コム デ ギャルソン・オム プリュス 2023年春夏コレクション、別世界へといざなう道化師たち

2022年7月13日 08:32

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記事提供元:ファッションプレス

 コム デ ギャルソン・オム プリュス(COMME des GARÇONS HOMME PLUS)の2023年春夏コレクションがフランス・パリで発表された。

■宮廷道化師はパンク精神の持ち主だったのか?

 タイトルに「ANOTHER KIND OF PUNK」を掲げた今シーズン。デザイナーの川久保玲が着目したのは、中世の宮廷道化師だ。

 音楽やアクロバットなど様々な芸を披露することで主君を楽しませていた彼らは、癒しを与える存在だけに限らず、時に斬新な考え方をアドバイスする役割も担っていたという。中世の道化師はパンク精神の持ち主であったのではないだろうかーーそんなことを想像しながら作り上げたという今回のコレクションは、楽し気でありながら、どこかミステリアスなムードが感じられる。

 道化師といえば、バルーンシルエットのボトムスやデコラティブな首元、鮮やかな色味、幾何学的なパターンなど、人々の視線を集める華やかな衣装が印象的。これらの特徴はブランドらしさを残しながらも、コレクションのあらゆるところに反映されている。

 たとえばブランドの定番アイテムであるジャケットは、裾を大きく広げたり、ジグザグにカッティングを施したり…多彩なアプローチが見られた。袖を2本ずつ付けたジャケットは、歩くたびに重ねた袖がひらひらとなびき、プレイフルなリズムを刻む。

 バルーンシルエットやパッチワークデザインなど、ボトムスもまた道化師の衣装に見られる特徴を散りばめたものが豊富なバリエーションで揃う。中でもアウターからシューズまでホワイトで統一したシンプルなルックは、ストライプ柄のレギンスを投入することによって今季らしいポップなムードへと引き寄せているのが印象的だ。

 カラフルなハーレクイン柄やカラーコントラストを効かせたドット柄など個性豊かなパターンが溢れる中で、コレクションのラストを席巻したのはブランドを象徴するブラックを多用したルック。どんな色にも染まらないその凛とした佇まいは、聡明な道化師たちのスピリットを表現しているようにも思われた。

※本記事はファッションプレスニュースから配信されたものです。ファッションプレスでは、ブランド、デザイナー情報、歴史などファッション業界の情報をお届けしています。

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