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トヨタグループで続く不正発覚、ブランドを直接毀損したダイハツ問題で事態は正念場! (2)
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世界に冠たる自動車メーカーとしてのトヨタブランドに直接傷をつけたのは、4月28日にダイハツが明らかにした不正だ。
【前回は】トヨタグループで続く不正発覚、ブランドを直接毀損したダイハツ問題で事態は正念場! (1)
前記の日野や豊田自動織機の不正が排ガスデータの改ざん、差し替えであったのに対して、ダイハツの場合は「衝突して車体にダメージを受けた」場合に、破損の具合で人を傷つけることがないように、ドアの部品に切り込みを入れるなど、本来の仕様に存在しない加工を施して試験を受けていた。
「より安全性を高めた切り込み」が認証を受けた仕様に含まれていれば、何の問題もなかったから、認証を受ける前に得た知見でなかったことが悔やまれる。
今後審査機関の立ち合いのもとに再試験を実施して、適合していることが確認できれば出荷を再開する見通しである。不正度数が高くて事業正常化への道筋が見えない日野や豊田自動織機に比べれば、多少は「まし」だったようだから、却って無念さが募るとも言えそうだ。
16年8月にトヨタの完全子会社となったダイハツは、トヨタブランドの主に4車種をOEM(相手先ブランドによる製造)で製造していた。小型SUVとしてダイハツから販売されている「ロッキー」は、トヨタのエンブレムで「ライズ」と名を変えてトヨタの販売店に並ぶ。
同様に小型ワゴンの「ダイハツ・トール」は「トヨタ・ルーミー」として、軽自動車の「ダイハツ・ミライース」は「トヨタ・ピクシスエポック」として、商用車の「ダイハツ・グランマックス」は「トヨタ・タウンエース」としてトヨタの販売店に並ぶ。
逆に、セダンの「トヨタ・カムリ」は「ダイハツ・アルティス」としてダイハツの店頭に並ぶ。
OEM自体は世界中で広く行われているシステムで、自社の弱点を効率的に補うメリットがある反面、目が及ばないというデメリットが併存する。
トヨタの豊田章男会長は不正発覚直後から「ダイハツのみならず、トヨタ全体の問題」であると表明していた。トヨタが他社との違いを際立たせたのは、直ちに「期間を定めずにグループ全体の認証業務を調査して、結果を公表する」と表明したところだ。
8日、タイのバンコクで行われた記者会見でも豊田会長は「グループ全体の問題として、先頭に立って信頼回復に努める」と強調した。
一連の流れに不気味な感じを受けるのは、不正の発覚が徐々にトヨタの本体に近づいているように見えるからだ。豊田会長自身が抱く危機感も、恐らく相似形と思われる。
だから、ダイハツが不正に認証を受けた22年という年に「社長であり、執行トップでもあった」と、責任を正面から受け止める姿勢を見せた豊田会長が、どんな風にトヨタブランドの信頼回復を成し遂げるのか、大いに注目される。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
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