良品計画がおてつたびと連携 地域活性化に貢献 農作物流通や働き手確保を支援

2023年3月19日 16:08

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連携のイメージ(画像:おてつたびの発表資料より)

連携のイメージ(画像:おてつたびの発表資料より)[写真拡大]

 良品計画は17日、地域事業者と働きながら旅をしたい人のマッチング事業を展開する、おてつたびと連携することを発表した。無印良品の産直EC「諸国良品」とおてつたびのプラットフォームを連携させ、相互送客や農作物の流通拡大を図り、地域活性化に貢献する。

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 諸国良品は、無印良品が展開するECサイトのコンテンツの1つで、全国各地で生産された農作物や、伝統工芸など地域性を活かした雑貨や衣服、日用品を販売している。商品とともに、サイト内で生産者や商品が作られた背景などを併せて伝える点に特徴がある。農作物は、大きさが不揃いなものや小さな傷のあるもの、生産数が少なく一部地域にしか流通しないものも含めて提供している。

 おてつたびは、人手不足の地域事業者と、働いて報酬を得ながら旅を続けたい人をつないでいる。旅人は、地域事業者のもとに一定期間滞在し仕事を手伝う。基本的に滞在中の宿泊費は無料で、期間内に数日間休日が付与される案件もある。

 仕事した分は報酬として得られるため、費用を抑えて長期間旅を続けたい人などから支持されている。参加事業者は主に、農業や漁業などの1次産業の生産者や、旅館、ホテルなど。特定期間に働き手が必要な事業者の利用が多い。

 今回の連携により、諸国良品でおてつたびに参加している生産者の農産物の販売を開始する。農作物の販路拡大とともに生産者の想いや付加価値を伝えることで、おてつたびを利用する人も増やし、地域活性化の支援強化を目指している。良品計画としては、諸国良品のラインナップの拡充につながり、地域との連携強化も図りたい思惑がうかがえる。

 良品計画の22年8月期連結決算は、新規出店でやや増収となるも大幅減益。円安など社会変化の影響もあるが、日本や中国の既存店売上が低調で、営業利益は約327億円で対前年22.8%減となった。

 増収減益を受け良品計画の堂前社長は、23年3月発行の「MUJI REPORT 2022」のメッセージで、「築き上げてきたビジネスモデルが色あせ始め、それが業績に表れて」いると表現。今後は「単に商品をつくって提供するだけでなく事業を通じて社会課題の解決につなげていく」としている。

 方向性としては、21年7月に発表した中期経営計画(22-24年8月期)の「第二創業」の戦略をもとに加速させる形だ。中計では30年に実現したいことの1つに「地域への土着化」を掲げている。その施策の1つとして、地域店舗が地元の生産者とつながり、農と食を中心とした地域課題解決や地域活性化に貢献する事業の展開を示している。今回の連携もこの流れを受けたのもと推測される。

 また良品計画は17日、全国で200名の店長候補の採用を開始すると発表。地域のコミュニティセンターとして、地域に「土着化」した店舗経営を担う人材の獲得を目指すという。(記事:三部朗・記事一覧を見る

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