【株式市場特集】建設株の高配当利回りに注目!政策関連の出遅れセクターが狙い目

2023年8月1日 12:33

印刷

記事提供元:日本インタビュ新聞社

■「コンクリートも人も」の建設株が大化けのチャンス!

 今週の当特集は、政策関連の出遅れセクターとして建設株に注目することにした。ただし、この建設株は、2009年の政権交代時には旧民主党が政治キャンペーンした「コンクリートから人へ」とは真逆で「コンクリートも人も」である。2011年の東日本大震災以来の国土強靭化計画はもちろん、歴史的は豪雨による相次ぐ激甚災害の復旧・復興工事、働き方改革による建設技術者不足が懸念される「2024年問題」など政策の継続性と非連続性が試されるプロジェクトが目白押しである。

 この建設株は、業種別PERでは13倍と東証プライム市場全業種平均の15倍台を下回っているものの、全33業種の業種別ランキングでは第15位と中位に位置し超割安株とはなっていない。業態そのものも、オールドエコノミーで、しかも、前週末28日に近縁業種の金利敏感の不動産株が軒並み安となったことも気掛かりではある。しかし、個々の銘柄の配当利回りに絞ると、東証プライム市場の配当利回りランキングのトップ10位のなかに5銘柄もがランクインするなど市場の注目度が高まる資格は充足している。高配当利回りのバリュー株は、これまで海運株、大手商社株の大化けや、今回の日銀の柔軟化策により銀行株の軒並み高が続いてきたが、建設株にもその素地があることになる。

 また「モノ言う株主」との攻防を続ける銘柄も少なくなく、年初来高値水準に位置する銘柄も少なくない。周辺業種のセメント株、コンクリート二次製品株、建設DX(デジタル・トランスフォーメーション)株などにも広く網を張り8月の猛暑・残暑相場を乗り切りたい。

■プライム市場の高配当利回りランキングトップ10に5銘柄がランクイン

 建設株で東証プライム市場の高配当ランキングの上位10位にランクインする銘柄は、第1位の世紀東急工業<1898>(東証プライム)の6.35%以下、東洋建設<1890>(東証プライム)、浅沼組<1852>(東証プライム)、奥村組<1833>(東証プライム)と続き、第10位にランクインする安藤ハザマ<1719>(東証プライム)の配当利回りは5.34%となる。このうち世紀東急は、配当性向を100%に高める株主還元方針の変更で年間配当を90円と前期比3倍増とし、東洋建設も、任天堂<7974>(東証プライム)の創業家の株主提案が続いているなか配当性向を100%とする中期経営計画に基づき年間63円(前期実績25円)に連続増配する。浅沼組は5期連続の197.50円への増配で入札妨害による営業停止処分の嫌気売りをカバーし、奥村組は3期連続の増配で、安藤ハザマは、連結総還元性向70%以上とする中期経営計画に沿って年間60円(前期実績40円)に増配し、年初来高値更新となった。

 連続増配ではこのあとに続く大末建設<1814>(東証プライム)は、3期連続で年間配当利回りが5%台をキープし、同じく3期連続の矢作建設工業<1870>(東証プライム)は、配当利回り4.58%とPER8倍台で年初来高値水準をキープし、飛島建設<1805>(東証プライム)や四電工<1939>(東証プライム)、長谷工コーポレーション<1808>(東証プライム)も、配当利回り4%台とPER8~9倍台の好条件兼備で年初来高値を窺っている。

■周辺のセメント株などにも高配当利回りが続き「2024年問題」関連株にも出番

 建設株周辺業態では、エネルギー価格などの原材料価格高騰の価格転嫁が進んでいるセメント株の太平洋セメント<5233>(東証プライム)が、前週27日に年初来高値まで買われたが、PERはまだ8倍台であり、住友大阪セメント<5232>(東証プライム)、セメントと化学品の2本柱のトクヤマ<4043>(東証プライム)、デンカ<4061>(東証プライム)、さらに非鉄との二本柱の三菱マテリアル<5711>(東証プライム)も年間配当利回りが3%~4%でPBRは揃って1倍割れである。小型株のコンクリート二次製品株でも、年間配当利回り4.74%のヤマウホールディングス<5284>(東証スタンダード)以下、アジアパイル<5288>(東証プライム)、トーヨーアサノ<5271>(東証スタンダード)、日本ヒューム<5262>(東証プライム)、日本興業<5279>(東証スタンダード>、日本コンクリート工業<5269>(東証プライム)など利回り4%台、3%台の割安株が続く。

 残業時間規制で建設・土木技術者不足が懸念される「2024年問題」関連の建設DX関連株では、当コラムの今年6月26日付けで取り上げたオプティム<3694>(東証プライム)、エコモット<3987>(東証グロース)、スパイダープラス<4192>(東証グロース)、シーティーエス<4345>(東証プライム)、応用技術<4356>(東証スタンダード)、構造計画研究所<4748>(東証スタンダード)、Arent<5254>(東証グロース)、また建設業向け人材派遣関連のオープンアップグループ<2154>(東証プライム)、クイック<4318>(東証プライム)、ナレルグループ<9163>(東証グロース)などもビジネスチャンス到来が意識される可能性がある。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

【関連記事・情報】
【株式市場特集】1月以来、業績を上方修正して黒字転換した銘柄の決算発表日に注目(2023/04/24)
【株式市場特集】鉄鋼株、オートバイ株、産業ロボット株をバフェット氏へ推薦(2023/04/17)
【株式市場特集】「楽しい株式投資」を提案!大谷翔平・WBC関連株と藤井聡太関連株(2023/04/10)
【株式市場特集】消費関連の最出遅れ株、サードパーティー銘柄ともいうべき食品・水産物の卸売株に注目(2023/04/03)

※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

関連記事