金型部品のパンチ工業、JAXAとの共同研究でロケットエンジン部品の製造技術開発へ

2023年8月4日 15:17

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 パンチ工業<6165>(東証プライム)は2023年8月、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同研究契約を締結したと発表。ロケットエンジンなどに使われる部品について、同社が所有している接合技術「P-Bas」を用いた製造技術を調査し、成立性検討について共同研究を行う。

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 同社の、顧客の図面通りに金属加工するオーダーメードの「特注品」加工技術力も活かし、発展が見込まれる宇宙分野への展開を積極的に進め、宇宙開発への貢献を目指していく。

■共同研究の背景

 ロケットエンジンなどに使用される、切削加工が困難な複雑形状の部品について、同社が所有している接合技術「P-Bas」を用いた加工法を技術面・コスト面からJAXAへ提案しており、この度、共同研究として取組むこととなった。

■研究の要旨

(1)耐熱合金に対する接合条件の取得

 耐熱合金材料に対する加熱・加圧時間や温度、圧力などの最適条件を確立し、試験などで強度評価を行う。

(2)歪みの少ない接合方法の検討

 「P-Bas」は加圧方向が一方向のため、圧力による位置ずれや歪みが生じる課題を改善する必要がある。この歪みを改善する方法について、数種類の接合治具を用いて試行し、接合面を形状測定によって評価を行う。

■金属の接合技術「P-BasR接合」

 P-Bas(ピーバス:Punch Bonding and sintering)接合は、加圧しながら加熱することで2つ以上の金属部品を一体化する技術である。同共同研究で行うロケットエンジンなどの複雑形状の部品を加工するのに活用できるほか、同社の主要事業である金型部品の製作においてもコスト、納期、性能の点において優位性がある。

●P-BasR接合の特長

【幅広い材料選択肢】

 一般的に、内部に複雑な形状の水管を含有する部品は、金属3Dプリンタで製作される。使用材質が限られる金属3Dプリンタと比較し、P-Bas接合では汎用的な特殊鋼全般から選択できる。

【高い接合強度】

 接合部以外は素材強度のまま、接合部は非接合材と比較して90%以上の強度を確保する技術を確立。

【製造・材料コストの低減】

 金属3Dプリンタの1/4程度の時間で作製が可能である。また、高価な金属3Dプリンタの粉末金属に対し、汎用的な金属材料を用いるのでコストが抑えられる。

■パンチ工業の航空宇宙開発事業への取組み

 同社は、1975年の創業以来、精密金型部品やFA部品・機器の製造を通じてお客様の図面の通りに加工するオーダーメードの「特注品」加工技術力を培ってきた。この技術を活用して、今後更なる発展が見込まれる宇宙分野への展開を積極的に進め、事業の成長を図っていく。

※FAはファクトリーオートメーション(Factory Automation)の略称

 同社は、2016年より、R&D強化を目的として「航空宇宙産業関連への進出」への取組みを重点経営課題の一つと掲げている。航空宇宙関連の部品加工を中心に、着実に実績を伸ばしつつある。

■今後の見通し

 同社は、今後さらなる発展を遂げる航空宇宙産業の未来に対し、「P-Bas」等の複合材新素材の活用などで得られた技術を地球上での既存事業や新規事業に活用すること、また、宇宙ビジネス以外の市場でも活用することで、より社会から必要とされる企業となることを目指していく。

 同社は、2022年から3か年の中期経営計画「バリュークリエーション2024 Revival」において、パンチグループの更なる発展を目的に、新技術開発を継続的に推進し、R&D強化に取組んでいる。これらの取組みは今すぐに売上・利益に貢献するものではないが、超微細加工や精密計測を要求される航空宇宙関連に取組むことで同社の技術力向上に繋がるものと考えている。

 同社は今後も、発展が見込まれる宇宙分野への展開を積極的に進め、事業の成長を図っていくとしている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

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