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楽天G、赤字でも株価上昇の理由
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●赤字にもかかわらず株価上昇の楽天G
楽天グループの株価が8月12日、約8%上昇した。前営業日である10日に発表した2022年1-6月期の決算は、上半期としては過去最大となる1,766億円の赤字を記録しており、異例の上昇となった。
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この3年間赤字体質が続き、楽天銀行のIPOも噂されるなど、資金調達の面でも不安視されている楽天であるが、ここにきてなぜ株価が上昇したのか?今後、最悪期を脱し、好転することは期待できるのだろうか?
●カギを握るモバイル事業
楽天GのEC事業や金融事業などは好調である。
グループ全体の売り上げ収益は約10%増となっており、楽天ブランドの価値はまだまだ健在であることが証明されている。
やはり2018年第4四半期から慢性的に続くモバイル事業の赤字が大きく足を引っ張っており、その赤字幅もどんどん拡大している。
基地局の増設や、屋内や地下での通信環境の整備などに多額の投資をしていることが、赤字の原因である。
データ通信量が1GBまで無料の「0円プラン」の廃止を5月に発表して以降、6月までに20万人以上の契約数減少を招いたが、三木谷浩史会長兼社長は人口の10%となる約1,200万件を目指すと、あくまで強気の姿勢を崩さない。
●なぜ株価が上昇?
楽天Gの株価が上昇するには、モバイル事業の解決なくしては困難であると思われる。
楽天モバイル事業の四半期ベースでの営業損失は、2020年から右肩上がりで上昇してきたが、2022年4-6月期で見ると初めて減少に転じたことが株式市場から好感されたと見られている。
今まで青天井だったモバイル事業への投資額がピークアウトするとの期待もある。
契約者数の減少を招いた「0円プラン」の廃止だが、一方で9月のAPPU(1契約当たり月間平均収入)は上昇すると見ており、収入面での改善も見られるという皮算用もある。
赤字に関しては織り込み済みであり、中身を細かく見れば、ポジティブな要素があったということである。ただし、底を脱したというだけであり、モバイル事業が軌道に乗るかはまだまだ不透明である。
機関投資家が、噂で買って事実で売っただけの可能性もあるため、慎重に見極める必要があるだろう。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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