佐世保の百貨店「トゥインクル西沢」、AI活用して需要予測の実証実験

2023年7月20日 08:36

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実証実験に入ったトゥインクル西沢(イデイン発表資料より)

実証実験に入ったトゥインクル西沢(イデイン発表資料より)[写真拡大]

 長崎県の百貨店・ファッションビル「トゥインクル西沢」(佐世保市本島町)は、エッジAI(人工知能)プラットフォーム運営のIdein(イデイン)と共同で、AIを活用した需要予測の実証実験を始めた。3月に実施した来店者属性と人流データの収集に続く第2弾で、需要予測を基にして適正な人員配置や在庫最適化を進める。

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 トゥインクル西沢は、佐世保市の中心商店街・四カ町商店街にある地下1階、地上8階延べ約1万3,000平方メートル。婦人服や宝飾品の専門店に加え、家電量販店、ディスカウントショップなどのテナントが出店している。実証実験の期間は4カ月間。2階に2台のAIカメラを設置して情報収集したうえで、人流データと販売記録データを掛け合わせることで需要予測を進め、適切な人員配置と在庫最適化につなげる。

 3月の第1弾実証実験では、AIカメラで取得した来店者属性データと人流データから、来店者の約7割が40~50代で、特に人流の多い時間帯が開店後1~2時間の午前10時から正午と、夕方の午後4時から午後6時であることが分かった。

 トゥインクル西沢がある四カ町商店街は、九州の地方都市では活気があるほうだとされているが、福岡市への買い物客流出が深刻さを増しつつある。しかし、小売店舗のDX(デジタルトランスフォーメーション)化は進んでおらず、地域の課題になっていた。

 エッジAIはカメラなどのデバイスにAIが搭載され、Wi-Fiに接続すればすぐにデータ取得を始められる。トゥインクル西沢を運営する西沢本店は、エッジAIが低コストで利便性が高い点に着目、佐世保市の中小企業デジタル化支援事業補助金を活用し、AIを活用して売り上げの最大化とコスト削減を目指している。イデインは官民協働で進める今回の実証実験が、地方の小売店舗DX化のモデルケースになるとみている。(記事:高田泰・記事一覧を見る

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