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車の成り立ち、勝手に推測
Photo:ダイナのデリバリーバン後部荷室は旧ハイエースバンのボディと共通 ©sawahajime[写真拡大]
自動車メーカーは絶えずコストダウンの追求をしている。
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以前、外国のメーカーだったが、3ボックス(ボンネット、キャビン、トランクの3部分からなるセダンタイプの呼称)の、プレス型のコストダウンを検証実験したモデルを公開した事があった。
そのモデルは、「右フロント・フェンダー」を「左リア・フェンダー」と共用して、左フロントは右リアと共用する事により、本来であれば「右フロント・フェンダー」、「左フロント・フェンダー」、「右リア・フェンダー」、「左リア・フェンダー」と4つの異なるプレス金型を必要とするところを、左右2つの金型だけでモデルを造形していた。
残念ながら、デザイン完成度がイマイチだったので実用化されなかったが、実用化されれば結構コストダウンに貢献しただろう。
多機種のモデルを展開する力のあるメーカーは、数多くある手持ちの機種・車種を上手に活用して、新規モデルを作り上げる事が出来る。
●初代のMR-2
初代のMR-2の基本コンポーネンツをじっくり見て、筆者は以下の様な見方をしている。
前進5段・後進1段のマニュアルトランスミッションを装備したFF(フロントエンジン・フロントドライブ)5人乗りのカローラがある。
この車のミッションを前進1段・後進5段にして、シートを後ろ向きにして、ハンドルを逆に取り付ける。
つまり、カローラをバックさせる訳だ。
そうすると、リアエンジン・リアドライブで、前進5段・後進1段の車が出来上がる。
カローラは、乗車定員5名を確保する必要があるが、割り切って乗車定員を2名とすると、スペース的には余裕が出来るから、エンジンをホィールベース内側に寄せて「ミッドシップ」レイアウトを完成させた。
●本格的ミッドシップ
本来、ミッドシップ・レイアウトの車は、ロータリーエンジン車の様な、エンジン本体が極端にコンパクトで、前輪と後輪を両端とするホィールベース内に収める事が出来る場合(マツダは「フロントミッドシップ」と称している)を除くと、いろいろ困難が伴う。
1つの解決策としては、「トランスアクスル」と言って、通常ならエンジンとミッションは一体となっているのを、エンジンとトランスミッションの間にプロペラシャフトを設けて、ミッションを後ろに置く事で前輪と後輪を両端とするホィールベース内に収めるという解決策も無くはない。
しかし、重量バランス面でも有利な方式ではあるが、技術的な問題や、コストとの兼ね合いから、大抵はエンジンを運転席の後部に搭載し、後部座席を省略して乗車定員を2名に割り切るレイアウトとなっているのが現状だ。
排気系等にしても、いろいろなアレンジが必要となるし、それなりの苦労はあるだろうが、改造素材となるモデルが手持ちにあれば、結構面白い車作りが可能となる筈だ。
初代MR-2は、発想の転換で、量販車両のコンポーネンツを上手く流用した成功例だと思われる。
●2トンクラスのデリバリーバン
2トンクラスのキャブオーバートラックをベースにしたデリバリーバンは、一定量の需要があるものの、ベースになるカーゴトラックは1BOXに架装し難い構造をしている。
その為、一定量の販売台数が読めない場合は、「2トンクラス・デリバリーバン」の車種設定を諦める。
しかし、2トンクラスのデリバリーバンは欲しいが、あるメーカーで車種統一しているので、他銘柄の車が混在するのは避けたいとの意向のユーザーも少なくない。
ある時期には、マツダ・タイタンと三菱・キャンター向けに、某架装メーカーが専用の「デリバリーバン」仕様に出来るキットを開発した事があった。
結果的には価格面がネックとなって、殆ど実績が残せなかった様だ。
しかしトヨタの場合は、自社のハイエースの荷室部分を流用して、コスト面を抑える事で車種設定を可能としていた。
(参考写真1: ダイナのデリバリーバン後部荷室は旧ハイエースバンのボディと共通 ©sawahajime)
写真で見ても明らかな様に、バン部分であるBピラー以降はH100系ハイエースの流用である。
こんな芸当が出来るのも、多種多様な車種展開が出来るメーカーの強みであったと思う。(記事:沢ハジメ・記事一覧を見る)
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