欧州議会、AI規制案を採択

2023年6月17日 10:56

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記事提供元:スラド

EUの欧州議会は14日、以前から議論の進められてきたAI規制案を採択した。この規制案は、「ChatGPT」などの生成AIの規制を含む内容で「AI Act」と名付けられた。この法案の主な目的は、ユーザーのプライバシー、投票権、著作物の保護がある。警察などが公共空間での顔認証技術の使用を禁止したり、顔認識データベースの作成や、SNSや監視カメラ映像からの生体データの無差別な収集といった、市民をプロファイリングする行為を目的としたAIの使用を禁止する規定が含まれている(欧州議会発表CNET毎日新聞ITmedia産経新聞)。

規制案では、AIのリスク分類体系も設けられた。リスクの程度を「最小リスク」「限定リスク」「ハイリスク」「許容できないリスク」の4種類に分類。ハイリスクには、選挙運動期間中の投票者、健康、セキュリティ、環境に影響を及ぼす技術が含まれる。また著作物の保護に関しては、生成AIが作成した文章や画像が、AIにより生成された事実を通知することを求めるほか、モデルの設計や生成AIに学習させた著作物の開示も義務付けている。理事会と欧州委員会、欧州議会の3つの機関が今後、法案の詳細に関する交渉を行い、年内に合意を目指すとしている。法案の成立には27カ国と欧州議会の承認などが必要で、施行は2024年以降となる見込み。 

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