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トラスショックが去っても続く英国危機!?
●株価暴落を引き起こしたイングランド銀行
BOE(イングランド銀行)のベイリー総裁は12日、市場安定化策として実施していた国債の買い入れの緊急措置を14日に終了する趣旨の発言をした。その結果、英国債利回りは急上昇し、ポンドドルは下落。NYダウなど世界の株価の暴落にも影響した。
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9月23日に英国トラス政権が打ち出した大幅減税策によって、債券の利回り上昇と価格下落を引き起こしたが、その解決策として市場介入していた。その後、大幅減税策は一部撤回されたが、市場の不信感は燻り続けている。解決の糸口はあるのだろうか?
●岐路に立たされる英国年金基金
英国の年金基金は、デリイバティブ(金融派生商品)を活用した運用がされている。
低金利でも安定的に受給者に年金給付をできるような仕組みになっているが、金利が急騰すると損失が拡大してしまうというリスクがある。
そのため、今回の金利急上昇で多くの英国年金基金は資産を売却し、穴埋めしようとしたと見られる。英国債も投げ売りせざるを得なかった。
資産運用会社も年金基金も利回りの乱高下については規定がなかったと見られ、今後もリスク管理規定の構築が急がれる。
●危機は続く
ベイリー総裁による12日の発言は、「残されたのは3日ということだ」と、投資家に手じまいを呼び掛けるとも取られるものだった。普通に考えれば少なくとも月末までの延長を考えるのが妥当なところである。
一方で、債券買い入れ延長を示唆する報道もあり、実際のところ次の一手はどうなるかわからない。
今回の騒動の発端となったトラス政権だが、クワーテング財務省が解任され、トラス氏率いる保守党の支持率も低下している。
トラス氏は経済政策に加え、財政安定策も確保する方針と見られるが、減税方針は堅持すると見られている。トラス氏への不信任案提出も噂されており、政治的なリスクも付きまとう。
仮に、債券買い入れを延長したとしても、市場の不信感を払しょくするには至らず、今後も英国危機は続く可能性が高い。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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