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イレニサ 2023-24年秋冬コレクション - “自然原理”と“人の技”により生まれる美しさ
イレニサ(IRENISA)の2023年秋冬コレクションが発表された。
■“自然の原理”と“人の技”
“自然原理”と“人の技”を融合させた今季。自然が生み出す美しさに、日本の職人たちによる“技”を掛け合わせることで生まれる美しさもあると、デザイナーの小林祐と安倍悠治の二人は言う。自然界の美しさと職人技が、今シーズンのテーマの“朧月”のように曖昧に絡み合う様子をコレクションに投影した。
会場に鳴り響くのは、風に揺れる葉音は鳥の声などの自然界で聴こえる音、人が雪の上を歩く時のきしみや弦楽器などの人と自然が交わることで聴こえる共存音、そして人工的な電子音やノイズといった音。自然と人が織りなす音が、コレクションにさらなる彩りを添えた。
■京友禅の染色が魅せる曖昧な境界線
印象的なのは、京友禅の刷毛染めにより、朧月のように形があるようでない、その境界線をぼかしたかのようなグラフィック。たとえば、オレンジとオフホワイトの温かな色合いのセットアップは、模様の境界線が混ざり合い、曖昧さを演出している。
また、コーデュロイへの染色にもこだわりが見える。人の手による京友禅の刷毛染めを立体的なコーデュロイの生地に施すことで、人の手でないと表現できない奥深さのある色を実現させた。また、グラデーションのストールは、職人が刷毛で絵を描くようにドローイング。あくまで自然原理の美しさが際立つように染色されている。
■誰が着ても美しく見えるパターン
人が実際に着用した時のゆとりや、身体の動きに対して美しく見れるよう意識してデザイナー自らパターンをひいているイレニサ。今季は、肩幅を内側に入れたパターンが多く見られ、それらのルックは誰が来ても美しく見えるように設計されている。そういった作り込まれた造形の構造を繊細な線で表現するために、縫製職人により撚りをかけた糸を生地の断面に添えて、かがり付けで布端の始末を行った。
■素材が奏でる心地よい自然律
シャンブレーのウールギャバジンやウールメルトン、カシミヤとウールのダブルフェイスなどの素材はいずれも上質で、ナチュラルな色合いも相まって温かな印象を受ける。中でも目を惹いたのは、カシミヤとウールのダブルフェイスのアウターだ。異なる糸や色が交わることで心地よい自然律を奏でていた。
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