米ニューヨーク州の最高裁判所、象には人身保護令状が適用されないと判断

2022年6月17日 07:45

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記事提供元:スラド

headless 曰く、 米ニューヨーク州の最高裁判所にあたるニューヨーク上訴裁判所は 14 日、ゾウは人類でないため人身保護令状は適用されないとする下級審の判決を支持した(裁判所文書: PDFNational Geographic の記事AP News の記事Politico の記事)。

この裁判は動物保護団体 Nonhuman Rights Project (NhRP) がニューヨーク・ブロンクス動物園で飼育されているメスのアジアゾウのハッピーに基本的人権を認めるよう求め、動物園の園長らを相手取って提起していたものだ。NhRP はニューヨーク州でチンパンジーの人権を主張して話題になったが、他の州を含めて人類以外の人権を主張する意見が裁判所に支持されたことはない。今回の下級審でも主張が認められずに上告している。

ハッピーはおよそ 1 歳の時に捕らえられ、過去 45 年にわたってブロンクス動物園で飼育されている。伴侶のゾウは 2002 年に他のゾウとの争いで負傷して安楽死させられ、次の伴侶も病気のため安楽死させられたという。園ではこれ以上ゾウを取得せず、いずれはゾウの飼育もやめる計画を示したため、ハッピーともう 1 頭のメスのゾウ、パティーだけになっている。2 頭は仲が悪いため、飼育場所の間には仕切りが設けられている。

NhRP は園の飼育環境に問題がないことについては議論せず、ハッピーが他のゾウと交流できないことのみを問題にしている。そのため、人身保護令状を適用して園から解放し、NhRPが指定するゾウの保護区へ移動するよう求めていた。一方、園では保護区への移動がハッピーのためになるとは限らないなどと反論し、棄却を請求していた。

上訴裁判所では人身保護令状が人類にのみ適用されるものであり、ゾウなど人類以外の動物には適用されないこと、ゾウに人権が認められなくても州の進んだ動物保護法によりハッピーの福祉は十分に保護されること、法律で規定される「人」の定義を拡張したいなら裁判所ではなく議会で議論すべきことなどを指摘。下級審の判断を支持して上告を棄却した。

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