理念、「Mission,Vision,Value」に変更はありません。
経営理念 / ②VISION
「VISION」の「国内No.1の “Living Space Innovator” 企業となる」を資料に記載のとおり、具体的に定義づけました。PBRで圧倒的に抜きんでること、時価総額においても業界No.1になることを目指します。
経営理念 / ③((SEED))
「SEED」の解釈もスライドに記してあるように、わかりやすくし、今期の期初に方針確認会で全管理職に伝えるとともに、全社に周知しています。
経営理念 / ④⾏動指針(5か条)
私たちが「Mission」を果たし、「Vision」を実現するために実践すべきことが、5か条の行動指針です。「お客さまの“不”の解消を続ける」というのは、お客さまの声や情報、さまざまな場面を見て常に不の解消を続けることが当社の特長でありました。
リアル店舗を営む当社にとって、行動指針の実践を重要な経営課題であると認識しており、浸透させていきます。
2024年6⽉期 基本⽅針
今期の基本方針は「原点回帰と新しい企業文化の創造」です。創業者のメッセージを記載していますが、初心に帰り基本に忠実に行動するとともに、会社としての新たな価値観(VALUE)を共有していきます。単純に、経営を「古き良き時代に戻す」ではなくて時代に合わせて常に変化していくことを、今一度行っていきます。
そして、お客さまがご来店されるたびに新しい「発見」や「感動」を感じることができる店舗を目指していきます。
2024年6⽉期 主要テーマ
優先的に取り組むテーマを3つ策定しました。それぞれについて、順次ご説明します。
1.⼈への投資
まずは「人への投資」です。中期的に見ても良い人財の採用は難しさを増し、また、政府からもさらなるベースアップの要請が高まっており、人件費については中計策定後から大きな環境の変化が起こっています。
当社の総額人件費の算出方法は、売上総利益に労働分配率を乗じるものです。売上総利益の向上により人件費総額が増加する仕組みです。今回、労働分配率を49パーセントから50パーセントに再設定し、人件費総額を増やします。今後の出店を考え、人財確保と働きがいの向上、「お客さまの喜び」につながるよう教育体制の拡充を強化し、積極的に人への投資を行い、企業価値向上につなげていきます。
2. 同質化競争からの脱却 / ①出店戦略
次に「同質化競争からの脱却」です。1つ目は出店戦略です。当社初の駅前居抜き物件を活用した出店である「ジョイホン小山駅前店」の業績は正直伸び悩んでおり、新フォーマットを検討中です。
一方で「ジョイホン小山駅前店」の部門ミックスの考え方や関連した品揃えの重要性は、今年4月にオープンした「ジョイホンパーク吉岡」で活かしており、既存店にも広げていきたいと考えています。
現在、新フォーマットでの郊外居抜き物件を活用した出店へシフトするべく候補地選定を積極的に行っており、さらに好調な「本田屋」の出店強化をしていきます。
2. 同質化競争からの脱却 / ②商品戦略
2つ目は商品戦略です。継続して各カテゴリーのプロ需要に応える品揃えをさらに充実させるとともに、輸入品を含めた独自商品開発、高付加価値商品による実店舗ならではの提案力強化を図っていきます。
2. 同質化競争からの脱却 / ③データの有効活⽤
3つ目のデータの有効活用については、検品・発注・在庫管理等のモバイルの活用を進めてきました。さらに商品マスターの再構築とモバイル端末を連携することで、MD、販促、EC、取り置きサービスに活用していきます。
当社は取扱アイテムが業界平均の約5倍と多いため、スタッフの教育にも役立つツールにしていきます。
3. 持続可能で豊かな社会実現に貢献①
最後に「持続可能で豊かな社会実現に貢献」では、サステナビリティ委員会を設置しました。取り組みを今まで以上に具体的に推進します。役割としてはスライドに記載しているようなことを考えています。
3. 持続可能で豊かな社会実現に貢献②
サステナビリティの一環として、ご紹介します。吉岡店では、現在約500キロワットの再生可能エネルギーの電力を直接店舗で活用し、CO2排出を抑えた環境配慮型の店舗運営を実現しています。2024年には、再生可能エネルギー電力を拡大し、約2,000キロワットの電力を発電する予定です。
現在、幸手店、ニューポートひたちなか店、新田店、「ジョイホンパーク吉岡」の4店舗で1期工事が終了し、すでに再生エネルギーの自店舗活用を開始していますが、2023年末には、加えて6店舗が稼働する予定です。
また、1期工事が終了した店舗でも、2期工事として蓄電池を設置するなど、さらに効率的な運用を目指します。
コーポレート・ガバナンス / ①体制の概要
現在、投資家・アナリストのみなさまと社外取締役との対話が重要になってきています。初めての取り組みとなりますが、コーポレート・ガバナンスについて社外取締役の釘崎からご説明します。
釘崎広光氏:社外取締役の釘崎広光と申します。私からは当社のコーポレート・ガバナンスについてお話しします。まず、ガバナンスの担い手である取締役会は、現在6名の取締役のうち社外取締役3名、社外監査役3名という構成となっています。
また、取締役会の諮問機関という位置付けで、指名委員会と報酬委員会を設置しており、いずれも社長と社外取締役3名の4名で構成しています。指名委員会は基本的に年に1回、4月ないしは5月に開催しています。役員の360度評価を実施し、それに基づき個別面談を行った上で、翌年度の役員人事や重要組織について議論しています。
報酬委員会は基本的に年に3回開催しています。役員それぞれの目標設定面談、半期における中間レビュー、年度末の評価面談を行った上で評価を決定し、報酬額の決定につなげていく仕組みです。
コーポレート・ガバナンス / ②取締役会構成人数の推移
取締役会構成人数について、6年間の推移を記載しています。私は2017年9月の定時株主総会で社外取締役に就任したのですが、当時は社内取締役が圧倒的多数でした。そこから社外取締役を増やし、社内取締役を大幅に減らして取締役会全体をスリム化し、議論を活発化させることで、ガバナンスの実効性を高めています。
本年9月の定時株主総会で原案が承認されれば、取締役5名、監査役3名の体制になり、5名の取締役うち3名は社外取締役ということで、その比重が高まってきます。
コーポレート・ガバナンス / 社外取締役の責務
社外取締役の役割の重要性を強く認識した上で、付属資料42ページに経済産業省が定めた「社外取締役の在り方に関する実務指針」より社外取締役の心得を記載しています。
コーポレート・ガバナンス / 社外取締役の責務
こちらは私がセルフチェック用に定めた社外取締役の要件です。再任されるたびに「自分はこの要件を果たし得るのか?」とチェックした上でお引き受けしています。
コーポレート・ガバナンス / ③取締役会の実効性評価
コーポレート・ガバナンスは、取締役会が主たる担い手となります。本年度は5回目の実効性評価となりますが、評価結果は徐々に高まっています。実効性評価は全取締役・監査役が行う自己評価となりますが、年々、改善しています。大きな改革を行った期もありますし、効果も確実に出てきていると思います。
ただし、本年度は戦略議論をさらに活発化、深耕させていく必要があります。特に成長戦略、競争戦略については、踏み込んだ議論をしていかなければならないと考えており、大きなテーマとして設定しています。
コーポレート・ガバナンス / ③取締役会の実効性評価
ガバナンスのもう1つの大きな柱として、社長の報酬の決定方法が挙げられます。「固定報酬+業績連動報酬+株式報酬」の3本立てとなっており、固定報酬はコンピテンシー評価によって変動します。付属資料41ページは、取締役が期待する社長の行動能力を定めたものですが、役員、十数人の部長クラスが評価し、その結果によって変動する仕組みとなっています。
業績連動報酬はテーブル制で、ROE(当期純利益÷自己資本)の水準と個々の役員の業績評価(S〜D)がクロスするところで金額が定まります。
業績評価の要素についてはスライドに記載のとおり、毎年設定しているEBITDA(償却前営業利益)とPBRで評価段階を決めています。加えて、働きがいの調査であるGPTW(Great Place to Work)に参加しており、5段階評価のうち、5と4の高評価を肯定率と呼んでいますが、その率によって評価段階を決めています。
さらに、本年度の重要テーマについて目標設定面談で設定して、4つの指標に対して同じウェートである25パーセントずつの総合的な評価とROEの水準で金額が定まります。
株式報酬については株式給付信託(BBT)を導入し、コンピテンシー評価と業績評価によって付与ポイントが決まってきます。このように透明性の高い仕組みを導入することで、ガバナンスを効かせています。
今期の業績予想
平⼭:今期の業績予想についてご説明します。業績予想の前提として、コロナ禍の影響が明け、業態を超えた競争が激しくなると見ています。
売上は上半期670億円、下半期も670億円、通期で1,340億円としました。前期比108.6パーセントです。売上分野別構成比の「住まい」と「生活」は、それぞれ前期と同程度を想定し、売上総利益は前期比109.5パーセントの438億円を見込んでいます。
販管費については、「ジョイホンパーク吉岡」が通年となること、労働分配率の引き上げによる人件費の増加や水道光熱費の上昇などで前期比114.0パーセントの397億円としました。これにより、営業利益は前期比92.8パーセントの103億円を見込んでいます。当期純利益は前期比91.5パーセントの78億円です。
株主還元 配当予想
株主還元についてご説明します。2023年6月期の期末配当については、23円とします。 配当方針によるDOE(株主資本配当率)の目安、業績、および財務状況にしたがって、年間合計では46円、前期実績42円から4円の増配です。
さらに、今期の配当予想については、年間で50円、前期比で4円のプラス、上場来11期連続での増配を予定しています。
今後の方針も従来のとおり、DOE2.5パーセントを目安に、引き続き「累進配当」を実行していきます。
店舗⾒学会のご案内(機関投資家・アナリスト向け)
最後に、店舗見学会のご案内です。群馬県北群馬郡に4月にグランドオープンした「ジョイホンパーク吉岡」の機関投資家・アナリストのみなさまに向けての店舗見学会を2023年9月7日木曜日に企画しています。スケジュール詳細が確定次第、あらためてご案内します。ぜひ、ご覧いただき体験していただけると幸いです。
以上で、私からのご説明を終わります。長時間のご清聴、ありがとうございました。
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