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【どう見るこの相場】冷や飯食いをハネ返す業績上方修正の内需割安株で師走相場の前哨戦にチャレンジ
11月も下旬入りとなり、いよいよ師走である。米国では、感謝祭の休日明けから年末商戦がスタートし、日本でもジングルベルが囃し立てるお歳暮商戦が本格化し、マーケットも師走相場間近かとなる。この師走相場の方向性とスケールは、国内外にかかわらず好むと好まざるを問わず12月13日、14日に開催予定のFOMC(米公開市場委員会)の結果次第とするのが、大方の見方となっているようだ。FRB(米連邦準備制度理事会)が、政策金利の引き上げ幅を0.5%に縮めるのか、0.75%を維持するのなかによって米国の長期金利が上昇、低下のいずれかに振れるからだ。餅つき相場で大賑わいとなって「終わり良ければすべて良し」となるか、「掉尾の三振」に討ち取られて終戦処理に追われるかのカギを握ることになる。
米国の長期金利は一時、ピークアウトしたとして日米株高につながったものの、このところFRB高官のタカ派発言が続いて強含みとなって主力IT株が売られて上値が重くなり膠着感を強めている。足元の東京市場でも、前週末18日に東証株価指数(TOPIX)が小幅ながら2日続伸する一方、日経平均株価が、小幅ながら2日続落し、NT倍率が14・18倍に低下するなどやや変調を示した。NT倍率の低下は、ハイテク系の輸出関連株の割高意識が高まり、内需関連株に相対的な割安感が強まることにより起こり、マーケットの中心銘柄の変化を示唆しているとされている。米国市場の動向と合わせ、これが師走相場の前哨戦に止まらず、師走相場全体のトーンとなるか、注意深く見守る必要がある。
この内需関連株は、前週に一巡した決算発表では、冷や飯食いを余儀なくされた銘柄が多い。決算発表では、業績の上方修正ラッシュとなり、上方修正銘柄は全体の3割にも達したと集計された。その一方で、内需株には業績を下方修正する主力株が目立った。上方修正要因の大半が、記録的な円安・ドル高による為替差益の発生と原材料価格の上昇に対する価格転嫁の成否で、外需系株に追い風になった一方、内需株には、円安が逆に原材料価格の上昇に拍車を掛け、この価格転嫁による値上げラッシュが消費者のサイフのヒモを固くする逆風になった結果に違いないのである。
今2023年3月期通期業績も、日本経済新聞の集計では内需型の食品、パルプ・紙、サービス業や非鉄金属、鉄鋼などが減益と見積もられ、化学や建設も、主力銘柄の下方修正が続いたためか小幅の増益率にとどまっている。NT倍率が低下して内需株有利を示唆しているとはいうものの、これに乗った無差別買いはリスクが小さくなく、師走相場に向けた餅代稼ぎの銘柄選択には難しさが伴う。
そこで今週の当特集では、下方修正が続いた内需系セクターのなかで逆に業績を上方修正した銘柄に注目することにした。例えば化学ポストでは同じ11月8日に三井化学<4183>(東証プライム)が、今3月期業績を上方修正し、三菱ケミカルグループ<4188>(東証プライム)が下方修正する真逆の決算発表となり、株価は、三菱ケミカルが悪材料出尽くしとしてその後の高値まで7%超高となったが、三井化学は13%超高をオーバーパフォームした。こうした比較優位性が、今後も持続可能と期待できるかもしれない。
もちろんNT倍率の低下、内需系銘柄中心相場は、FOMCの結果次第で一過性に終わる懸念もある。とういことで上方修正銘柄のなかでも投資採算的に割安放置となっている銘柄に限定するのがリスク限定的となるはずで、師走相場は前哨戦から本番のクリスマスラリー、「掉尾の一振」に備えることも一法となりそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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