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【どう見るこの相場】市場区分見直しのフォローアップ関連でPBR1倍割れの自己株式取得銘柄に株高マグニチュード
決算発表が終了してほぼ1週間が過ぎた。通常とは異なる特徴が垣間見られた決算発表となった。業績上方修正銘柄よりも下方修正銘柄のウエートが少々高かったこと、上方修正銘柄はもちろん下方修正銘柄でも増配した銘柄が続出したこと、主力値がさ株に株式分割を発表した銘柄が目立ったことなどなどである。
自己株式取得でも、はっきり違いが窺えた。業績上方修正と増配に自己株式取得が加わるフルセットの銘柄がある一方で、業績下方修正の発表で株価が下げ反応するのを事前に防衛するために自己株式取得を発表する銘柄が多かったのはいつもの通りではある。ただ目立って違っていたのは、自己株式立会外買付取引を除いても取得期間がより短縮化されたことである。これまでは多くが1年間を掛けて自己株式の市場買い付けを進めるとしていたものが、なかには2カ月、3カ月、極端なケースでは1カ月超を取得期間とした銘柄もみられた。
この取得期間の短縮化は、どうも東証が進めている市場区分見直しのフォローアップに関連しているらしいのである。東証は、昨年4月4日に上場市場をプライム市場、スタンダード市場、グロース市場とする市場構造改革を行ったが、さらに資本コストや株価を意識した経営を促すために、この春にプライム市場、スタンダード市場の上場会社に対してROE(株主資本利益率)を向上させ、PBR(1株純資産倍率)を1倍以上にするための計画を策定・開示するよう要請する通知を発出する予定にある。とくにPBRが1倍を割っている場合は、十分な説明責任を求めると強硬である。
PBR1倍割れ銘柄は、前週末17日現在でプライム市場で約50%、スタンダード市場では62%にも達しており、各社のコーポレートガバナンスの根幹に関わる。ROEの向上のために手っ取り早い即応策は、自己株式取得・消却である。自己株式取得は、株主へ利益を還元する資本政策でもあり、この取得期間の短縮化は、東証の市場区分見直しのフォローアップを意識したものとみられるわけだ。
とすれば、逆にPBRが1倍割れで自己株式取得を発表した銘柄は、新たなテーマ株として浮上するはずである。これは、2018年10月の売買単位の100株への統一を前にした株式併合ラッシュや、今年4月の市場区分再編を前にした親子上場廃止の続出などにも匹敵する株高マグニチュードに達する可能性もある。現にPBR1倍割れ銘柄では、今年2月9日に大日本印刷<7912>(東証プライム)が、新中期経営計画の策定のための基本方針としてROE10%以上を掲げ、PBR1.0倍超の早期実現を目指すとアナウンスしただけで、株価が、窓を開けて560円高して一気に昨年来高値を更新した。
今年1月以降に取得総額を10億円以上として自己株式取得を公表し、なおかつPBR1倍台割れを条件に該当銘柄をスクリーニングするとバラエティ豊かな21銘柄が精査された。地銀株、商社株、素材株、主力ハイテク株などであり、この株高マグニチュードはマークするところだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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